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【医学博士と料理家考案】女性の健康を支えるための「最強の献立」8つのルール

 医学博士の廣田孝子さんが監修し、料理家の上島亜紀さんが料理を担当した『女性に不足しがちな栄養がしっかりとれる 最強の献立レシピBOOK』(朝日新聞出版)では、女性の健康を支えるための最強の「献立ルール」を紹介している。「一汁三菜」を基本に、8つのルールを守るだけで、更年期の女性に不足しがちな栄養素を過不足なく、簡単にとることができる。抜粋して紹介したい。

廣田孝子監修/上島亜紀料理『女性に不足しがちな栄養がしっかりとれる 最強の献立レシピBOOK』(朝日新聞出版)

■ルール1 毎日の体重をチェック

 更年期では基礎代謝が落ちるため、食べすぎたカロリーが体脂肪として蓄積されやすくなり、内臓脂肪へと蓄えられる。一方で栄養素の吸収率も徐々に下がっていくため、適正カロリーを守りながら栄養を過不足なくとるという、バランス感覚が重要。体重はそれを教えてくれるバロメーターだ。毎日チェックしたい。できれば毎朝、起床時に測定してメモする習慣を付けて。増加傾向にあるなら、食事の内容や量をチェックできる。

■ルール2 良質のたんぱく質を毎食とる

 筋肉を維持するためには、目安として体重1キロにつき1グラムのたんぱく質が必要と考えられている。体重50キロの人なら50グラム。この量を1日に摂取するのは意外と大変だ。三度の食事でたんぱく質量としてどれぐらいとれているのかを把握してみよう。

 例えば、肉や魚介類なら、脂肪の少ない部位でそれぞれ100グラムあたり約20グラムのたんぱく質を含んでいる。大豆製品はたんぱく質量はいろいろだが、カルシウムや抗酸化物質も含んでいるので、週2回以上とるようにしよう。

■ルール3 牛・豚の脂肪のとりすぎに注意

更年期はLDL(悪玉)コレステロール値が上昇しやすいため、脂質の取り方に気をつけたい(イラスト/ヤマグチカヨ

 更年期は、LDL(悪玉)コレステロール値が上昇しやすく、動脈硬化などを引き起こしやすくなるので、脂質のとり方には注意が必要だ。

 優先してとりたいのは、青魚の油や、えごま油、亜麻仁油といったオメガ3系の良質な脂質。豚肉や牛肉は部位により脂肪が多く、食べすぎると動物性脂肪のとりすぎにつながるので、注意しよう。鶏肉ならむね肉やささみ、豚肉、牛肉ならもも肉、ヒレ肉などの赤身を。ひき肉は脂肪がどのぐらい入っているかわからないので、鶏ならむね肉、豚、牛なら赤身のものを選びたい。

■ルール4 牛乳・ヨーグルト・チーズのどれかを毎日2回以上とる

 牛乳や乳製品は、更年期でとくに不足しがちなたんぱく質、カルシウムが豊富。そして、注目すべきは、カルシウムの吸収率の高さだ。骨粗しょう症や骨折の予防に有効だ。骨粗しょう症予防には1日にカルシウムを700~800ミリグラムとることが望ましいとされており、牛乳なら毎日コップ2 杯(カルシウム約400ミリグラム)飲むことが推奨されている。加えて、ヨーグルト、チーズのどれかをとるようにすると、効率よくカルシウムを摂取することができる。また、乳製品にはカリウムやマグネシウムも多いので、高血圧や心臓病などの循環器疾患予防にもおすすめだ。

■ルール5 新鮮な魚を週2~3回以上とる

 今、世界的に魚食が注目されている。2010年に「週に2~3回魚を食べると虚血性心疾患や突然死などのリスクが低下」という研究結果がアメリカで発表されて以来、魚食の健康効果に関する研究が進んでいるのだ。週に2~3回と言わず、毎日でも魚を食べ、血管の若さを保とう。ただし干物や加工食品は塩分が高くなりがちなので控えめにし、生の魚を刺し身、塩焼き、煮魚などにして食べるのがいい。

■ルール6 野菜・果物を1日2~3回はとる

健康のために大切なことだとわかっていても、十分な量の野菜を毎日摂取することは難しい(イラスト/ヤマグチカヨ)

 1日に野菜350グラム、果物20グラムという摂取推奨量のをとるのは意外に難しい。重要なのは、なるべく毎食、意識して野菜や果物をとるということだ。野菜や果物に含まれるビタミンやミネラル類の多くは排泄されやすく、体内に長く貯蔵できないので、こまめにとる必要もある。また、加熱することによって失われたり、こわれたりする栄養素もある。いろいろな調理法でとるようにしたい。

■ルール7 食物繊維の多い食事で腸内環境を整える

 更年期には、自律神経の乱れなどでお通じも不調になりがち。腸の状態は自律神経を通じて心身の健康にも影響を与え、さらなる不調の原因になるなど、悪循環を招いてしまう。便秘を防ぎ、腸内の善玉菌を増やしてくれる可能性がある食物繊維を多めにとって、腸内環境を良好に整えよう。食物繊維には不溶性と水溶性があり、それぞれの働きがある。食物繊維が多い野菜や果物、海藻、ナッツなどを意識してとるほか、主食には玄米や雑穀、オートミール、ライ麦パンなどを選ぶといい。

■ルール8 外食での塩分と脂肪のとりすぎをおうちの食事でリカバリー

自炊することで極力脂質を控え、塩分は1食2グラム以下を目安にしたい(イラスト/ヤマグチカヨ)

 毎日忙しいと、つい外食したり、スーパーやコンビニの弁当・惣菜に頼ってしまいがち。そのような食生活では、野菜不足、脂肪や塩分過多となり、栄養が偏って、さらに不調を助長する結果になる。だからこそ、自炊できるときは塩分と脂質を抑え、野菜を増やす工夫を。また、とりすぎた塩分や脂肪を排出してくれるカリウム、食物繊維などを積極的に摂取しよう。野菜や海藻を多めにし、素材の味を引き出す調理法で味わいたい。

(構成:生活・文化編集部 森香織)