
多気町観光大使による多気町案内その③ 郷土の先人など
やっと第三章を書く事が出来ました。
西村彦左衛門と立梅用水
多気町旧勢和村には国登録記念物で世界灌漑施設遺産にもなっている「立梅(たちばい)用水」が残っています。

こちら本当に多気町にある唯一無二の最たる歴史遺産で是非見て頂きたいです。
地元の西村彦左衛門により丹生周辺の農地が櫛田川より高い位置にある為、農民の生活が困窮した事を憂い、私財により文政3年(1820)に着工され15年かけ建設されました。
現在でも波多瀬・片野・朝柄・古江・丹生に渡る28kmに延び、受益面積は267haであります。

彦左衛門の生家は和歌山別街道沿いに位置し、大正期までは酒造業を営んできました。
現在でも産湯の井戸が遺され、月に2日は敷地で五平餅の販売も行われています。
カバー写真の立梅井堰は櫛田川に設置された取水施設であり、現在のものは大正10年建設の四代目にあたります。こちらは松阪市飯南町の道の駅茶倉の茶倉橋から勇壮な姿を見る事が出来ます。

丹生大師神宮寺南にあるふれあいの森の東に残るのが町指定史跡のエンゲ切通しです。丹生のエンゲは、片麻花崗岩でもろく崩落しやすいため「切通し」で用水工事が行われた痕跡です。用水に沿って遊歩道を進むと地元の皆様によるホタテアオイのビオトープがあり、町指定史跡の塔の本トンネルに至ります。

塔の本トンネル入り口29m辺りには水銀鉱跡(斜坑)と用水が接する部分「水銀のたぬき堀り」があるそうです。こちらは6月に行われる彦左衛門のあじさい祭りのボート体験で観ることが出来そうです。

そして水銀の話題としては、当地は水銀の名産地として名を馳せ東大寺建立の際にもここの水銀が使用されたとされています。現存する水銀鉱の中でも昭和に入ってからも再開発が続けられた珍しいものです。水銀精錬装置も見ることができます。こちらは夏でも本当に涼しいですよ!

ここから南に4kmほどの古江集落には柳谷第一トンネルがあり内部には掘削工事の際、照明にカンテラ等を使用した懇切である油煙で岩肌が黒くなった部分やノミを振るった跡が残っているそうです。
場所は櫛田川に沿って421号線を進み368号線を左折し東に進み料理店八右衛門さん手前の左側倉庫あたりでしっかり見る事ができます。
最後に町指定史跡である目細谷築堤、こちらは3度挑戦しましたが、残念ながら獣害よけの門を過ぎてから倒木が連なり毎回泥にはまっただけでたどり着く事は出来ませんでした。40cm級の谷石を用いた「乱れ空石積」というもので、一度実見してみたいものです。
野呂元丈と元丈の館

多気町波多瀬に生まれ、江戸中期貝原益軒とともに日本の本草学また蘭学のパイオニアとして知られるのが野呂元丈(1694-1761)です。元丈の肖像画は多気町立勢和郷土資料館にて観ることができますが、7代将軍徳川吉宗の命を受け、かの青木昆陽とオランダ語を学び、西洋博物学書ともいうべき「阿蘭陀本草和解」を著しました。

その元丈を顕彰したのが生地波多瀬にある元丈の館です。敷地内の中山薬草薬樹公園では44種の薬樹、24種の薬草、18種のハーブが栽培されています。我々喉を使う者としては「羅漢果」や「龍角散のど飴」の数々のハーブには年中お世話になっており大変興味深いですが、只今は厳寒で残念な光景となっておりました。4月からは指定管理者様も変わられるとのことでまた是非改めて訪問させて頂きたいです。

また薬草足湯は無料で様々なハーブや薬草の癒し効果を体験できます。めっちゃお勧めです!!
また地元ならではの安価なお茶や漬物など様々な特産品コーナーも是非!!
ボリューム満点のルナ月さん

そして元丈の館から車で5分のいつも多気町更生保護女性の会や多気町商工会で大変お世話になっております宮川さんご夫妻の営まれる食堂「ルナ月」さんもお勧めのお店です。
年中通してうなぎ丼を提供される他、長年大人気の唐揚げや牛すじカレー、ご夫妻が志摩地方出身ということもあり様々な海産物を使用されたボリューム満点の食事はいつも日々の喧騒を忘れパワーを与えて頂きます。

まとまりの悪い文章になりましたが、多気町の二人の先人についてのご紹介でした。
是非立梅用水や元丈の館ご訪問頂けましたら幸いです。
次回は第四章最終回予定・万協フィギュア博物館とごかつら池ふるさと村について書かせて頂く予定です。
また来る3/22(土)午後よりごかつら池ふるさと村にて多気町観光フォーラムが開催されます。入場無料です。私も「観光大使」としてご挨拶させて頂く予定ですので何卒よろしくお願い致します!