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「算数」も「英語」もわかっている! 赤ちゃんのすごい潜在能力
赤ちゃんはなにもできない無力な存在というのは本当でしょうか?
赤ちゃんの行動や心理を科学的に研究する「赤ちゃん学」の第一人者、東京大学大学院教授の開一夫先生によると、近年の研究において、赤ちゃんには秘められた不思議な能力があることがわかってきています。開先生が監修した『赤ちゃんと一緒に楽しむ あそびアイデアBOOK』(朝日新聞出版)では、実際に赤ちゃんがどんな能力を持っているのか、ご家庭でもできる「実験あそび」とともに、赤ちゃんとのさまざまなあそびかたを提案しています。その一例をご紹介します。

■赤ちゃんは生後5カ月で数がわかる!?
数がわかるといっても、生まれたときから難しい計算式が解けるわけではありません。しかし、生後5カ月をすぎた赤ちゃんは1+1=1や2-1=2などの間違った計算を「おかしいな」と感じることができると言われています。
この実験の手順は以下の通りです。
ついたてと人形を2体用意する。
なにもない場所に人形を1体置き、赤ちゃんに見せる。
ついたてをたてて、人形を隠したら、2体目の人形を赤ちゃんに見えるようについたての後ろに隠す。
ついたてを取り、人形を赤ちゃんに見せる。
そして、ついたての後ろから人形が2体現れた場合と、1体しか現れなかった場合の赤ちゃんの反応を見てみます。
人形が1体しか現れなかったときのほうが、赤ちゃんが人形をじっと見ている時間が長くはありませんでしたか?
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このじっと見続ける行動は「注視」と呼ばれ、赤ちゃんを対象とした実験でよく用いられる判断方法です。赤ちゃんはありえないことや見慣れたものへの注視時間が長くなるとされています。
つまり、人形が1体だったときに赤ちゃんが注視をおこなっていた場合、赤ちゃんは「1+1=1がありえないことである」と理解していることになるのです。
■赤ちゃんは生まれたときから言葉がわかる!?
赤ちゃんはどんな国のどんな言語も聞き分けられる能力を持って生まれてきます。英語の「L」と「R」の発音の聞き分けだってできるのです。これは、どんな言語を話す親のもとに生まれても対応できるための能力だと言われています。
しかも、聞き分け能力が優れているだけではなく、赤ちゃんは「言語として意味を持つもの」と「言語としての意味を持たないもの」の違いまでわかるようなのです。
赤ちゃんが「言語」を理解していることがわかる実験の手順は以下の通りです。
読み聞かせをしている声を録音する。
録音した音声を通常再生で聞かせたときと、逆再生アプリなどで逆再生して聞かせたときの反応の違いを見る。
どんな違いがあったでしょうか。この実験の結果、通常再生では読み聞かせの音声に聴き入っていた赤ちゃんも、逆再生のときには全く興味を示さなくなったのです。
この能力は生後9カ月~12カ月ほどで消えてしまうと言われています。成長するにつれて、親の話している言語を理解できるようになると、言語聞き分け能力はもちろん、親が話す言語で使われない発音も不要なものとみなし、自然と頭から消していってしまうのかもしれません。
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■できなくてもあせらないで
もちろん、すべての赤ちゃんに同じような実験結果が見られるわけではありません。赤ちゃん学では統計的に解析し実験の結果を出していますが、ご家庭でおこなう場合は思うような実験の結果が得られないかもしれません。
ですが、赤ちゃんはひとりひとり顔や体格が違うように、成長の過程もスピードも、興味の持ち方も、みんなそれぞれ違います。
もし思ったような結果がでなくても、「今はこんな気分なんだね~」と明るく捉え、また少したった頃に試してみてください。
どんなあそびであっても、赤ちゃんと大人が楽しくふれあえることが一番大切。コロナ禍で、おうちでできるあそびも尽きてきた! そんなときに大人も一緒に楽しめるあそびのひとつとして、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。