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あの2文字は禁句! NHKアナウンサーから学んだ感じのいい話し方

「でも」という言葉を、無意識に使ってしまっていませんか。この言葉を減らすだけで、相手に与える印象が格段に良くなると、人気ラジオDJの秀島史香さんはいいます。とはいえ、実際にやってみると結構難しい「でも」レス会話。ここでは、秀島さんが自著『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』(2017年刊)で明かした、「でも」を上手に別の言葉に置き換える方法をご紹介します。最新刊『なぜか聴きたくなる人の話し方』も好評発売中です。

秀島史香『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』
秀島史香『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』

 ラジオ番組などで、これまで、たくさんの方のインタビューをしてきましたが、「この人と話すとすごく気持ちいいな」、「つい色々と話してしまう」と思う方の共通点を探っていくと、思い当たることがあります。

 それは、こちらが投げかける質問の答えが必ず「はい」から始まることです。

 たとえば、こんなやりとりがあったとします。

「Aさんって、カバンの中にいつも本が入ってますよね。読書家ですよね」「はい、なかなか読む時間がないんですけどね」

 こちらでは、どうでしょう。

「Aさんって、カバンの中にいつも本が入ってますよね。読書家ですよね」「でも、なかなか読む時間がないんですけどね」

 自分の質問に対して、答える側の第一声が「はい」だと、聴感上、まずはこちらの発言を受け入れてくれた印象となります。「はい」と答えると、全体的なトーンが明るく前向きになるのに対して、「でも」は後の内容も不満、愚痴のような印象が強くなります。

 私を含めて、口癖で「でも」と言ってしまう人は意外とたくさんいます。しかも、「but」の文脈でもないのに、単なる接続語として反射的に「でも」や「けど」を口にしてしまう。

 ビジネスでの交渉術の一例として、反論するときは「yes, but法」を使いなさい、とよく言われます。「yes, but法」とは、いったん「イエス」と相手の言い分を認めてから、反対意見を言うことで、こちらの言い分を受け入れてもらいやすくするテクニックです。

 これももちろん有効だと思いますが、私は、できるだけ「but」は使わないようにしたいと思っています。なぜなら、結局は「でも」と相手の言い分を否定することになるから。相手に「この人ってやたら『でも』でかぶせてくるなあ……」と気づかずにネガティブな印象を与えているかもしれません。

 相手と自分の意見が異なるとき、いかに「でも」を使わず自分の考えを伝えるか。

秀島史香著『なぜか聴きたくなる人の話し方』
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 この悩みについて、ひとつのヒントをくださった方がいます。それは、NHKの真下貴(ましも・たかし)アナウンサーです。以前、真下さんと一緒に金曜お昼どきのゲストトーク番組『BSコンシェルジュ』を進行していたときのことです。

 真下さんは、相手の意見に対して「そうですね、でも」と返すのではなく、「そうですね、一方で」と、「一方で」という言葉を使っていたのです。

「そうですね。でも、私はこうだと思います」ではなく、
「そうですね。一方で、こういう意見もありますね」

 こう言い換えることで、かなりソフトな雰囲気になりませんか? やや書き言葉のような硬い響きがありますが、声に出してみると意外に違和感なく使えます。

 ある言葉を別の言葉に置き換えることを英語で「リフレイズ(rephrase)」と言います。もっと良い言い方はないかな、より良く伝わる表現はないかなと、街の中、メディアなどを、素敵なリフレイズを採集する気持ちで見回してみてください。「そんな小さなこと」と思うかもしれませんが、日々意識して言い換えていくことで、あなたの印象や話しやすさが柔らかく変わっていきます。「あれ、いつもより多めに返してくれている?」と相手の反応からも実感できますよ。

(編集協力/長瀬千雅)

秀島史香(ひでしま・ふみか)
ラジオDJ、ナレーター。1975年、神奈川県茅ケ崎市出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大学在学中にラジオDJデビュー。J-WAVE『GROOVE LINE』、NHKラジオ『英語で読む村上春樹』のほか、NHK総合『着信御礼!ケータイ大喜利』などのテレビ番組にも出演。映画、テレビ、CM、アニメなどのナレーション、美術館音声ガイド、機内放送など活動は多岐にわたる。ニッポン放送『文豪ROCK!~眠らせない読み聴かせ 宮沢賢治編』で令和元年度文化庁芸術祭「放送個人賞」受賞。現在FMヨコハマ『SHONAN by the Sea』、JFN系列局『Pleaseテルミー!マニアックさん。いらっしゃ~い!』、NHKラジオ『ニュースで学ぶ「現代英語」』、NHK Eテレ『高校講座 現代の国語』などに出演中