【エッセイ】一応のめでたし
姉には「次に動画が送らさってくるときは家出猫が見つかったときだな」と言っておいたが、ニャギが行方不明になって一週間ほどが過ぎ、もう帰ってこないんじゃないかという考えがちらつき始めた。なぜか死んだ犬の夢を見た。
それから数日して、姉から「やっとお帰りになった」と動画が届いた。ニャムニャムと声を出しながらエサを食べる猫。その頭を「もう行くなよ、行くなよ」と手荒く撫でる姉。後ろから「良かったー帰ってきたー」と母の涙声が聞こえる。
数えてみると、いなくなってから9日が経っていた。
ニャギは痩せてひとまわり小さくなった。骨ばって、目元もすっきりして、ひどく人を恋しがるようだ。どこでどうしていたものか知らないが、ひとまず元気そうではある。
母は帰ってきたニャギを見て泣いた、と姉が言った。あんたも泣いたんだろうよと思うが、言わないでおく。
帰ってきたときの様子を姉に聞いた。
父が姉に向かって何か言うので聞き返したところ「猫ニャーニャー言ってるぞ」とのこと。姉が急いで見に行くと、母がニャギを抱っこしていたそうだ。
隣の家の方から大きな声でニャーニャー鳴きながら帰ってきたとか。
それにしても、久しぶりに見たニャギの鼻のオレンジなこと。
帰ってきてからの数日で、エサを与えられ、ちやほやされて体型は少し戻ったようだ。
ひとまず、めでたしめでたし。
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