ニュースとは何かということについて考え、10に分類してみた

記者をしていれば、企業の広報担当の方から、「どうすればニュースとして取り上げられますか」という相談を受けることが少なくありません。掲載記事を広告価値として算定できる時代ですから、広報担当の方々にもシビアな成果が求められています。

現在はビジネスサイドの末端に身を置いていますが、3年前までは現場の末端記者でした。

「この新商品(新サービス)をどういう切り口でPRすればいいですか」といった具体的な相談や、「ニュースとして取り上げてもらいやすいプレスリリースの書き方は」といったHow to的な質問もありました。

記者の立場として、当時はなかなか申し上げにくかったです。

でも正直なところ、日々山ほど寄せられるプレスリリースや広報資料から、どのようにネタを抽出して取材につなげているか、自分でも整理できていなかったのです。「これは面白い!」とか「わー大変だ」とか「他の記者に見つからないうちに書いちゃおう」とか、非常に感覚的な作業だったように思います。


そういえば、ニュースって何だっけ

今、一歩引いた立場から、改めて当時の「感覚」を整理しようと思いました。

そもそもニュースをお伝えするうえで、何がニュースなのかを解っていないほどいい加減なことはありません。感覚のままであっては、読者の皆様にも、企業の皆様にも失礼ではないかと、ふと思い立ちました。


多くのニュースは、以下10分類のどれか、または複数に該当する(と思う)

新聞記者を代表する感覚ではなく、あくまでも一末端記者の現場感覚をまとめてみたものですので、どうか誤解のないようお願いいたします。また、時代やメディア環境によって少しずつ変化していくものでもあると思います。

誰かのお役に立てることを祈って・・・


1、重大性

「大震災発生」「衆院解散」「天皇、生前退位の意向」

とにかく多くの方が関係するニュースです。国や自治体の大きな動きや、多くの方が犠牲になる、あるいは生活に支障を来すような災害や事件事故などです。「重大」の定義の問題はありますが、誰もが、ああ大変だ!と感じるようなニュースです。


2、季節性

「桜満開」「夏休み、水遊びする子どもたち」「梅雨入りでレインコート売れ行き増」「今年のクリスマスのトレンド」

文字どおり、季節感のあるお話です。新聞だと「写真モノ」と言うこともあります。季節感のある写真は、1面や社会面を大きく飾り、アイキャッチになります。


3、話題性

「芥川賞に『コンビニ人間』」「芸能人の○○さん、結婚」

毎年必ず話題になるノーベル賞や芥川賞、映画祭など、それ自体がニュース性を持つイベントは、必ずニュースになります。

また、知らない人がいないほどの著名人の方の動向も、ニュースです。

「ネットで話題」という感覚とちょっと違うかもしれません。


4、時代性

「音楽CD販売減」「老老介護」「縮小ニッポンの衝撃(NHKスペシャル)」「ポケモンGO爆発的人気」

今、という時代を象徴するような話題は、ニュースになります。無意識的に感じている同時代性を自覚し、共有し、記憶するキーワードともいえます。

ポケモンGOについては、スマホ所有率7割、ゲーム・キャラクター人気、かつスマホを手に外を歩くというスタイルが、今という時代を物語る象徴になりそうな気がします。


5、方向性

「自動車メーカー『コンパクト』に注力」「『副業』ブーム」

業界や人々の暮らしが向かっていく方向を示す記事は、個別具体的な話題に比べ、多くの方に関心を持ってもらいやすいのでは、と思います。

あるメーカーがコンパクトの新車種を出した、という情報ももちろん重要ですが、大手メーカーが軒並みコンパクト車に注力しているとなると、それは業界としての方向性を感じられます。時代性ともリンクします。短い期間に同業他社から同様のリリースが来たり、似たような話を聞いたりすると、「業界の方向性としてまとめよう!」と記者は思います。

「副業OK」は、日本の働き方が変わる、大きな方向性ですね。


6、革新性

「ドローンでの宅配が実現」「初の手術が成功」

ニュースはNEWsですから、誰もやっていないことだったり、新しい技術だったり、新たな発見だったり、革新的な出来事はニュースになりやすいです。記者はミーハーで新しもの好きで飽きっぽいです(私だけですか)。


7、逆行性

「デジカメ全盛も、ポラロイドカメラが静かなブーム」

時代性、方向性、革新性ときて、それと逆行するような話題もニュースになりやすいです。敢えて逆をいくのもいいかもしれません。


8、独自性

「リクナビ・マイナビに頼らない新人採用」

独特のやり方、独特の技術、独特のパーソナリティ。オンリーワンはニュースです。逆行性とも近いですね。


9、物語性

「逆境はねのけ成功」「幼なじみが託した夢を実現」「商品開発秘話」

ストーリーテリングも記者の大事な仕事であり、筆力が問われます。VHS/ベータ戦争など、商品やサービス開発の中で生まれるストーリーは、業界内だけでなく広く訴求力を持ちます。教えてください。


10、課題解決性

「ゴミを減らす新技術」「貧困の子どもを救う食の仕組み」

多くの企業や団体、個人が社会の課題解決に取り組んでいます。伝えることしかできませんが、記者もそんな取り組みを後押ししたいです。


以上です。

過不足、あると思います。未熟者ですので、ぜひご指摘をいただけますと幸いです。

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