On a quiet night, as usual.
今日も"わたし"は、ひんやりとした床に寝そべりながら、
天井のあかりが作る幻影と遊んでいる。
静かな夜である。
チク・タク・チク・タク・・・
時計の中できんいろの人形がクルクル回りながら、静かに時を刻んでいる。
"わたし"はだいたいこの小さな部屋の中にいる。
今日も、明日も明後日も。その後も。その後の後も…
飽き飽きする楽譜を横目に眺めながら、
"わたし"は小さく溜息をつき、瞼を閉じた。
1日の出来事がコーヒーカップのように、ぐるぐる頭の中を回転する。
友人たちの言葉が、ざわめき、こだまする。
(明日はもう少し、うまくやれるだろうか…)
…俄に心臓がドクドクと高鳴り、思わず目をあけた。
・・・
"わたし"は決心してむくりと起きると、
褐色に艶めくヴァイオリンを弾き始めた。
鏡の中に映る"わたし"と一緒に。
チク・タク・チク・タク・・・
変わらない時の音。
時折遠くからかすかに、団欒する家族の笑い声が聞こえてくる。