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議員削減を国民の利益と謳う愚かさ
議員削減が叫ばれて久しいのですが。このことについては世論の誤解というか賢い誰かの意図的なミスリードを感じてならないので少しまとめておきます。
政治不信の国民の声に押されてでしょうか、議員定数の推移を見ると減少傾向となっています。
議員定数の削減が論点になり新聞やテレビで「議員を減らせ」と言われるのは、増税や年金減額など国民に負担が迫られるような局面です。よく言われる、「国民の血を求める前に議員の血を流せ」と言うやつです。
議員定数を削減されると当選の可能性が下がってしまうので確かに議員は困ります。しかし、議員を困らすことが果たして国民の利益にかなっているのでしょうか?
議員定数削減のメリットは
1.議員活動に使われる歳費・経費の削減
2.決済の迅速化(少数意見が排除され多数決がしやすくなります)
3.議員の困る姿(落選)を見て胸がすく
3はともかく、1と2は国民にメリットがありそうですが、1の歳費経費の削減は議員定数を削減しなくても歳費を削減し、公設秘書の数を削減すれば実現できそうです。
議員定数削減のデメリットは
1.国民の声が政治に反映しづらくなる
2.少数意見が排除される
3.強い力を持った権力者の出現を許す
4.官僚の暴走を許すことになる
5.議員同士のなれ合いが横行する
6.現職、世襲議員の当選確率が高まり政治が停滞する
そもそも、民主主義の理想形態は直接民主制です。すべての人が自分たちの社会に関する情報を共有し、自らの判断で少数意見も尊重しつつこれからの社会の有り様を皆で決めていくことが理想です。
ところが、物理的に直接民主制は実現しがたく、選挙を通じた代表者を代理人として議会に送り込む今の制度が作られました。マスコミが血を流せと煽り攻撃している議員は我々の代理人であり、我々自身と言っても過言ではなく、彼らに血を流せと迫る論調には違和感しか感じません。
政治で大切な事は何か?
1次的に政治とは集めたお金(税金)をどう使うか予算を作ることです。次に、予算がきちんと執行されたかチェックをする。それから利害が対立することに関するルールを作ること。
予算が執行される現場で指揮を執っているのは政治家ではなく行政の専門家で日本では霞が関の官僚たちが牛耳っています。政治家は彼らの策定する計画をチェックし助言し時としては暴走に歯止めをかけなければなりません。国家公務員数は約60万人います、そして、毎年国家予算だけでも70兆円もの巨額が使われるのですが、果たして数百名の国会議員でしっかりと監視ができているのでしょうか?
対立する利害。企業や事業家と生活者の人権が対立することは日常的に起きています。公害病を例にとるまでもなく生活者の立場は常に弱い。多数者の便利な生活が脅かす少数者の幸せな生活は常に見落とされる危険にさらされている。
政治で大切な事は行政をしっかりチェックすること、少数者の声を尊重することではないでしょうか?
議員を減らせば政治は良くなるのか?
良い政治とは
1.景気が良く経済的に豊かになる
2.公平公正なルールが守られていて誰もが幸せを感じて暮らすことができる
といったとこでしょうか?
議員を減らす事とは関係ないように思われます。議員を減らせばむしろ官僚に対する監視力が弱まり、少数意見が排除され、力の強い人たちや数で勝る勢力の都合の良いようにルールが捻じ曲げられる危険が増すのではないでしょうか?
誰が議員削減を望んでいるのか?
見てきたように生活者や政治が日の光を当てなければならない少数派にとって議員削減は百害あって一利なしと思われるのですが一体誰が望んでいるのでしょうか?
議員定数削減で恩恵を被るのは大きな力をすでに手にしている階層の方々です。例えば、大マスコミや大企業、官僚機構、世襲議員などなど。
誤解のないように言い添えておきたいのですが、マスコミや大企業に敵対するつもりはないのですが「一番利益を得るものが犯人だ」というのはサスペンスドラマの定番じゃないかと疑っているのです。
国民のためにならないような感情的な煽りでしかないミスリードが声高にましてや正論のように語られる現状を作り出している賢い人がいそうですから、我々は警戒して生活しなければならないと思うわけです。
個人的には
議員は多ければ多いほど良いと考えています。議員数を5倍にして歳費・経費を5分の1位にすればいいんじゃないかと思っています。(それでも中小企業の管理職程度の収入はあるのですから)