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自由に縛られている

コンピューターゲームのジャンルにこんなのがある。

舞台となる仮想世界を自由に動き回って探索・攻略できるように設計されたレベルデザインを指す言葉である[1]。
定められた攻略手順の遵守を要求されないゲームプレイは、「Sandbox(サンドボックス:砂場・砂箱の意味)」ともよばれる[2]。

この手のジャンルは人によっては楽しめない可能性がある。太字で強調したように、

自由に動きまわって探索、攻略できる、

定められた攻略手順を要求されない、

この要素がどうも馴染めないのだ。

ゲームを始めるといきなり広大な世界と一人のゲームキャラクター。なんのメッセージもなく「あとはご自由にどうぞ」と無言のスタートを告げられる。簡単に言えばこれがオープンワールドである。

一方こんなゲームもある。オープニングは丁寧なプロローグ、この世界はどういった所なのか詳しく説明される。そして主人公が登場して、

「まずはここへ行ってみてくれ」と指示される。そこからゲームスタート。これでプレイヤーがキャラクターを動かすことができる。

この二つの違いは、

「最初から自分の行きたい所は自分で決める」か、

「指示通りに動いてもらう」

とでも言えばいいか。

どちらが楽かと言われたら当然、後者である。

最初に行くべき所が明示されているのだから迷わず、ストレスなくゲームを進めることができる。


では、これを一人の人間の人生に置き換えてみたらどうだろう?

「自分の行きたい所は自分で決める」

「誰かに指示してもらう」

心情的に言えば今度は前者と言いたくなる。自分の人生は自分で決める、誰もがそう言いたいものであるのだが・・・、

一人の人生、リアルな世界であってもどっちが楽かと言われたらそれは変わらない。言われた通りに動いた方が楽なのである。

ゆえに、このオープンワールドというジャンルは今まで自分の意思で行動したり、何かを決断した経験の少ない人がやると「何からすればいいのか分からない」となってすぐに投げ出してしまう傾向がある。自由に世界を探索、探検する面白さがいまいち理解できないのである。

誰から言われた通りに動いた方が楽なのは間違いない、

考えなくてもいいから。

頭で考えて、何かを決めるというのは思いの外、人間にはストレスなのです。


だからなのか、この人間社会でも一定の決められたルートが存在する。

学校へ行って勉強する。高校、大学へも行って、卒業して就職。結婚をして子供を産む、親元から離れてそこで家族と暮らして、子供の将来のために働く・・・。

大まかにこれが社会全体に伝わる現代人の生き方である。しかし今はこの型が崩れようとしている空気もありまよね。

両親は20代後半で結婚して、30代前半にわたくしを生みましたが、今はその年齢で結婚して、子供を産むと早いとまで言われるかもしれません。結婚はするけど子供は産まないという選択をした夫婦も身近に居て、そんな珍しい存在でもなくなりました。公然とそう周りに宣言する人も出てきていますし。

学校を卒業したら就職するという選択をしない人も目立ち始めました。個人で起業して、稼ぐ、そんな選択をする人が脱サラという流れでなく、学生のうちからそうしようと決める人もいます。今は情報化社会の時代なのでそれも昔と比べて容易になったのもあるでしょう。

就職してもろくに稼げないというのも浸透し始めましたね。だから子供も産みづらくなっているのかもしれませんが。

世の中の空気が誰もが同じ方向を向いて生きている時代から、各々がそれぞれの道を歩み始めた、そんな感じに変わってきていると感じます。

良い意味では「自由度」が増したと言えるかもしれませんが、

では悪い意味は何なのかというと、

「自分で考えて、決めることが多くなった」かもしれません。

なぜこれが悪い意味なのか、それは先ほども言ったように「自分で考えて、何かを決める」というのはけっこうストレスなのです。

小学生の頃はぶっちゃけ、みんなが好きみたいだから自分も好きになろうと、周りに合わせていれば良くて殆ど考えることはしなかったです。

話題になるものも大体はテレビを観ていれば合わせることができました。

しかし今は違うんでしょうね。なかなかクラス全員が同じものが好きという状態はないんじゃないでしょうか?

みんな違ってみんないいとか言いますけど、誰もが自分が好きなもの、何がしたいのか理解して、それに向かって突き進むなんていうことができるかと言われたら難しいです。

オープンワールドのように「あとはご自由に」と言われても、何をして良いのか分からず身動きができない人がいるかもしれません。

皮肉なもので、自由すぎるから動けない、自由に縛られている状態です。

だったら最初はこうしてみたら?と指示してくれた方が全然良いです。

ずっと会社に縛られるのは嫌だと主張する人も増えてきましたし、好きなことをして生きていきたいという言葉も聞きます。

でもその好きなことってなに?空いている時間は何をするの?と聞かれても、しっかり答えられたり、時間を有意義に使える人って少ないんじゃないかな〜?

自分の軸というものを持って、それに基づいて行動できる。

これができる人はそんな多くないと思います。

だったら最初から最後までこういうルートを進んで生きてみたら?とその指示通りに人生を過ごした方が良い場合もあります。

心の底からやりたい仕事ではなかったとしても、朝から働いて、終わった時には疲れと共に達成感でいっぱいになり、あとはご飯食べて風呂入って、気持ちよく寝る、それはそれで悪い人生ではないとも思ったりもしています。

それはつまり、ここまで模範とされてきた生き方に従うのも悪くはないということです。

YouTubeでわいわい騒ぎながら稼いでいる人もいるし、自宅で一人で、パソコン一台でも稼げてしまう現代で、そんな生き方も羨ましいと思いたくもなりますが、それはそれで自分の「軸」というものがあって、それをモチベーションに行動できる人でもあるので、「軸」がない人には組織に属さず、個人で長くやっていくのは厳しいです。

インターネットのおかげで色んな価値観に触れて、今での生き方に疑問に感じる人が増えてきたものの、じゃあそのルートから外れて、生きてみようってなっても結局は戻ってきて、会社なりに言われた通りに動いて生きていた方が楽かもしれないと痛感する人も多いと思うんですよね。

「自由」という言葉にはポジティブなイメージが付きがちですが、

「あなたの好きなようにどうぞ自由に生きてください」と言われて迷う、悩まない人はいないと思います。

しばらくは、ぼーっと広大な世界を眺めながら座り込むだけかもしれません。

そこから立ち上がって、最初の一歩を踏み出すきっかけは何なのか?

それは本当の「自由」を掴み取るためにあてもなく旅をすることになるのでしょうか?

人間とはこういうものだというのをよく表している歌詞をご紹介して締めたいと思います。

ひとは誰でも しあわせさがす 旅人のようなもの 希望の星にめぐりあうまで あるきつづけるだろう「銀河鉄道999」より

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