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小論文試験「合格」を確実にする4つの要素

「小論文などの実用的な文章は『納得』『理解』してもらうことが目的です。それを書くのに、特別な文才は必要ありません」と話すのは、ウェブ小論文塾代表で1500人以上を指導してきた元NHKアナウンサーの超人気講師、今道琢也さん。では、何を書けば「納得」してもらえるのか? 今道さんが生徒役のもとゆき君に文章の書き方を教えるというコンセプトの著書『文章が苦手でも「受かる小論文」の書き方を教えてください。』から一部を抜粋・再構成して、書き方のポイントを解説します。

今道琢也『文章が苦手でも「受かる小論文」の書き方を教えてください。』
今道琢也『文章が苦手でも「受かる小論文」の書き方を教えてください。』

■「納得」「理解」を得るには4つの要素が大事

今道:この本で扱っているのは、小論文、エントリーシート、面接カード、各種申請書などの実用文ですが、実用文というのは自分の考えや用件などを伝えるための文章です。それを伝えて相手の「納得」や「理解」を得ることが、文章を書く目的です。

もとゆき:「納得」や「理解」ですか?

今道:ええ。小論文であれば「なるほど、あなたはそう考えているのか」、エントリーシートであれば「そうか、この人はこういう人物なんだ」といったことを、相手に「納得」「理解」してもらいたいわけです。

もとゆき:確かにそうですね。でも、何を書いたら相手の「納得」や「理解」が得られるんですか?

今道:そのために大事な要素は、次の4つです。

【書く材料を探すときに使える「4つの要素」】
[1]私はこう考える=主張
[2]なぜなら=理由
[3]どのように=方法論
[4]例えば=具体例

もとゆき:それぞれ、どんな意味があるんですか?

今道:「私はこう考える=主張」というのは、文章を書くときの出発点です。「私は筆者の意見に反対だ」「私は、日本の人口減少に歯止めをかける必要があると考える」「私の来年度の業務目標はこうだ」とか、何かしら伝えるべき主張があるから文章を書くわけですよね。これは文章を考えるときの大元になります。

もとゆき:ええ、その通りですね。

今道:でも、「私はこう考えます」という主張だけでは、相手は納得も理解もしてくれないですよね。例えば、「私は筆者の意見に反対だ」と主張したら、「なぜ、あなたはそう思うの?」という疑問がわきます。

もとゆき:はい。

今道:まず主張を書いたら、「なぜなら=理由」、つまり「こういう理由で反対なんだ」という根拠を出す必要があります。「筆者の考えの、ここが間違っているからだ」とか、理由を的確に指摘できて初めて、「ああ、それであなたは反対なんだ」と相手は納得してくれます。だから、相手を納得させるためには「理由」が大事になります。

もとゆき:それはよくわかります。

今道:それから、公務員試験などでは、「私は日本の人口減少に歯止めをかける必要があると考える」というような主張を書く場合があります。このような社会的な課題を指摘する主張に対しては、理由ももちろん知りたいけれど、「じゃあ、そのためにどうすれば良いの?」というところも当然知りたいですよね。

「日本の人口減少に歯止めをかける必要がある」だけでは言いっぱなしになりますから、「そのために、子育て支援策を充実させるべきだ」といった話を書きます。つまり、「どのように=方法論」を示すべきなのです。

もとゆき:そうすると、もっと理解が深まりますね。

今道:そうです。それと、「どのように=方法論」を説明するときなどは、「例えば=具体例」が欲しいです。「そのために、子育て支援策を充実させるべきだ」という考えに対しては、「一口に子育て支援策といっても、具体的に何をするの?」という疑問がわきます。

だから、「子育て支援策として、例えば児童手当を増額したり、保育施設を増やしたりすべきだ」とか、例を挙げてください。そこまで書いたら「ああ、そういうことか」と納得できますね。「納得」「理解」とは、詰まるところ読んでいる人に、疑問を残さないようにするということです。

もとゆき:なるほど。

今道:相手の「納得」「理解」を得るためには、「主張」「理由」「方法論」「具体例」の4要素が大事なんです。答案の内容によっては、4つ全部はいらないこともありますが、とりあえず、何を書くか材料を探すときはこの4つのキーワードを元に考えると良いです。