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【エッセイ】行き止まり
馬屋の2階は牧草を保管しておくスペースだ。
馬屋の天井には四角い穴が開いていて、そこにハシゴをかけて上る。ハシゴはほぼ直角なので、上るにも下りるにもちょっとした運動神経とコツが必要だ。
ねこはこのごろ2階がお気に入りのようで、姿が見えないとだいたい2階にいる。そして、自分で下りられるくせに、人が通りかかると下ろしてくれと鳴く。(いざ下ろそうとすると、少しためらう)
先日、ねこがハシゴから助けを求める動画が送られてきた。
ハシゴをよじ上ったものの、天井に2階につづく穴がなかったのだ。
ハシゴは必要に応じてかけるので、そのときはよけられていた。それに気づかずにハシゴを上ったが、天井で行き止まりになってしまい、下りるに下りられない。
ねこは四肢でハシゴにしがみつき、困惑した様子で姉に向かってニャアニャアと鳴いた。
ふだんは小声のねこである。声の大きさが、ねこの焦りようを物語っていた。
姉は笑いながら「どーするの、なんで気づかなかったの」と声をかけていたが、結局はハシゴを動かしてそのまま2階に行かせたらしい。
白い雄ねこが来るのが嫌だから、2階に行くのだろうと母と姉は推測する。単に2階が好きということもあるのだろう。
そういえば、前に飼っていたねこもよく2階で牧草にうずもれて寝ていた。子どものころは、ねこを探して馬屋の2階をのぞいたものだ。
外の空気が冬より春に近い。雪融けがすすみ、辺りはびちゃびちゃだ。
窓からねこの姿をさがす。
今日もねこは日向で、どこが頭かわからないくらいにギュッと丸まって寝ている。
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