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水野美紀がつい二度見… 保育園からの連絡に書かれていた我が子の驚くべき行動

 42歳で電撃結婚、翌年には高齢出産。女優・水野美紀さんが“母性”ホルモンに振り回され、育児に奮闘する日々を開けっぴろげにつづった子育て奮闘記『余力ゼロで生きてます。』(2019年11月、朝日新聞出版)からの記事。今回は子どものとめどない「食欲」について。さらに子育て奮闘記第二弾『今日もまた余力ゼロで生きてます。』も好評発売中! こちらもお楽しみに。

水野美紀の子育て奮闘記『余力ゼロで生きてます。』(2019年11月、朝日新聞出版)

  主食:完食
  汁物:完食
  主菜:完食
  副菜:完食
  果物:完食

 毎日保育園から携帯のアプリにお知らせが届く。今日の様子、排便の有無、お昼寝の時間など、保育士さんが書き込んで送信してくれるのだ。

 特にコメント欄は読むのが楽しみ。

「今日は園庭で遊びました。木の陰からヒョコッと顔を出して、『ばあ!』と、いないいないばあ遊びを楽しんでいました」

 といったような、保育園での我が子の様子がわかる内容で、毎日お知らせが届く夕方4時くらいになるとそわそわして、着信があるとすぐに確認し、何度も何度も読み返してしまう。そして、我が子の姿を想像してニヤついてしまう。

 また、給食をどのくらい食べたか、というのも知らせてくれる。それが上記のように送られてくるわけだが、完食できなかった場合は、

  主食:70%
  汁物:50%
  (食べている最中に寝てしまいました)

 というように表記されて届く。

 今回は我が子の食欲について触れてみます。

 保育園には給食室があって、毎日手作りのごはんを食べさせてもらえる。入園以来、我が子はほぼ毎日完食。数回だけ食べ残した日があったが、途中で寝てしまったという理由であった。

 眠いのを我慢して限界までがんばって食べ進めたものの、無念の寝落ち。きっと夢の中で完食していることだろう。

 私の姪っ子は食が細く、義妹がいつも食べさせるのに苦労しているのを見ていたから、我が子はどうなるだろうと思っていたのだが、うちの子の食欲は旺盛で、まあ食べる食べる。

 最近、特に食欲が増している。そして、食べ物に貪欲である。お腹がいっぱいになっても、大人が何かつまむと寄ってきて、

「あーー」

 と大きな口を開けて食べさせろと要求してくる。

 台所で料理をしていると足に絡みついてきて、抱っこを要求してくる。鍋の中を覗きたいのだ。

 抱き上げて見せてやると、

「おおーーー!」

 と目を見開いて、手で食べるマイムをする。うどんが大好きなので、うどんをすするマイムをするのだ。

 ゆでうどん半玉が、1歳半の幼児の食べる量の目安だそうだが、我が子は基本4分の3玉ペロリといってしまう。

 食べる量が増えたからか、腸の消化機能の発達か、これまで日に1回だったウンチは、2~3回に増えた。ただ、多少の波があるのを感じる。

 大丈夫か?? と思うくらい食欲旺盛になって、ちょっと丸くなって、10日間くらいすると落ちついて、若干しゅっとしてきて、しばらくするとまた食欲が増して、という感じ。

 そのことを弟夫婦に伝えると、

「そうそう、ぷくっと太って、縦に伸びて、太って伸びて、太って伸びて、そうやって背が伸びていくものだから」

 と当たり前のように言われた。

 知らなかった! そうだったのか!

イラスト:唐橋充

 知能の発達と、食欲爆発の時期が重なっている現在、我が子は面白い知恵を身につけた。

 うちの冷蔵庫は、冷凍室が一番下で、引き出しタイプになっている。その冷凍庫に、我が子の大好きな冷凍ブルーベリーが常備されていて、我が子もそれを認識している。

 夕食前か、お風呂上りのタイミングで、毎日一粒だけ食べる。小躍りしながら一粒食べて、それで満足していたのが、最近は冷凍庫を指差して、

「もっと」

 と訴えてくる。

 こちらが応じないので諦めていたが、先日、引出しの隙間に指を入れて、

「いててててーーー!」

 と、指が挟まったフリをして、私に引出しを開けさせたのだ。

 私はびっくりするとともに感心してしまった。

 そんな昨今、保育園からのお知らせの中に、ちょっとした変化があった。

 これまでずーーっと「完食」と表記されて届いた給食欄。

 もはや、さしてチェックもせずに流し見程度にしていた、その給食欄を、先日思わず二度見した。

  主食:完食
  汁物:完食
  主菜:おかわり
  副菜:おかわり
  果物:完食

 おかわり!!??

 おかわりのシステムあったんですか??

 我が子はどうやっておかわりを要求したのですか??

 この、おかわりシステムを認識した我が子が、あの手この手でおかわりを要求しはじめるのではないかと、毎日給食欄に注目している母であります。

水野美紀(みずの・みき)
1974年三重県生まれ。女優、作家・演出家。87年芸能界デビュー。2017年第一子を出産。映画「踊る大捜査線」シリーズ、ドラマ「探偵が早すぎる」シリーズ、テレビ番組「突然ですが占ってもいいですか?」、舞台「ベイジルタウンの女神」。舞台では脚本・演出を担当、自身で演劇ユニット「プロペラ犬」も主宰している。他にも多数の出演作があり、CMにも出演するなど、幅広いジャンルで活躍し続けている。また、何気ない日常をユーモラスにつづったエッセイ集『水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます。』も好評を得ており、続編が9月20日に発売予定。その他の著書に、『ドロップ・ボックス』『私の中のおっさん』『プロペラ犬の育て方』がある。

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