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【月7万円】で暮らす人気YouTuberが導き出した「お金の存在感が“薄い”住まい選び」必須4カ条

 合わない職場で心身の調子を崩してから徹底的に生活を見直し、1カ月の生活費7万円の低コストライフを実現した人気YouTuberのかぜのたみさん。著書『低コスト生活』(朝日新聞出版)から、人生100年時代をお金の不安に縛られずに暮らすための「住まい選び」について、一部抜粋・再編集し紹介します。
(タイトル画像:Image Source / DigitalVision / Getty Images)

かぜのたみ著『低コスト生活』(朝日新聞出版)
かぜのたみ著『低コスト生活』(朝日新聞出版)

お金の存在感が「濃い」環境とは?

 都会から田舎まであちこちに住んでみて、明らかにお金がかからない環境があると気づきました。

 浪費も蓄財も自分の心がけ次第かと思いきや、人というのはかなり環境に影響を受けるらしく、「お金の存在感が濃い環境」と「お金の存在感が薄い環境」がどうもあるようなのです。

 働き方や収入額よりも、身を置く環境に含まれているお店の数や物価の高低などの、支出の「きっかけ」が鍵を握っている気がします。

 例えば、コンビニに行くにも10分車を走らせねばならない場合(お金の存在感薄め)と、住んでいるマンションの下にコンビニがある場合(お金の存在感濃いめ)では、同じ期間でもコンビニで使う金額が全然違ってくる……とするとイメージしやすいでしょうか。

 私が最もそこにいるだけで「お金を使ってしまう」と感じた環境は、この二つでした。

【1】徒歩圏内に、衣料量販店・100円ショップ・インテリア用品店が入ったショッピングビルあり。最寄りのスーパーの価格帯は割高。近所にコンビニ多め。自宅から複数駅にアクセス可能。

【2】地方での車生活、外出先はショッピングモールか個人飲食店がメイン。ネットサーフィンが日夜習慣になり、ネット通販を頻繁に利用。

 対極にあるように思える二つの環境ですが、意外な共通点があります。

 一つ目は、「店に通いやすい(ネット含む)」という点です。何か買うつもりがなくても、外出や散歩ついでに店に行く習慣がつくと、気づけばお菓子や100均アイテム、安くなっている洋服など、少額の何かを買ってしまい、それらが積もり積もると結構な金額の浪費へと成長していくのです。

 二つ目は、余計な外出をしやすいことです。徒歩、もしくは車や電車ですぐ行ける外出先があると、大人しく家にいればいいものを、無駄に実行力が上がってしまうのです。

 交通費やガソリン代がかかるのはもちろんのこと、出かけることが多いとそれだけお茶や外食をしたり、また何かしら買って、ちょこちょこ出費がかさんでいました。

 そして一番の元凶は、そうして気軽にお金を使っているときには「浪費」とは全く思っておらず、「自分が楽しむために必要な代金」と認識して、消費の機会が乱発されることです。

 この環境に身を置いていた当時の私は、しっかり「自分は贅沢していない、必要な分だけお金を使っている」と思っており、毎月のクレジットカードの請求にドキドキしながらも、お金の使い方を見直すべきだとは1ミリも思ったことはありませんでした。

 こんな数々の「知らない間にお金が減ってる!」という失敗を重ねて、私は少しずつ、住まいを選ぶ時点で改善できることがあるということを学習していきました。

お金の存在感が「薄い」環境とは?

 必要以上に便利な環境というのは諸刃もろはつるぎです。お金を使わず快適に過ごすために何が必要なのかを探っていったところ、私の場合はこんなポイントにたどり着きました。

(1)自分が心地よく過ごせる環境であること
(2)駅から離れていること
(3)利用しやすいスーパーが1〜2カ所程度あること
(4)散歩していて心が落ち着くところ

 細かく挙げればキリがないのですが、一番重要なのは「自分が心地よく過ごせる環境」であることです。

 それまでは、「家賃が安い」「駅近」「築浅」「職場に近い」など、頭で考えた部屋の良さで決めており、「自分が心落ち着く住環境は何か」とは一度も考えたことがありませんでした。

 通勤しやすいかどうかで部屋を選ぶと自分の部屋や環境が気に入らず、知らず知らずのうちに不満を募らせていました。

 その知らぬ間に溜まった不満を解消するために、さらにお金を使うクセがついてしまい、無自覚の散財になっていた……というのが、自分なりの分析結果です。

 反対に節約志向に走りすぎて、家賃が安くても日当たりも風通りもなし、窓からの景色もなし! という閉塞的な住環境であれば、やっぱり気詰まりで、部屋で落ち着いて過ごせず、散財することでバランスを取っていたこともありました。

 こんな私が「お金の存在感が濃い環境」から抜け出せたのは、「なんか今の部屋が気に入らない」と漠然と思い続けるのをやめて、隣接する建物との距離、周囲の騒音の具合、近隣の人との関係など、自分が「苦手な環境」「具体的な避けたい条件」を手がかりにしながら、「心地よく過ごせる環境」を改めて考え直したからでした。

 そしてある程度、嫌なことや不満が洗い出せたら、次は「これまで良かった、満足した点はどこか?」という条件で絞り込んでいき、徐々にお気に入りの部屋を選択する精度を上げていきました

 まず嫌なことを解消する、次に好きで満足した点を反映する……この2段階のフィルターが重要なようです。

自分にとって「心地よい環境」とは?

 部屋選びは、仕事やもの選びと同じかもしれません。今持っているものがなんか違うなと思っても、「デザインが好みじゃない→どんなデザインならいいか」「使いにくい→どの場面でどう使いにくいのか」など、具体的にどこが嫌で不満と思っているかがわかっていないと、それらをクリアしたものは見つけ出せません。

 自分の“嫌と不満”をオセロの黒から白へ変えていった結果、私が好きな住環境は、「日当たりがよく、風通しがよく、騒がしくなく、自然が多く、窓からの風景がいいこと」になりました。

 日当たりがよいと太陽の光が入ってきて、部屋全体が明るく暖かくて快適なので暖房器具がそれほどいりません。風通しがよいと、梅雨もじめじめせず、夏場は涼しく快適です。

 加えてベランダがあると、洗濯機や脱水機を使わずとも洗濯物の扱いがかなりラクです。騒がしくないと心穏やかに過ごせ、自然に囲まれた環境だと窓からの風景で四季の移ろいが楽しめる……といった具合です。

 そうすると自ずと、日当たり・風通しがよい=目の前に建物がなく窓が2面以上ある間取り、騒がしくない=駅や大通りから離れている、自然が多い=都市部は避ける、というふうに絞り込む条件が決まっていきました。

 書いてみると何一つ際立ったことはないという感じなのですが、仕事や買い物、レジャーに気が向いていると「これが好き」とか「心地よい」ということが意外と見えなくなるのかもしれません。

 ただ節約するだけでは心が満ちる生活にはなりません。自分の感覚を優先する、ということが住まいにも大事なのだと、つくづく感じます。

かぜのたみ
YouTuber。「暮らしと自分をととのえる」をテーマに、YouTubeでの音声配信「かぜたみラジオ」のパーソナリティをつとめる。仕事での無理がたたって心身の調子を崩して以来、持ち物やお金の使い方、働き方など生活にまつわるあらゆる側面を見直し、月の生活費7万円以下の暮らしにたどり着いた。ラジオでの柔らかな語り口と、物事の本質をつく鋭い内容が話題を呼び、SNSフォロワー数は8万人を突破している。

『低コスト生活』では、お金の不安に縛られず、自分らしく軽やかに暮らすメソッドをたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてください。