
お雑煮偏愛記(日記 1/20)
1月20日(月)
義母が風邪の引き始めっぽいので今日は一日寝ておく、とのこと。本当は彼女の送迎業務があったのだがキャンセルとなった。お粥を炊いて義母の部屋へ置いておく。今夜は冷凍の鍋焼きうどんを食べるつもりなので、晩御飯はもう何も作らなくていいよと言われた。
義母には申し訳ないが私の頭には「チャンス到来」という文字が浮かんだ。実家の味のお雑煮を作って食べる絶好の機会やないか!嫁いだこの家は鰹だしのすまし汁に、ちくわと豆腐と水菜がたっぷりと入っていてもうそれだけでお腹いっぱいになるお雑煮である。正直言って、何十年経ってもあまり好きになれない。
一方、実家のお雑煮は昆布だしの味噌汁仕立てで、具材はカブと里芋。いただく時に鰹節をかける。これが私は大好物なのだ。年始はもう何年もお正月を外して帰省しているので、随分と食べていない。はあ、食べたい。んなもん、作って食べればいいじゃないかと思われるかもしれないが、その昔一度この家でも作ったことがあるのだ。しかし家族みんなの箸が進まなかったのでそれ以来、作っていない。
都合のいいことに、昨日は湯豆腐を食べたので昆布だしをたくさんとっておいたのであった。ああ、神様...!なんという巡り合わせでしょう!(大袈裟)。
カブも里芋も年末に下処理して冷凍したものがちゃんとある。ナイス、過去の私。昆布だしにそれらを入れて軽く煮立ててお味噌を溶き入れる。もうこれだけで美味しそうなのだ。血迷ってお餅を3個解凍しそうになったが、呼吸を整えて2個にした。五十路女性、目で見て食べられる量と実際に食べられる量には大きく乖離があるのだ。
レンジでお餅を解凍して先程つくったお汁へ投入。あまりずるずるに柔らかいお雑煮は好きではないので、温まったくらいで器によそい鰹節をたっぷりとかける。湯気でゆらゆらと揺れる鰹節は「あさひさん、どうぞ召し上がれ」と祝福のダンスを舞っているかのようだ(幻覚)。
まずお汁をひとくちすする。ああこれこれ、この味だよ。昆布だしと鰹節のハーモニーの妙。そして私はおもむろにお餅を箸で持ち上げ、大口で思い切ってパクリと入れた。おお…私の大好きな実家風のお雑煮…!味噌汁が絡んだお餅の優しい甘さ!しかし油断してはならない、五十路女性、大口で放り込んだお餅を喉に詰めたのではシャレにならない。じっくりと咀嚼して少しずつ喉に通す。実家でお雑煮を食べていた若かりし頃には想像できなかった未来である。
三つ子の魂百までとは言うが、お雑煮は私のソウルフードとも言える食べ物となっているのだな、とあらためて感じた。若い頃もそれなりに好きだったけれど、これほど自分がこのお雑煮を愛していたとは。
夕方、夫が遅くなるので晩御飯はいらないと連絡があり、私はすぐに思った。
これは…今夜もお雑煮や!!
今日はお雑煮フェスティバルやないか!!
なんという僥倖!!
昼と同じくまだ材料は残っている。良かった、残しておいて。
お昼に食べたばかりなのにやはり美味しくて、飽きさせないお雑煮の懐の深さを感じた。
思いがけなく良い日であった。実家風お雑煮、愛してるよ、これからもチャンスがあったら会おうね。
今日1日でトータル4つもお餅を食べてしまった。
だが俺は後悔していない。