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北欧児童文学の、キャラの濃い脇役たち。


北欧スウェーデンのアストリッド・リンドグレーンは長くつ下のピッピで有名な児童文学作家です。

彼女が書いた本のキャラクターはピッピからもわかるようにたいがい強烈なのですが、わたし的にいちばんやべえな…とおもったのがエーミル。

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ではなく、父と母。

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主人公の脇役のキャラが濃くなりがちなのはドラえもんのジャイアンやスネヲから容易に想像できます。

でも、エーミルの父と母はそれをはるかに上回るのです。

この本をよんでそんな2人が大好きになったので、そんな彼らの破天荒エピソードを少しご紹介。

鉢に頭を突っ込んで抜けなくなったエーミル。エーミル母は心配して鉢を叩き割ろうと提案。するとエーミル父。

「おいおい、気でもちがったのかい?」お父さんがいいました。「いいか、この鉢は、四クローナもしたんだぞ」

エーミルはいいのかい!

その後、他の人がなにをやっても鉢から頭が抜けません。エーミル母は心配して、もう一度鉢を叩き割ろうと提案。するとエーミル父、

「ぜったいだめだ!鉢は四クローナしたんだぞ。そんなら、マリアンネルンドの診療所へ行く方がましじゃないか。先生ならきっとひっぱりだしてくださるさ。どっちみち三クローナしかおとりにならないから、そうすりゃわしらは一クローナもうかることになる。」

まあ、言うてることはわかる。けどこれ、非常時では?

お母さんもいい考えだと思いました。まるまる一クローナもうけるなんて、そう毎日できることじゃありません。そのお金で楽しくお買い物ができるなんて、すばらしい!

エーミル母、陽気やな

その後、エーミルは診療所までいきますが、ひょんなことから鉢を自分で割ってしまいます。エーミル父は、これで四クローナ無駄になったと落ち込みますが、診療所の先生が鉢から子供を引っ張るのにたいてい五クローナもらうとわかると、父大喜び。エーミル母も喜んで、

「ねぇねぇ、また一クローナ得しちゃったわ!そのお金でなにを買いましょうか?」

いや2人ほんまめでたいな!!!


こんな愉快な父母ですが、翻訳者の方の後書きによると、このエピソードはアストリッドの子供時代の体験をもとにかかれているそうです。彼女は子ども時代をスモーランドで過ごしていましたが、スモーランド人はけちでした。(けちなのはスモーランド地方が貧しかったからとも考えられているみたい。)そしてそのけちなエピソードをユーモアたっぷりに語っているのです。

児童文学は大人になってからみても面白いし、海外の本はその文化も盛り込まれており、新しい発見があります。おすすめです!



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