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【ビジネス視点から見た演劇界の問題点②】 誰にでも『チャンス』はあるのか?

前回このような記事を書いてちょっとだけシリーズ化してもいいなと思ったのでまた同じようなテーマで記事を書きたいと思います。前回はこちら↓

現在の『ビジネス視点から見た演劇界』の問題点として演劇コンテンツとは生の舞台はもちろん映画やドラマで映像としても表現できるし、アニメやゲームなどで素晴らしいキャラクターに乗せて演じる事も出来る、と色んな表現方法があるとはいえそれぞれのカテゴリが仲間ではなく「別世界」のようになっていて(全然製作過程が違うのでその気持ちも分かる)それぞれに関わっている演者もあまりその別カテゴリへの参加はないことだと第一回で述べました。(テレビドラマに出ている人が舞台に出演するとは殆ど聞かない、決まりがあるわけではないが俳優が声の仕事をやってほしくないなどの空気があるなど)

そうではなく映像作品に出ている人は生の舞台にも積極的に出て逆も然り、と少なくとも『音楽』がそうであるように画面越しからと生の姿を観ることができる機会を作るという方針でやった方がより根強いファンになってくれるのではないか?と私は思っています。(その中でアニメ・ゲームのカテゴリは映像から生へ〜と発展させていく動きが作品によってはある)

ではもう一つ問題点を挙げるとしたら何なのか?

それが、

誰にでもチャンスはあるのか?

という問題。

↑この記事ではなんで俳優やミュージシャンなどステージに立つ者はあんなにかっこいいのか?と言われたらそれは『現時点での激しい競争の中での勝者であるから』と書きました。

当noteでは演劇を始めとしたエンタメ界は他の業界と比べても群を抜いて『競争が激しい』と度々、言及してきましたが実は演劇界ってそれが疑わしい側面もあると思っています。

理想は競争は激しい、けど誰にでもチャンスはある、

だと思います。

たとえ今は無名で何のコネもなく、一番下からのスタートでも結果を出し続ければ道は開かれる、

今は「J3」のカテゴリにいるけど勝ち続ければその内「J1」のトップカテゴリへと・・・みたいな感じで。

が、演劇界は最初はキャパが100人以下の小さな劇場から活動をスタートさせてそんな下積み時代を経てようやく地上波のドラマへと出演できた、など確かにそんなストーリーなら誰もが感動する背景とはいえそういう仕組みになっているとは残念ながら言い難いです。

だってこの世界で挑戦し続けている人だったら一度は思ったことだと思いますけど、そんな地上波で放送されるドラマやアニメのキャストっていつ決まっているの?と考えたことはないでしょうか?

つまり、誰もが出たがる羨むようなコンテンツのオーディション情報というのは誰にでも行き渡るものではない、そもそもオーディションなどは行わず最初からこの人で行こうと決められてしまっている・・・これが実態ではないでしょうか?

アニメのオーディションも限られた事務所、人にしか行き渡らないって聞きますしね。

いま自分が出来ることを精一杯やればいつか芽が出ると信じている人にはなんともつらい現実です。

 俳優・声優の夢がなかなか諦め切れない人っておそらく、

高いお金を払って学校や養成所に通ったからというのもあると思いますが他にも、

チャンスを与えてもらっていない

という理由もあると思っています。作品出演さえ果たせば自分は良いパフォーマンスをする自信があると思っているほど踏ん切りがつきません。

せめて何度もオーディションを受けても採用されることがなかったとなればそのうち諦めがつくのかもしれませんが、心が折れるくらいそのオーディションを受ける機会すらないのが現状・・・。

こうなってくると日本というのは基本的に「自由競争」で経済が回っていますが、演劇界では「その競争に制限がかかっている」と言うことができると思います。

まぁその制限がかかっている中でも誰が突出した人気を得られるのか、ヒットする見込みのある作品に出られるのかなどの競争があるのでしょうが、実際に活動している人数の中からスターになれる可能性を持っているのはそれよりずっと少ないってことですね。

そんな「自由な競争」が行われていないのはもちろん望ましくありません。

一般的にその立場を脅かす人がいないのであれば、

商品の改良やサービス向上、新商品の開発の動きが鈍くなります。客目線では選択肢がない、少ないので値段に不満があってもこれを買うしかないという状態になります。

争っている相手が多ければ多いほどあいつには負けられないとお客さんに選んでもらう存在になるべくあれこれ施策を考えていき上記のような状態ではなくなるのです。

そういう眼で見てみると演劇界、または芸能界っていつも同じ出演者顔ぶれがあんまり変わらないなとか、明らかに特定の事務所に所属している人達が優遇されているなど正当な競争を勝ち上がっていま私達の目の前に姿を見せているとは言い難い状態ではないでしょうか?

さらに電波を使ってコンテンツを流せる権利を持っているテレビ局というのはやはり強いに決まっています。定期的に今のテレビ局が駄目、つまらないなら他の会社に代わってもらうという事は起きないので絶対的な地位にいます。テレビ局の人間は態度がでかいと不評をよく耳にしますが、これが原因なのもあるでしょう。(かと言ってテレビが安泰かと言われたらそうではない、むしろ危ういのは皆さんも分かっていると思いますが、ここでその点については言及しません)

テレビに、商業ベースのコンテンツに限らず日本では出演者をオーデイションで決めるよりも知り合いや親しい関係性の人から、ワークショップに参加してくれた人の中からなど限られた範囲から決めることが多いです。私が関わった作品もどれもそうでした。

このことから実力を磨くよりも重要なのは人脈や有力な人に自分を売り込む営業力だと言えるでしょう。

そして困ったことに、いくら自由競争だったとしても特定の企業がとんでもない力を付けてしまったら、もう覆せないという事も起こり得ます。

特に昔からエンタメ分野に参入していて、数々の大ヒット作を生み出した会社は資金面や知名度で圧倒しています。

それは演者にも言えて分かりやすいのは、

「ドラゴンボール」にメインキャストで出演している声優さんたちはこの作品のおかげで連載・アニメが一旦終了して中断期間もあったとはいえかれこれ三十年以上は仕事させてもらっているんじゃないですかね?

こればかりは当時はまだ生まれていない、子供だった声優さん達はどんなに優秀でもここに割って入りようがありません。

このように「ドラゴンボール」や「名探偵コナン」「エヴァンゲリオン」「ワンピース」など長期的、かつ様々なメディア展開をしている作品に出演できている声優さんはそんな国民的大ヒット作に出演できていない声優さんと比べれば個人の努力ではどうしようもないくらいのかなり強い地位にいます。

またそのようなヒット作が生まれるか否かは時代にも左右されるので、昔と比べてヒット作が出にくくなった現代ではより困難になってしまい、今では歴史に名に刻まれた作品がバンバン出ていた時代に活動をしていた人の方が有利だったと言えるでしょう。

ゲームソフトも昔は制作費がかなり安かったので(なのにソフトの値段は昔とさほど変わらない・・・)その時代にヒット作を飛ばした「任天堂」は盤石な地位にいます。

エンタメ演劇分野って値段が安ければ、性能が良ければいいと言うように、あの人より演技や歌が上手いから良いとかそういうものでもなく「あの人、あの作品だから」想い入れがあるといった分野で「先行優位」が顕著な世界なんですよね。

だから「自由競争」だったとしても今から参入して、昔から活動している人達に勝てるか?と言われたら個人の力ではなかなか厳しいことでしょうし、ヒット作を生み出すのもやはりあの昔からある会社かとなりがちです。

資本主義社会」というのは儲かる会社、人はとことん儲ける、という性質があります。それが露骨に表れているのがこの演劇やエンタメ業界ではないでしょうか?

では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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