秋季号は創作を2本掲載、新連載2本がスタート!〈「小説TRIPPER」2024年秋季号ラインナップ紹介〉
◆創作
大原鉄平 「八月のセノーテ」
「この街は少しずつ沈んでいる」──そんな噂が流れる人工島で、タワマンに住む水泳部の仁寡は厳しい父の目を盗み、夜な夜なノートに空想の世界を描く。
この世には伝説の島へと続く「セノーテ」と呼ばれる泉があるのだ。ここではない別の世界へ。苦しくも美しい「中学一年生の夏」を切り取った、街に生きる子供たちのビルドゥングス・ロマン。
「森は盗む」で第10回林芙美子文学賞を受賞した新鋭が描く二作目、一挙掲載229枚!
鈴木結生 「ゲーテはすべてを言った」
高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!
◆新連載
綾崎隼 「雨のやまない世界で君は」
近日中に隕石が地球に降り注ぐ!? そんなニュースをよそに、淡々と日々を過ごす高校の国語教師・相原に、担当クラスの女子生徒から毎日のようにショートメッセージが届き始める。彼女は自分に恋愛感情を抱いているのか、それとも……。切なさ溢れる恋愛小説の開幕です。
三木那由他 「抵抗のためのダイアローグ」
様々な専門分野の方と対談を重ねながら、差別や嫌悪に抗する言葉について考えてゆく連載「抵抗のためのダイアローグ」。第1回は応用言語哲学のなかでも「悪口」を研究している和泉悠さんとの対話から、言葉がいつ悪口になり、社会への影響を及ぼしてゆくのかを考える。