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加藤シゲアキ『できることならスティードで』好きなエッセイベスト5発表!
加藤シゲアキ『できることならスティードで』(朝日文庫)収録エッセイのうち、好きなエッセイのタイトルをツイッターで投稿いただくミニキャンペーンを実施いたしました。集計にて決定した、好きなエッセイベスト5を発表いたします! また、最後にはみなさまからお寄せいただいた、ベスト5以外のエッセイに対する「好きな理由」の一部を紹介させていただいております。みなさま、たくさんのご投稿ありがとうございました!
(朝日新聞出版 書籍編集部 )
加藤シゲアキ『できることならスティードで』文庫版発売を記念して、2022年11月にTwitter上で『あなたの好きなスティードのエッセイはどれか教えてキャンペーン』を実施いたしました。旅をテーマにしたエッセイ集である本作収録エッセイ15編のうちお好きなエッセイのタイトルを、専用ハッシュタグと共に投稿していただく(任意でご感想も添えて)という参加方法でした。
文庫の発売からひと月経たないうちの実施でしたが、予想以上に多くの方にご参加いただきました。どの1編にするか〆切ギリギリまで悩まれる方、感想をじっくり練る方など、期間中は当該の応募投稿以外にも本作にまつわるSNS投稿が多数ございました。読者の方に本書が届いている様子の一端をうかがい知ることができ、関係者一同たいへん興味深く読ませていただきました。またエッセイ15編すべてに「好き」の投稿をいただいたことも、うれしいことでした! みなさまありがとうございました!
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お待たせしました。それではベスト5の発表です! 各タイトルのすぐ下、「」での引用の形で、みなさまが任意で添えて下さった理由も合わせて掲載させていただきます。
◆第5位 Trip 13 浄土
「作者の大切な人への想いと繊細な作者の心の内を垣間見れたとても深い旅のお話だったと思います。」
「人生には幾多の出会いがあり、別れがある。芸能の父と慕う彼との思いでさえも、著者らしいみずみずしさと愛おしさがあった」
* * *
故ジャニー喜多川氏との別れについて描いた1編。氏について語りながら著者である加藤さん自身の原点をも振り返る内容で、連載の締めくくりにふさわしいエッセイでした。加藤さんとの対談で作家の辻村深月さんも、本エッセイについてお話しくださっていました。
■朝日文庫45周年記念サイト 加藤シゲアキさん×辻村深月さん対談紙面
■週刊誌AERAに掲載された対談ロングバージョン
◆第4位 Trip 7 時空
「いま挑もうとする貴方を、生まれた日から今日までの貴方が見ている。彼(女)の存在は、これまでも何とかやってきたという証である。絶望に手を出す前に、このメッセージが誰かを救う瞬間はもっとあるはずだと思っている」
「「UR not alone」から始まる。 創作落語をひとりで作り披露する内容。 披露するまでの焦りや戸惑いが細かく書かれていますので、応援したくなります。 10年前の自分に言う 「俺ならできるよな」という言葉が好きです。」
* * *
テレビ番組で披露した創作落語の物語と共に、過去の自分に励まされるという曲の歌詞にもリンクしたエッセイでした。読了後、前向きな気持を抱く方も多かったようです。
◆第3位 Trip 8 小学校
「「学校に通うのは必要か」 著者が語っている通り、哲学的で難しいテーマなのに、これを読むとまるで児童図書を読んでいたワクワク感が蘇る。 自由気ままなトムソーヤに憧れつつも、友達と過ごしたあの夏の日がなつかしい」
「私も同じ境遇でした。周囲の「頑張って行きなさい」と言う言葉がとても辛かったです。 加藤さんの「学び方を学ぶ」という言葉を聞いていたら人生が変わっていたのではないかと思います。 今辛い人に読んでほしい回です」
* * *
本書編集中や取材の際など、様々な場面で話題に上ることが大変多かったエッセイでした。ご自身が学生である方から親の立場でお子さんについて思いを馳せる方まで、多様な受け取り方をされているようです。
◆第2位 Trip 9 スリランカ
「圧倒的な自然、文化の異なる国で得た気づきが作者の思考と重なり未来へ伸びていく見えないけど何か輝くような物を感じました。 このエッセイを通して私の心の中にも深くしみわたる感覚がありました。」
「旅で出会うのは情景や遺跡だけではない。人や言葉と出会う。 「好きになりすぎない」事「憎しみは愛のみで止む」事「刃を向ける人を抱きしめられる大人であれ」 多くの言葉がスリランカの情景と混じる」
* * *
スリランカ旅で始まって終わる、本書の中では最もオーソドックスな紀行文ながら、旅の体験の合間に考えたことも次々織り込まれていきます。スリランカに行ってみたくなった!という声もたくさんお聞きしました。
◆第1位 Trip 4 岡山
「祖父母そしてご両親への敬愛溢れるこの章は、家族に寄り添うこと、共に過ごす時間にも限りがあるということ、それを静かに受け入れること、これからの心の在り方を考えるきっかけを私に与えてくれました」
「以前旅行で訪れた場所だったので車窓の光景が目に浮かび、自分自身の亡くなった祖父や、家族の事も重なって不思議な巡り合わせを感じた。著者の「生きた」感情や日常の温度が伝わってきて、エッセイっていいなと再確認した1編。」
* * *
日本文藝家協会編「ベスト・エッセイ」にも選ばれて収録された1編。祖父母、また父母という家族について描かれた普遍性をもつエッセイで、連載のときも大きな反響がありました。
以上、このようなベスト5になりました!
第1位 Trip 4 岡山
第2位 Trip 9 スリランカ
第3位 Trip 8 小学校
第4位 Trip 7 時空
第5位 Trip 13 浄土
本キャンペーン趣旨としてはエッセイのランク付けではなく皆様それぞれの「好き」の気持ちを教えていただくことでしたので、上位5編以外についても、皆様が投稿に添えてくださった「好きな理由」を駆け足で少しだけご紹介して締めくくりとさせていただきます。
Trip0 キューバの黎明
「本を読み始めた時のドキドキが一番鮮明だったキューバの旅を。異国の地に降り立った興奮、潮騒の音強い雨、私はキューバに行った事はないけれど、いつか本で読んだあの地へ加藤さんの視点を通して行った様な気持ちになった」
Trip1 大阪
「舞台、ホルモン、芸妓、化粧。 NEWSのライブのため仙台へ向かう新幹線の中で読んだ事もあり不思議な臨場感を味わったこの章。次々変わる車窓からの景色の様に私を楽しませてくれました。全ての出会いに意味を見い出す生き方が素敵」
Trip2 釣行
「どのTripも素敵で好きですが、釣りの様子やエピソードを知ることができ、たまに釣りをする私にはとても興味深く楽しかったから、です。 駐車場でルアーを投げる練習をしていた少年だったとは! 続きのお話、楽しみにしています。」
Trip3 肉体
「#肉体 恥ずかしながらはじめて目にした「円環」という単語、辞書では決して推し測れないレベルで言葉の持つ意味を理解した。エッセイの体だったからか深く脳に刻み込まれた。不思議な体験だった。」
Trip5 ブラジル→京都
「初めて作るパンを友人に振る舞おうとしてたり、熱いまま食べたり、料理名の意味に気付いて笑ったりと、楽しさに同行してるよう キッチンや、国内の飲食店でも、旅ができるんだなと思いました 」
Trip6 ニューヨーク
「この年のグラミーをテーマに著者のアイデンティティが色濃くでている回。とにかく重い...けれど暗闇の中でもなんとか希望を見出そうとする著者に救われる。ラジオでもかけていたPrayingを今でも時々聴いている」
Trip10 渋谷
「地元から出たい、都会暮らしは羨ましいとばかり思ってきたので、自分とは真反対の視点からの話が強く印象に残りました 自分基準ではなく、色んな立場から物事を考えたいと改めて考える機会になった、思い入れ深い作品です」
Trip11 パリ
「逃亡にも似た気持ちで日本を離れた先が節目になる旅になる。逃げ出したい時ほど旅にいくのがいいのかも。過去を連れて未来へと進む強い気持ちが伝わり、決意を感じるその先で過去が胸を張ってる気がします」
Trip12 無心
「「無心」が好きです。 最後の一文に、何度救われたかわかりません。 私も免許皆伝には程遠いけれど、それでもいい、それでも歩もう、歩むべきだ、と思えるから。
Last Trip 未定
「小説トリッパーではお目にかかれなかった単行本書き下ろしのこちら。まさしく『著者』の全てが盛り込まれてる最後の始まり。見事にやられました!クスッとしながら始まりに戻りタイトルを愛でました。」
全15編の感想抜粋は以上です。これ以外にもたくさんの感想、一言だけ、絵文字だけなど含め、みなさま思い思いの形でご投稿いただきました。
本キャンペーンにご参加くださったみなさま、改めまして、どうもありがとうございました!