【舞台だけ、映像だけやりたいとは言ってられない!】 生存戦略・全てのメディアを利用できるか?
はい、こんにちは。演劇・エンタメ分野をビジネス視点で語るAsakawaです。
このnoteではビジネス要素を絡めている以上はどうすれば人を集められるのか?も話題として上げました。例えばこんな記事↓
この記事では演劇の「舞台」を観に来てほしければいきなり「チケット代と交通費を払って観に来てください」とご案内するのは順番としては最初に売る商品ではないと書きました。
娯楽で家から外に出させるのは、昔と違って家に居ても十分に暇を潰せる術がある以上、今の時代かなり厳しいので、先ずはお気軽に、お試しコンテンツを用意して最終的に外に出てもらおうということです。だから『生』に近づけば商品は高額になるとタイトルを付けました。
それを上手く実践しているのは「音楽」とも。
主に音楽には楽曲というお手軽コンテンツがあるので一曲でも聴いてもらって生でも聴いてみたいと思わせればグッとライブに来てくれる可能性は高くなります。
が「演劇」の中の特に「舞台」にはそのお手軽コンテンツがなかなか見当たらないとずっと考えた結果、そう結論を出しました😓
ならばもうあらゆる「メディア」を利用していくしかないということです。
よく周りを見てみると、
私は映像には興味ないんだよね〜、
僕は映像関連の仕事をやっていきたい!
と自分のやりたいことを明確にしている人がいまして、もはやそれ以外は興味がないという勢いでした。その方針が明確になっているのは良いことだと思いますが、そもそも演劇って一つの枝分けされたカテゴリ一本でやっていけるほど盛り上がっているのか?という疑問がわいてきました😓
最近はインボイス制度が原因で声優さんのギャラの安さが話題になっていますが、この「声優」という仕事も元を辿れば演劇という根本から分かれたもののはずです。
そして、どう考えても「声優」という仕事だけで食わせてあげるつもりで報酬が設定されていないとも思いました。
そりゃあそうです。歴史を辿れば声優とは俳優のアルバイトみたいな位置付けのお仕事で、はなからこれだけで食わせていこうと生まれた仕事ではないのですから。
舞台や映像、それにプラスしてラジオドラマやアニメの登場で声だけの演技が求められる仕事が誕生した、それだけの話です。それでも声だけの仕事で生活できる人がいるのはたまたま市場規模が拡大して上手くいった人はその恩恵が受けられたのでしょう。
個人的に問題だと思っているのは同じ演劇であるにも関わらず「舞台」「ドラマ・映画」「声優」とまるで別の世界のように棲み分けられているような空気であることだと思っています。
特に「俳優」と「声優」には大きな隔たりがあると昔から感じていました。人気のあるアニメ映画に俳優が起用されるだけでなんで声優を起用しないの?という声は今でもあるはずです。が本来は俳優も声優の一部なのでなんの問題もないわけです。せいぜい声だけの演技に慣れている人がたくさんいるんだから、そっちを起用したら?とは言えるかもしれません。
映画でスターになった人は映画専用の俳優で舞台には出なかったとは聞きますし、舞台俳優がカメラの前で演技をしたら魂が吸い取られるなんてわけの分からないことを言っている人もいたらしいです。
この同じ演劇なのに、みんなバラバラであるのは余計に集客を難しくさせているのでは?と私はここにきて考えているわけであります。
ちなみに上手くいった例はあります。
私が小学生の頃に人気のあったアニメといえば「ワンピース」です。未だに人気が衰えていないどころかアニメ放送開始した当時より人気があるのは凄いことですね。
このワンピースの主要キャラに「サンジ」がいるのはご存知の通りですが、このキャラを演じているのは平田広明さんですね。
プロフィールを見れば分かるように平田さんは「劇団昴」という昔からある新劇の劇団出身です。(2012年に退団)
この平田さんがワンピースをはじめアニメの作品にも出演したことにより当時の子供達にも「劇団昴」の名前は知れ渡りました。そしてそれをきっかけにいつか平田さんが舞台に立つ時があったら観に行ってみようかな、なんて思った人もいたことでしょう。現に私の同じクラスの子に一人いました。
このようにアニメに出演したことにより出演者が所属している劇団の知名度が上がり、その舞台にも観に来てくれる効果が生まれたのです。
これはアニメ、テレビというメディアを通して間接的にでも劇団の宣伝にもなっている証です。こんな風に舞台俳優出身だからといって舞台だけにこだわらずテレビ、アニメにも手に出すことによって大きく自分の名も、劇団の名前も広まっていくのです。おかげで自分が一番やりたいのが舞台であれば、そっちの方でも集客に困ることなくやっていくことができるのです。
音楽であれば最初に音楽番組に出るのはテレビ全盛期の時代は常套手段でした。それで知名度を上げて楽曲を買ってもらう、ライブに来てもらう、売り上げアップ、集客に繋げたのです。
だったら演劇だってアニメ、ドラマや映画出演をきっかけに、今度は舞台も観に来てもらえるようにしよう、と戦略立てるのは普通なのですが、先に申しました通りこの世界ではそれらは別の世界の住人のようで、上手く連携して利用できているとは言えない現状なので困ったものなのです。
きっと演劇関係の仕事で食っていきたいのなら一つのカテゴリに固執せず全ての演劇要素のあるフィールドに足を踏み入れるくらいの勢いで活動していかないと、本当であれば難しいんだろうなと思います。
それが区別されてしまっているが故に、自分はこっちにはいけないと変な壁を感じてしまう、制限がかかってしまうのは勿体無いことです。
声優さんが歌ったり踊ったりアイドル化したのも、もう声だけの演技をしているだけでは厳しくなったからこそです。これは元のギャラが安すぎる、声優が増えすぎたなど別の要因もありますが、声優だけの仕事で生活できるようにはなっていないのも根本にあります。
自身の活動の軸にしていきたいものは持つべきだと思いますが、それを続けていくためにも全てのメディアで活動していくつもりでやっていかないと難しい世界であると私は思いました。こうしなければ一部の上手くそのカテゴリで波に乗れた人以外はいつまで経っても生活が厳しいままなのです。
もっと演劇関連の人達が一つにまとまらないと!というお話でした。とはいえ令和の時代にこういう状況だということは今更難しいような気もするので、これからこの世界を目指す人は演劇活動だけで生活できる土壌が出来ていないとは承知の上で足を踏み入れるべきだと思います。
たまたま出演した作品が国民的大ヒットをすれば話は別ですが、事前にある程度のヒットが予想される作品なら資金力のある企業、影響力のある事務所が名乗りをあげますのでその中に入るのはコネがないなら厳しいです。
そこでまだ入りやすのはこれから活動を開始するスタートアップ企業のような場所。これから成功しそうな人を探すのもありでしょう。
では今回は以上です。ありがとうございました。
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