お片付けの新常識!「収納は整理しなくていい」とプロが断言する理由
春から新生活という方も多いでしょう。せっかくなら大掃除してすっきりスタートさせたいですね。そこで、多忙な方やシニアに向けて数々の革命的な提案をしてきた古堅純子が解く、一生散らからない“片づけの新常識”を紹介。『なぜかワクワクする片づけの新常識』より抜粋してお届けします。
いつのころからか、片づけといえば収納。収納の中はきれいに整理されていなければいけない、という考え方が主流を占めるようになってきました。
整然と美しく並んでいる収納が理想の形として雑誌やテレビに取り上げられるので、「うちもああしなければ」と、思ってしまう人が増えたのもしかたないのかもしれません。
本人に十分な時間や、気力、エネルギーがあるなら、気がすむまで収納を整理してもかまわないと思います。でも、忙しい方やシニアの方の片づけでこれをやっていると、永遠に終わりません。
大切なのは、見た目より、便利さ、安全、暮らしやすさです。
極端な話、私は住む人が便利で暮らしやすければ、収納の中は散らかっていてもいいと思っています。
目に見える空間が散らかっていたら、イライラしますが、収納の中が多少雑然としていても、そこは見えないのですから、あまりストレスを感じないでしょう。
大きな声では言えませんが、私の家のクローゼットの中も、忙しいときは散らかっていることがあります。見えなければいい、そこは目をつぶる、という感じでしょうか。
よけいなモノは物置部屋か、家具の後ろか、収納の中にぽんぽん寄せて、空間をつくる。清々しい空間が出現すれば、たまに収納の中を開けて「あ、汚いな」と思ったとき、「じゃあ、今度はこっちもきれいにしようか」という気になります。 収納の中を片づけるのは、そのときでいいと思います。
■なんでも放り込めるざっくりボックスをつくる
先日、シニアの独り暮らしの男性のお宅を片づけました。その方の家は、まるでクリーニング店かと見間違えるほど、衣類が部屋のそこら中にぶら下がったり、散乱したりしていました。
写真説明)【Before】長年寝室として使っていた部屋(著者提供)
その理由が私にはすぐわかりました。男性は半身が不自由で、タンスの引き出しが開けづらかったのです。
おまけに片方の手では畳むことができないので、そもそも畳んで衣類をタンスにしまうことが不可能でした。やむなく衣類はクリーニング店のように、ぶら下げるか、そのへんに放っておくしかなかったわけです。
それにしても、なぜ部屋のあちこちに衣類がぶら下がったり、散乱しているのか、男性の生活動線を考えてみて、理由がわかりました。
図版説明)散らかる理由は洗濯動線の長さにあった!
洗濯機がある場所と、衣類をしまう場所が遠すぎたのです。洗濯したものは洗面所からリビングを通って、その奥にある和室まで持っていかなければなりません。タンスがある和室がそもそもの衣類の定位置だったからです。
そこで私は洗面所の隣にある寝室だった部屋を部屋ごとウォークインクローゼットに変え、寝室は一番奥の和室に移動しました。つまり洗濯機のある洗面所の隣が新しく誕生したウォークインクローゼットになります。
写真説明)【After】「かけるだけ」「入れるだけ」のしまわない暮らしが実現(著者提供)
そしてウォークインクローゼットにはハンガーラックを持ち込み、洗濯した衣類はすべてそこで干せるようにしたのです。干した服はそのままラックにぶら下げておけば、その部屋で着替えることができます。
さらに奥の和室にあったタンスは処分し、タンスの中の下着、靴下、パンツは三つの「ざっくりBOX」にそれぞれ分け、押し入れのふすまを取り去って、押し入れの中段に置きました。
ざっくりBOXとは、その名の通りとりあえず放り込める箱のこと。ここでは取り出しやすいように下着、靴下、パンツと分けて三つの箱を用意していますが、どうしてもスペースがない人はひとつの箱にポイポイ入れる形でもいいでしょう。
ふすまがないので、押し入れの前を通るとき、洗濯した下着や靴下、パンツをそのままポイポイ、ざっくりBOXに投げ込むだけですみます。
身につけるときも、ざっくりBOXから選べばいいだけなので、1秒で手に取れて、ひじょうに楽です。
<参考動画>