9月22日文学フリマ札幌にて第一詩集「あさいはじまり」発売+詩公開(8月25日KSJ2024仮想地方大会)!!!
皆さんこんばんは。
来る9月22日(日)、文学フリマ札幌(札幌コンベンションセンター)にて、私の第一詩集「あさいはじまり」が発売されます!
旭川の詩誌「フラジャイル」党から発売となり、ISBNもついて全国からお買い求めいただけるようになります。
札幌や旭川など道内各地のお店にて販売いただける運びのようです。
皆さんよろしくお願いいたします。
8月25日が入稿で、現在最終直し(ダメ出しを受けて)の最中です。まだ一つ二つ、編集者さんのOKをいただけてない詩があります。だからこれを書いたらすぐにその詩の直し作業です。
なお、12月20日(金)の17時から、札幌の俊カフェさんにて
「あさいはじまり」発売記念イベントがあります。
トーク、朗読パフォーマンスなど、2時間ほどの中にいろいろ
詰め込む予定です。
どうぞ気軽にお越しください。
(お店か私に予約をお願いします。)
8月25日にはもう一つ、大変大事な出来事があります。
コトバスラムジャパン2024仮想地方大会です!
北海道大会を経て今年二度目のKSJ参戦となりました。
慣れないツイキャスに苦労しまくりで、どうなるか不安でたまりませんが、できるだけ毎日ツイキャスのライブを観るようにしたり、フォロワーさんに音声テストをさせていただいたりして、何とか頑張っています。さてどうなるか。。
ツイキャスから無料で視聴いただけます。
オンラインで投票もあり、これは採点ではなく「バトルをしていてよかったほうに投票」する仕組みで大変シンプル。
勝敗に直結する投票なので
タイミングの合う方は、ぜひ視聴・投票に協力いただきたいなあと思っています。
私は北海道勢唯一の参加。
応援してやってください。
そんなこんなで、今回もテキストほぼ全公開です。
(一部、公開しないものが一作あります。もしかしたらこの未公開テキストから一つ読むかもしれません)
今回のテーマは「恋愛詩」。
1回戦、準決勝、決勝に準備した作品の実に半分が恋愛詩となりました。
残る半分は「死者に捧ぐ詩(うた)」です。
つまりすべてが(未公開作品も含めて)「他者に捧ぐ詩(うた)」となります。
現時点でどれをどのタイミングで読むかは未定、非公開です。
まずは北海道新聞日曜文芸欄に掲載されかけて惜しかった恋愛詩
『STAND-ALONE』
応募時から大幅に加筆しています。
ある男性とのつらい恋愛と伝わらなかった想い
そして二人の未来についてうたった詩です。
冒頭に「Aimer(エメ)」さんの同名楽曲についての記述が
ちらっとあります。この曲を頭の中で流しながら
読んでください(笑)
STAND-ALONE
Aimerの『STAND-ALONE』を聴いて
胸が想い出す
今の苦しさってこんな気持ちなんだろうなって
毎日のように君に言われた、されたひどいこと
美化するつもりはない
この恋はキレイな想い出にはならない
お互いに傷つけ合って憎しみ合って満身創痍
まだある、まだある、って
コンサドーレ札幌を応援するのと同じ気持ちで
ずっと期待してた
君は断るのがとても下手だった
「価値観もしくは性的嗜好のどちらかが明らかに違う」と
気づき受け入れるのに時間がかかった
これ以上傷つけるつもりはないけど
私はひどく傷ついた
現在(いま)の想いはゼロでも100%(ひゃく)でもない
失くしもしないし 否定もしない
いつか少しでも理解(わか)り合えるときが来たらなって願い
共通の予定をキャンセルした
私は独りで生きるんだなって
ようやく確信した
それでも明日も会社に行くし顔も合わせるって
それでも私たち 独りで生きるんだなって
ようやく 確信できたから
私が仕事をやめて 君が転勤したら
二度とあえなくなるね
だから今のうちに伝える
価値観が合わなくてごめんね
性的嗜好が合わなくてごめんね
ほかに誰かいるの?ごめんね
それなのに全力で好きになって追いかけてごめんね
「関わらない」はないよねごめんね
「ストーカー」はないよねごめんね
多様性とか加害性とかそういうガチャガチャした言葉や概念
刃物のように振りかざして君に真っ直ぐ突き刺してごめんね
SNSで中傷してごめんね
もう言われた通り二度と関わらないごめんね
警察は二度と呼ばないでねごめんね
本当に好きだったごめんね
理解(わか)り合いたかったごめんね
オリンピアンになりたい君とアーティストになりたい私
二人で夢を追いかけたかったごめんね
社会的にもどこか欠落している孤高の似た者同士の二人で
支え合って生きていけると思ったんだごめんね
生まれてきてごめんね
普通の女性に生まれてこれなくてごめんね
血を流しながら生きるしかできなくてごめんね
こんな私を誰かに受け止めてほしかったごめんね
二度目の人生は赦されるのかなごめんねさよなら
次に、これも恋愛詩
『MY SMILE IS A RIFLE』
ある男性に社内メールで告白の返事をされ、
「ストーカー」と呼ばれ、
しまいには警察まで呼ばれた体験から、書いた詩です。
第一詩集では「心の戦場でバラバラにされたとき」と
表現させていただきました。
MY SMILE IS A RIFLE
「ストーカーと思われる行為をされて恐怖を感じました」
私の笑顔は拳銃なんだ
「インスタブロックしました 気持ちに応えるつもりはありません」
私の好意は地雷なんだ
人の心傷つけるのはいともたやすい
一言二言 社内メールすれば充分
人の心 治すのはとても大変
あと何年 私はこの言動に苦しめばいい?
PTSDに苦しむ兵士
「あなたの好意 ずっと迷惑だったんです きめえ」
私の笑顔は拳銃なんだ
「『嫌』というサインはずっと出していたのに KYできめえババア」
私の好意は地雷なんだ
多様性は尊重するさ 私とて別のマイノリティ
だが だから人の心 壊しても許されるのか
何を言っても許されるのか
めんどくさいなら人の心爆撃してもいいのか
家など尾けてない 昼食だって尾けてない
被害妄想で人をストーカー呼ばわり
説明の余地も機会もなし
言葉の加害性を考えもせずに
壊れても命飛ばしても
自分さえよければそれでいいんだ
どれだけ君を想ったか
どれだけ傷つけられて悲しかったか
笑顔にも行為にも告白にも勇気が要ることを
少しでも想像したことがあるだろうか?
私のロックスターが歌った
フレーズはこんな気持ち
自分の笑顔が拳銃だと感じることは
緩やかな自殺行為
私の笑顔も親切も思いやりも優しさも
地雷、自爆
私の笑顔は拳銃 君の言葉も拳銃
迷彩色の情念に生きる
それだけのことをされた
私は君を許しがたい
ドローンで監視なんてしてない!!!
憎しみに憎しみで応戦すべきかどうか
でも私の心は
もう射撃場じゃない
第一詩集制作にあたり、既存の詩も大幅に加筆修正、もしくは削りました。
なかでも『ロックスター A HUNDRED SUNS Version』は
その最たるもので、
たくさん表現の仕方を変えました。
同じ詩ですが、半分近く新しい詩になっていると思います。
より響くように、音楽に近づけるようにと
言葉を熟慮し、
校正、推敲を重ねました。
ブンブンサテライツ(BOOM BOOM SATELLITES)と
スペルバウンド(THE SPELLBOUND)の音楽を
イメージしながら、読んでみてください。
ロックスター A HUNDRED SUNS Version
二〇〇八年二月三日 札幌
アナタガ唄ウ
魂ノ片割レ 奏デル
宇宙的な要塞を切り裂く あなたの
鋭く温かい 人懐こい響きのシャウトが
札幌のライブハウスに広がった
片割レは厳しい表情とタイトな所作で
ベースを弾き鍵盤を弾いた
あなたは機関銃のように歌や歌詞を叩きつけた
機械のようなパフォーマーだと思ったけれど
世間の「ブンブンサテライツ」のイメージと全然違って
本当はメチャクチャでグチャグチャで
飲んだくれで少しもちゃんとしてなくて
天衣無縫で そんな魅力のある人だったと
私たちは気づかず
ビッグ・ビートと純文学を激しくぶっつけたみたいに
ダンスフロアの真ん中であなたは狂ったように皆の前で叫び続けた
なぜ生きるか、なぜ生まれてきたかを問い続け
強靭なビートにのせてオロオロアルキ
人を踊らせながら 慟哭し
助けを乞い 命を乞い
気が付くと人の命を手助けするような音楽に向かっていった
魂ノ片割レは
そんなグチャグチャなあなたに振り回されながら
魅力を感じて
あなたを時に厳しい言動で引っ張って
あなたの在り方にインスパイアされながら
激しい音楽をつくるようになった
二人で唯一無二の 音楽を世に出した
やがてあなたは長く患った病との闘いを終えて
岩手の宙(そら)に 魂を還した
二〇二三年九月一七日 札幌
継グ者ガ唄ウ
魂ノ片割レ 奏デル
遺された片割レは生きて
音楽の続きをやると決めた
継グ者は 全ての物語を引き受ける覚悟で
名乗り出た
新しい音楽が始まった
圧倒的な音像は変わらずに
軽やかさをまとうようになり
日本語の歌詞で より幅広い人に
伝わる音楽になった
なぜ生きるか、なぜ生まれてきたかを考えながら
縛られることもなく
インスタグラムの配信で
毎週よく笑っている
あなたも見ているのだろうか?
宇宙的な要塞でダンスする 継グ者の
柔らかく力強い 意志の貫徹した声が
札幌のライブハウスに広がった
片割レは何度も嬉しそうに笑って
ベースを弾き鍵盤を弾いた
片割レも 継グ者も
真摯に自分たちの音楽について話した
最後に片割レが宙(そら)を見た
あなたを探してるみたいだった
あなたの声が聞こえていたのかも
こんなふうにして
魂は永遠に歌い継がれる
歌は永遠に続いていく
そんな音楽 そんなロックスター
今までもこれからも存在し得ない
片割レによる強い意志と愛と
私たちによる終わらないカーテンコール
参考文献
BOOM BOOM SATELLITES 25th Anniversary BOOK『ブンブンサテライツ』
(音楽と人)
最後に、こちらも第一詩集制作にあたり多少の修正を加えた代表作
『みきおさんの詩(うた)』も掲載します。
上士幌町で木彫り職人として木彫りのクマを彫って彫って彫り続けた
私の亡き父、伊藤幹男。
夭折の職人の人生をうたいました。
みきおさんの詩(うた) ~亡き父・伊藤幹男に捧ぐ~
一九五〇年二月一〇日
北海道の十勝管内新得町という 寒い町で
みきおさんは産まれた
木の幹に男と書いて みきおさん
この世に生を受けた瞬間に
人生は決まっていた
すくすくと育っていくみきおさんが
彫刻刀を手に取り 木を彫り始めるのは
すぐだった
木を彫ることにのめり込み
上士幌町の木彫りの先生に師事し
通信制の高校を卒業して
木彫りのクマやフクロウを
阿寒町のお店に売るようになった
小さな一軒家を建てるまでになった
大きな薪ストーブにソファ
ささやかながら草木生い茂る庭
離れには仕事場の小屋を作った
やがてお見合いで奥さんをもらって
二人の子どもが産まれた
何もかも手にしたようなみきおさん
毎日夢中で 木を 彫って 彫って
彫りつづけた
四人家族で生活していくには
もっともっとお金が必要だから
生活のため 木を彫るだけでなく
木こりになって木を切るようになった
毎日朝から晩まで木を切って 切って
切りつづけて働いた
木を彫る時間は
疲れきって帰った夜と週末しかなかった
生活のため 周りの人のため
土曜、日曜も働いた
木彫りのクマにはいつしか
古臭い、悪いイメージがついていた
誰もみきおさんの本当の仕事を知らず
見に来る人もいなかった
木彫りをしている人も 近所の人も
みきおさんのことを知らなかった
それでもみきおさんには
木を彫りつづけることしかできなかった
毎日夢中で 木を 彫って 彫って
彫りつづけた
人一倍元気だったみきおさんはやがてがんになり
気が付いたら手の施しようもなくなっていた
そんなとき みきおさんの仕事場に
木こり仲間の青年たちがやって来て
「みきおさんの本を作りませんか?」と言ってくれた
話は膨らみ 本はもちろん
帯広の六花亭で個展を開くまでになった
みんながみきおさんの木彫りのクマを求めてやって来る
そんなときみきおさんの命は
あとほんの少ししか残されていなかった
新聞に載って
「こんな人が上士幌町にいたんだね」と評判になった
七十一歳で息を引き取るまで 木を 彫って 彫って
彫りつづけた
みきおさんは 出来上がった本でこう言った
「皆さんも、自分の好きなことは、
ぜひやりつづけてください。
いつか必ず、いいことがあると思いますよ。」
全てを失い 命を捨てようと身を投げかけたそのとき
不意にみきおさんの言葉を思い出した
みきおさんの娘である私は
生きることをやめることをやめて
書きつづけることを選んだ
みきおさんが彫りつづけたように 私も今
書いて 書いて 書いている
参考文献 『みきおさんのクマ本』
出版:ワンズプロダクツ 文:コジマノリユキ
第一詩集「あさいはじまり」、
KSJ2024仮想地方大会、
頑張っていきますので
応援よろしくお願いいたします。
また、9月22日の文学フリマ札幌について、
出店する作品につきまして
改めて近いうちに記事を書きます。
どうぞよろしくお願いいたします。