【インド・ラダック珍道中②】
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絶望から始まるインド2日目
インドに到着して、2日目。
三脚ピックアップのために空港を駆け回り、結局何もできずホテルに戻ってきたのは深夜1時。
私は明日、ひとりで三脚ピックアップというミッションをクリアしなければならないのだが、赤ちゃん英語しかできない私にトラブル対応ができるはずもなく、しおりさんが救いの手を差し伸べてくれた。
事情を説明するための英語を教えてくれたのだ。私はホテルにあったメモパッドに必死に書き留める。そして読む練習。とにかく、これを伝わるまで言い続けろとアドバイスをもらった。
そんなことをしていたら、いつのまにか朝だ。私以外の3人はホテルをチェックアウトし、私だけ延泊の手続きをした。パスポートと航空券を握りしめて、私も一緒にデリー空港に向かう。航空券があるので、デリー空港のセキュリティは、なんなく通ることができた。とりあえず第一関門突破だ。
三脚ピックアップミッション遂行なるか?
朝5時30分。3人をお見送りし、私は1人空港に残る。急に不安になるが、なんとかするしかない。まずは、インフォメーションが空く10時まで空港のベンチでひたすら待つ。ネットも使えないので、何もすることがない。ただ、昨日寝ていなかったのでベンチで仮眠を取るにはちょうど良かった。周りを見渡すと結構、ベンチで寝てる人は多い。旅は慣れているのでベンチで仮眠を取るのは得意だ!約4時間。ひたすら寝る。こんなに何もすることがない時間を過ごすのはいつぶりだろう。
9時。インフォメーションはまだ開いていなかったが、デリーから羽田行きのANAの飛行機があったので、カウンターに行ってみる。もしかしたらANAの日本人スタッフがいるかもしれない!そんな期待を持って、日本語が話せるスタッフはいないか尋ねた。残念ながら、ANAのカウンターにいたのは、共同運行のシンガポールエアーのスタッフのみ。全カウンターのスタッフを見て回ったが、日本人スタッフはいなかった。せめて日本語が話せる人と繋がれたらと思ったのだが、その希望は儚く消えた。
10時になったのでインフォメーションに向かう。スタッフが2人いる。私は、しおりさんに教えてもらったメモを見ながら片言の英語で事情を説明する。伝わるまで繰り返し何度もだ。最初は全然伝わらない。でも、ネット環境もない私にはこのメモしか頼れるものがない。ひたすら、繰り返し伝える。
ここで、インド人の強引さが私を助ける出来事が起こる。
まだ私がスタッフと会話しているにも関わらず、右から左からと同時に質問してくるのだ。いやいや、順番待ってよと思っていたら「Wi-Fiパスワードプリーズ」という言葉が聞こえた。
え?Wi-Fiのパスワードもらえるの?
どうやらSMS認証できない人向けにWi-Fiのパスワードがもらえるということを知り、私はネット環境を手に入れた。これだけでもかなり心強い。
まずは旅メンバーに状況報告。そして、デリー空港で忘れ物をした時の回収方法をネットで調べまくる。
インフォメーションに別のスタッフが来たので、改めてメモ通りの英語で事情を説明すると、スターアライアンス(以下、スタアラ)の窓口があるからそこに行ってみてはどうか?とアドバイスをもらった。一歩前進だ。スタアラの窓口で再びメモを見ながら事情を説明する。ここでも同じ言葉を繰り返し何度も。しかし、ANAのスタッフに聞け、インフォメーションに行け、ここでは対応できないとドライな対応・・・。
再び、インフォメーションに戻り、スタアラの窓口では対応してもらえなかった旨を片言の英語で伝えた。こちらが本当に困っている様子を見かねてか、インフォメーションのおじさんがANAのサポートに電話してくれた。すると、14時にスタッフが出勤してくるから、その時間にもう一度インフォメーションに来てくれと言われ、また一歩前進。色々と丁寧に対応してくれるおじさんが来てくれてよかった。1人目はとてもドライだったから、話を聞いてくれて、できる対応をしてくれるだけでも本当に心強かった。
ただ、まだ4時間もあるのでできることはしようと思い、ANAのサービスセンターに電話をしてみた。残念ながら機械の対応のみで、しかも英語対応だったので何も進展はなかったがネットと電話ができるだけでも方法を模索できるので、心は少し落ち着いていた。
インフォメーションの近くのベンチで14時までひたすら待つ。13時過ぎ、優しいおじさんが荷物を持ってインフォメーションから出て行こうとした。
私は、唯一の心の支えであるおじさんがいなくなることに、すごく不安を感じ慌てて彼を追いかけて叫んだ。
「Where are you going?」
相当不安な顔をしていたのだろう、おじさんは「大丈夫。ランチに行くだけだからまたすぐに戻ってくるよ。大丈夫、大丈夫だよ」と言ってくれた。
よかった。今おじさんがいなくなったら私はまたゼロから助けてくれる人を探さなければいけないところだった。
ミンションコンプリートの兆しが見えた
おじさんがいない心細さはあったが、ANAのスタッフが来るのを待ち続けた。ただ待っていたら三脚がもどってくるわけではなく、あくまでもANAのスタッフが来るというだけ。できることはやろうと思い、何か方法はないか調べ続けた。
すると、メールでの問い合わせ先を見つけた。藁にもすがる思いで翻訳アプリをつかって、デリー空港で忘れ物をした旨をメールした。
すると、すぐに返事が!!!
なんと、私の忘れ物がDELAPO officeにあるという内容だった。三脚が保管されているという状況がわかっただけですごく安心した。あとは、なんとかしてピックアップするだけだ。
14時になったが、ANAのスタッフは出勤してこない。おじさんも帰ってこない。私はまた不安になったが、もう自分にできることがなにもなかったので待つしかない。とにかく待ち続け、16時になった。
インフォメーションスタッフの人が私の方に寄ってきて、「ANAのスタッフが今から三脚を届けに来るよ」と声をかけてくれた。
泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣泣
待ち続けてよかった。やっと三脚が戻ってくる。
30分後、遠くから私の三脚を持ったスタッフが歩いてくる。私は立ち上がって手を振った。受け取り証にサインをして無事三脚のピックアップに成功した。この時の安心感は今でも鮮明に覚えている。ちなみにこのスタッフさんはインド人だったので、デリーには日本人スタッフはいないのかもしれない。
優しかったおじさんにお礼を言いたかったが、結局帰ってこなかったのでお礼が言えなかったことが唯一の心残りだ。おじさん、本当にありがとう!
一難去ってまた一難
さあ、ホテルに戻って明日の出発準備をしよう!と思い三脚を届けてくれたスタッフに外に出たい旨を伝えると、不思議そうな顔をされる。
私は、デリー空港のルールをわかっていなかった。デリー空港はセキュリティがとても厳しいので飛行機に乗る人しか空港の中に入れないという話を覚えているだろうか?(インド・ラダック珍道中①でのお話し)
逆に飛行機に乗らない人は空港内にはいないので、外に出るという行為自体あり得ないのだ。私は三脚を手に入れることはできたが、空港から出ることもホテルに戻ることもできなくなってしまった。
突然だが、あなたはトム•ハンクス主演の「ターミナル」という映画を知っているだろうか?
パスポートが無効になり空港ターミナルに閉じ込められてしまった男の物語だ。今の私は、まさにこの状況だった。空港にいるのにどこにも出発できず、空港から出ることもできず・・・。
そもそも、空港に入るときに乗らない飛行機のチケットで入っているのだから普通に考えれば想像がつくところだが、そこまで考えられていなかった。ANAスタッフに翻訳アプリを使って事情を説明。
事情はわかってもらえたのだが、手続きが色々必要とのことだった。
まずは、乗れなかった航空会社に飛行機に乗りそびれた旨の証明書を発行してもらう。その証明書を持って警備室で再度事情を説明。色々書類にサイン。ようやく空港の外へ出ることができた。時間は18時だった。
朝5時半から12時間以上かかったが、無事三脚をピックアップすることができた。
さすがに疲れたので、明日の準備をしてすぐに寝た。
いよいよ明日、目的地のラダックに行きみんなと合流する。気持ちを切り替えて明日からは楽しむぞ!
続く…