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意外と知らない花を贈る作法と意味 シチェーション別「贈って良い花・悪い花」

 もらって嬉しいプレゼント代表のひとつ、お花。しかしお花にも、当然のことながらシチェーションに応じた作法や、贈ってはいけない種類などがある。そこで、『【増補改訂版】きちんと知っておきたい 大人の冠婚葬祭マナー新事典』(朝日新聞出版)から、花を贈るときのマナーとTPOを紹介しよう。

岩下宣子監修『【増補改訂版】きちんと知っておきたい 大人の冠婚葬祭マナー新事典』(朝日新聞出版)
岩下宣子監修『【増補改訂版】きちんと知っておきたい 大人の冠婚葬祭マナー新事典』(朝日新聞出版)

 一口に「花」と言っても、「アレンジメントフラワー」「ブーケ」「鉢植え」「プリザーブドフラワー」などの種類があり、それぞれに向き不向きがある。次の図版に詳しいが、いくつかのシチュエーションについてまとめておきたい。

 開店・開業や新築祝いでは、鉢植えやアレンジメント、観葉植物がいい。大切なのは、室内の雰囲気に合わせたものを選ぶこと。「赤」は火を連想させることから嫌われる場合もあるので、避けたほうが無難だろう。

 イベント会場などへの陣中見舞いには、景気づけの意味でも華やかな雰囲気の豪華なアレンジメントが喜ばれる。誕生日祝いなら、相手の好きな花や誕生花を贈るのもいい。

 病気見舞いには、香りの強い花、花粉や花びらの落ちる花、葬儀に使われる花、鉢植えは避けること。シクラメンやクチナシの花も「死」や「苦」を連想させるのでタブーとされている。気持ちが和む、明るい花を選ぼう。

 贈答用の花の最高峰的存在の胡蝶蘭の鉢植えは、開店祝い・就任祝いなどの法人向けのお祝いや、新築祝い・還暦祝いなど格式のある場面で使われることが多い。「幸福が飛んでくる」という花言葉や、見栄えがよく、高級感があり、長持ちすることから、しばらく飾ってもらえることなどが選ばれる理由だ。

 花の色は白、リップ(白い花びらと赤い唇弁が組み合わさったもの)、ピンクが主流。定番色の白はお悔やみの場面にも使うことができる。本数が増えれば豪華になり、金額も高くなる。鉢植え全体の大きさにも影響するので、贈り先のスペースなども考慮に入れて選ぶといい。

 誕生日に花を贈る際は、当日もしくはパーティーがある日に届けるのがベスト。新築祝いは新居完成なら半月以内に、当選祝いは決定後なるべく早く(遅くとも1週間以内)、開店や開業のお祝いなら、開店・開業当日は贈られる側が忙しいことが多いので、前日には着くように送っておくといい。

 四十九日、お盆、法事、命日には、お寺さんやお参りの方もいらっしゃるので、花はなくてはならないもの。当日より前日に届けておくほうが準備が助かるはずだ。前もって花を持参することを遺族に伝えておくと、花を用意する手間が省けて喜ばれる、ということもある。

 いずれにせよ、花を贈るときは花屋さんが頼りになる。贈り方や花選びなどを相談すると、適切な贈答ができて安心だ。

(監修:現代礼法研究所主宰・岩下宣子/構成:生活・文化編集部 端香里)