『Loretta』レビュー
『Loretta』は、1940年台のアメリカの片田舎を舞台とした、2D横スクロールのサイコスリラーアドベンチャーだ。
主人公はタイトル名にもなっているロレッタ・ルー・ハリスという38歳の女性。ストアテキストで明示されているように、彼女が夫の保険金の存在を知り犯罪を犯すことはすでに決まった筋書きで、そう運命づけられた人物だ。
本作はプレイヤーがその顛末を見届ける形でゲームを進めていくことになる。
ゲームシステム
先に触れたとおり、主人公ロレッタが犯罪計画を立て、それを実行に移していくことは本作を開始する前から折り込み済となっているため、ゲームとしてその筋書きをたどっていくことになる。
プレイヤーは彼女を操作することになり、ポイント&クリックで様々なモノを選択して反応を見たり、その時々に現れる選択肢を選ぶことによってストーリーが進んでいく。
しかし、それらの選択がどういった結果をもたらすのかは予想できないため、何気なく選んだ選択で登場人物がいきなり殺されたり、ロレッタ自身がバッドエンドを迎えるなど、まさにトライアル・アンド・エラーで試していくしかないわけだ。
つまり「これを選ぶと何が起こるのか」を楽しむゲームといってもいいだろう。
なお、謎解きやパズルもあるが、あくまでゲームを構成する要素のひとつであって、それをメインとしたゲームシステムではないことは付け加えておきたい。
日本語サポート
UI/テキストが日本語に対応。
主人公の心情的な部分やどこか生々しい表現、1940年台という時代背景を感じさせるような描写はクオリティも高く、ストーリー主導の本作にマッチした翻訳になっているという印象だ。
以前公開されていたデモ版では Reimond 氏 (@Reimond1997) が翻訳されていたが、製品版のクレジットによれば翻訳/LOAは Sakura Yamaguchi 氏、テキスト校正/LQAは Aki Tatsumi 氏が担当されている。
気になるポイント
解像度の設定がなく、フルHD以下に最適化されているようだ。
WQHDや4K環境でフルスクリーンでプレイしようとすると画面やテキストがボヤけてしまうため、サイズ固定のウィンドウモードでプレイした方が目に優しいが、しかし没入感は削がれてしまう。
リリース後にこの部分に手を加えることは難しいことは理解しているが、没入感が効果的に作用するゲームシステムなので、ここは惜しいと感じてしまった。
総評
徐々に明らかになっていくストーリーを追いかけるというものではなく、主人公はこうなっていくという結末があらかじめ示された上で辿っていくような展開はおもしろい。
トライアル・アンド・エラーではあるがプレイヤーに選択権があり、彼女の行動に干渉できることでゲームとしての余地もしっかり残している。
ある種のゲームブック的な手触りを好むプレイヤーにはおすすめだ。
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