雑談力 その1 「ふと交わす二言三言」編
シンクロニシティなのか、それとも無意識にそこにアンテナが立っているのか、
この頃「雑談」や「世間話」ということについてやたらと目や耳に入ってくる。
例えば、
「午前0時の森」という番組で、
オードリー若林さんと日テレ水卜アナが雑談力というものについて考察していたり、
「あさイチ」という番組で、
ジェーン・スーさんがポッドキャストで放送なさっている「となりの雑談」という番組(共演:桜林直子さん)
を紹介しておられたり、
などということが相次いで起きている。
それ以外にも、人との会話の中で
「こうして雑談することで自分の考えがはっきりしてくるのよね」
みたいな言葉が出てきたりすることも多く、
今、私の最大関心事のひとつが「雑談」なのだと認識している。
雑談も2種類あるように思う。
「午前0時の森」で扱っていた雑談の種類はというと、
例えば、エレベーターで知り合いと乗り合わせた時にふと交わす二言三言、
仕事をする前に、本題にいきなり入らずに交わす互いの近況、といった
それ自体には大きな意味を持たせなくても良いような、
人と人のクッション的な役割を果たすような会話のことについてであった、
一方「となりの雑談」の方は、
テーマは決めずにとにかく気心知れた同士が
どんどん話題を深掘りして言語化していくのだが、
そこに正解を求めたり、何かを断じたりということはない。
話が転がっていくうちに、ふだん考えていることがまとまっていったり、
お互いとの考えの違いを通して自分を客観視するようなタイプのものだ。
両方について一度に書くと長くなるので、今回はまず前者、
「ふと交わす二言三言」タイプの雑談について。
はっきり言うと苦手である。
だからと言ってやらないわけではない。
そこはいい大人で、社会人も長く続けていますからね。
そう、大人のたしなみなのだと思う。
私は、人との潤滑油にするべく、なんとか絞り出して言っている。
実際は気の利かない人間なのでぼんやりとしてる方が楽なのだが、
そこはなんとか自分に鞭を打って(大袈裟)、
天気の話題のひとつも絞り出しているのである。
思えば、学生の頃までは天気の話題ってなんなんだろうな、と思っていた。
暑いだの寒いだの雨が降っただの、
口に出さなくたってわかるじゃないかとすら思っていた。
でも「口に出さなくったってわかるからこと」だからこそ、
人間性を疑われるようなことや
腹の底を探られるようなことなどを含む余地がないのだ。
例えば
「よく降るねえ」
「ほんと、もう3日も雨続きですね」
「明日は曇りにはなるらしいよ」
「そうなんですね」
どうだ、人間性を挟む余地などないだろう?
しかも2ターンも話したぞ。
エレベーターの3階に行く間くらいまでの半分は間を埋めたぞ?
大人として最低限のことはできたような気になる。
ここに少し気を利かせた話も盛り込むのであれば
「よく降るねえ」
「洗濯物が乾かなくて困りますよね」
「部屋干しだと匂いも気になるし」
「あ、部屋干し用の柔軟剤を使ってるんですけど良いですよ」
どうだ、ちょっとした生活情報も挟んで立体感を出しつつ、
やはり人間性まで踏み込むものではない会話ができたぞ?
そしてこれでとっかかりができたのであれば、
例えば、
「柔軟剤ね。香りが強いものが家族が苦手なんだよね」
「それなら〇〇っていうのが消臭はしてくれるけど匂いはマイルドですよ」
と柔軟剤の情報をさらに追加したり、
「うちは乾燥機を使っちゃう。でも電気代が高くつくけど」
「電気代、高いですよね。もう少しなんとかならないですかね」
と、物価高の話題へとシフトすることもできる。
もちろん、こういう話がなくていきなり本題に入ると言うのも
別にルール違反ではない。
でも、なんというかこう、雑談ってアイドリングみたいなものなんだろうね。
いきなり全速力でエンジンをブッ放して走るのではなく、
温めておくことが目的というか。
この人とは会話が成り立ちますよ、本題に入ってもうまく進みますよ、
とお互いに確認ができるというか。
あと、もうひとつ、私が苦手ながらもこの手の雑談を会得しておくべき(大袈裟だな)だと思うのは、
厄介な人とのトラブルを避けるためである。
世の中にはあることないこと噂話をして、
それだけならまだしもどんどん尾鰭も付け足していく人が
どこのコミュニティにもいるものである。
そういう人は噂話をしているときにただ「うんうん」と相槌を打っただけで
「〇〇さんも『私もそう思う』って言ってたよ!!」
と、その噂話を大いに肯定した人として他の場で触れ回られてしまうのだ。
(実際そういう目に遭ったことがある)
なので私はその手の人とは基本的に話を一切しないように気をつけているものの、
それこそエレベーターで二人きりになるとかそういうシチュエーションになったら
すかさず
「よく降りますねえ〜〜」
と天気の話題をこちらから振っていくのである。
先ほども書いたようにこの種の話題には人間性を差し挟む余地がないので
トラブルに巻き込まれることはほぼないと言っていいだろう。
実際、あるトラブルメーカーの人とはここ数年天気の話題しかしたことがない笑。
私は、学生時代にはわからなかった、大人がやたらと天気の話から入っていく理由について、
社会人生活、ママ友との付き合いなどを経てこうして理解していった。
したくてする話というよりも、人付き合いにおいての便利グッズとしての雑談。
ここまであれこれ考察せずともできるようになった時、私は本当の大人になるのかもしれない。
後者の「テーマを決めずに思っていることを言語化して深掘り」するタイプの雑談については
また日をあらためて書こうと思う。
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