雑念(秋)
◯職場1
こいつほんまおもんないなと思っていた職場の人間が決定的に大嫌いになってしまった。イチャモンをつけられたときに咄嗟に悪態をつくことができず損な人間である。「そういうときは(こいつは何を言ってるんだ?)という顔で『はあ?』って言うといいよ」と世界の9割を憎んでいる恋人からアドバイスをもらったが、そんな偉業を成し遂げるためにはaikoよろしく毎夜毎夜カガミの前で表情をつくる練習をしなくてはならない。
いますぐ飛びたくて仕方がないが、最近入ってきたバイトの人たちに「一緒に駅まで帰りませんか」と声をかけてもらえるようになって、それがうれしくて、労働のイヤさが我慢できるギリギリの値に収まってしまった。そうだ、職場の人との距離感ってこのぐらいが一番過ごしやすいのだ。10ヶ月殺伐とした環境で働いていてすっかり闇堕ちしていたかもしれない。
一応毎日indeedは見ている。う〜とかあ〜とか言いながら部屋干しした洗濯物につまづきながら出勤している。どうにかなりそうだ。
たぶん仕事を辞めても1年は無職のまま生きていける。はず。知らない。知らんけど。わからん。死ぬのか?これ、一人暮らしの辛いとこね。
辞めたい。辞めたい。団体行動向いてない。つらい。
クッキー焼きたい。キッシュ焼きたい。カレー作りたい。中華極めたい。本読みたい。絵描きたい。映画観たい。ギター弾きたい。曲作りたい。ZINE作りたい。できない。できない。時間がない。何かができない私はおもんなすぎるから死んだほうがマシだぜという気分になってくる。殺してくれ。殺せ殺せ殺せ。殺せ!
「オレンジ色が好きだ」という話をよくする。『時計仕掛けのオレンジ』。ナッドサット語(劇中に登場するスラングめいたエスペラント語)で「オレンジ」は「一人の男」。
さしずめ私は労働傀儡のオレンジだ。いやもちろん、週5労働かつそのうち1日はただクラフトビールを飲んだくれているだけっていう労働舐めプレイング派閥ではあるのだけど、自分の有機的な部分が分業化のハグルマになっているさまを目の当たりにするとどうしても「マリオネット」と空を眺めてつぶやきたくなる。
働きたくなくて2週間後は週2しか出勤する気ないからそれまでがんばろう。
◯した
性癖食わず嫌い王がやりたい。
ーお品書きー
デッキ1
・NTR
・女性優位
・乱交
・調教
デッキ2
・AF
・純愛
・薬物
・撮影
デッキ3
・野外
・個室露天風呂
・ロッカー
・実家
対戦よろしくお願いします。
◯憂鬱の秋
返さなきゃいけない連絡が溜まっている。まずい。
キャンプに行きたい……
◯職場2
職場で限界になって早退をした。昼間の電車は空いていて快適だ。このままどこか知らない街で降りてみようか。いや、明日も仕事だしそれはやめておこう。明日も仕事か……。
私は対面でどこか嫌な顔をされたり心配されるのが大嫌いである。それぐらいなら無理して働いていたほうがマシだ。だからその、よっぽどのことだと思う。頭痛でアタマが割れそうなのでも、高熱にうなされて倒れかけだというのでもない。ただ、ここにいたくない、それだけの理由で早退をするというのは、私としては本当にめずらしいことなのだ。
一週間前くらいから「ここももう潮時かね」と思い続けている。自分が繊細ヤクザすぎて嫌になる。嫌いな人が朝からでかい声でどうでもいいことを言っている、嫌いな人が生産性のない悪口を言っている、嫌いな人がこっちを見ている気がする。そもそも仕事がつまらない。どうしてこんなささいなことが我慢できないのだろうか。「どこにでも嫌いな人はいる」し、「お金の為なら多少我慢すべき」という呪いの言葉は何度も聞いた。残念ながら一度脱構築するとそんなセンテンスは都合のいい嘯きだと皮肉ってかかってしまうようになる(もちろん、無意識下で駆動はするのだが)。
「自分で繊細とか言ってのける人は相当面の皮が厚いんだからその心配はないよ」という言説があるが、その理屈が正解ならば私はいくらでも繊細を自称し連呼したい。面の皮が厚くなってみたいものだ。我ながらメンタル強いなー(笑)って一度でいいから思ってみたい。余談であるが私が今まで言われたことのない褒め言葉は「美人だね」と「メンタル強いね」である。それ以外は全部言われたことある。無さそうなヤツあったら教えてください。
いったい私は何の仕事なら満足にできるんだ。
やっぱりこういうときは自己分析なんかをしてみるのがいいだろう。嫌な仕事の基準とはなんだろう?まず譲れない条件として挙げられるのは
・明確に「嫌いすぎる」人間と歩調を合わせなくてもいい
ということだろうか。要は人間関係ということだ。周りが盛り上がっているのに私だけ話に入れない(いや、全然入りたい話題ではないんだけど。ほんとだよ)というのも中々心に来る。私って本当に人間ではないんだろうなと思う。あとはキツイ言い方で八つ当たりとかをされるのも本当に嫌だ(私は弱々しくて何も言い返せなさそうで、きっと極めて八つ当たりされやすい)。こういうときに「知らね〜」って思える能力が、本来私には必要だったのだ、たぶん。でもたぶんそんな私は夕焼けの日差しの切なさや秋の始まりに世界の匂いがガラッと変わることに気づかない。
二番目に挙げられる必須条件としては、
・意味のない仕事だと思わない
ということだろうか。一体何をしているんだと思うことがとても苦手である。
仕事のことを考えるのがイヤになってしまった。またいつかちゃんと向き合うことにする。
◯職場3
私の住んでいる賃貸は隣人の口笛が聞こえるくらい壁が薄い限界賃貸なんですが、隣人の気持ちになると申し訳なくなる。うめき声や嘔吐するような嗚咽、たまに気が触れたような笑い声と壁にアタマをぶつける音が聞こえてくるなんてたまったもんじゃないだろうと思う。
疲れた。今日も仕事に行けなかった。今は玄関で買い物へ行かなきゃなと座って靴を履いて外に出たくないのかなんなのか動けなくなってこれを書いている。別にメシなんか食べたくないんだけど、メシを食べるとドーパミンだか何だかが出て、生きようとしていて偉いねえという気持ちになってくるから、私はメシを食べないといけない。
仕事のヒトに「辞めます」って言うのめちゃくちゃ嫌だな。このままぬるっと無言飛びをしてしまいたい。
音楽を聴いても何も楽しくない。一体全体今までの私は何が楽しくて音楽なんかを聴いていたんだろうか。
本の内容が頭に入ってこない。これがとにかくしんどい。私の脳みそはアンポンタンになってしまったのではないか。自分の脳が錆びついていくのが怖い。もともと対して良い出来ではないのに、これ以上悪くなってしまったら私のプライドはずたずたになってしまう。
ゴミ箱を抱いて玄関の天井を眺めている。外に出なくちゃいけないんだけどな。靴は履けた。えらい。仰向けの背中にスリッパが刺さっている。
今日もまた、他者がせっかくくれた連絡を返せない。ごめん。
私は何がしたいんだろうか。
買い物に行かなきゃいけない意味がわからない。メシを食わなきゃいけない意味がわからない。このまま寝っ転がっていたら自責の念に駆られ出すことの意味がわからない。
自分が何にもできないことが苦しいが、何もできないんだから仕方ない。ごみ。ポンコツ。
誰かが私の頭の中で叱責していますね。うるさいな。明確にしてほしいことがある、世界に。あまりにしょうもないし未熟すぎるからここでは言わないが。
仕方ない。とりあえず最寄りのスーパーまで歩こう。
◯自炊・散歩
シャウと自家製マスタードはウツを救う。シャウだ。プラス数百円で買えるシアワセなのだ、シャウは。
ハニーマスタード・ドレッシングを作ってテキトーなレタスサラダとサラダチキンにぶっかけて食ったら美味かった。ハニーマスタード・ドレッシングは、粒マスタード、はちみつ、オリーブオイル、お酢、塩胡椒をテキトーに混ぜるとできる。自家製マスタードは余裕のある時に仕込んでおくに限る。
シャウの茹で汁でカップパスタを作れ。これでもかというほどトロチーを乗せろ。
テキトー料理とテキトー散歩がいちばんウツに効く。仕方ない。生きるか。
良い。
満腹で寝転んでいたらまた何もできねえのかよの叱責が始まってきた。良い加減にしてくれ。許せ。
風呂。入る。
明日は職場行く、がんばる、がんばって電車のる。行きたくね〜〜