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「戦略的ちょいギレ」がアホの対処法には最強の理由

 理不尽な言動で周囲を振り回す“アホ”との付き合い方を伝授した、シリーズ80万部突破のベストセラー待望の最新作『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)が発売された。コロナ禍を経て、さらにパワーアップした「アホの対処法」を、同書から一部を抜粋して解説する。今回のテーマは「アホに出合ったときの適切な怒りの表現法」について。
(タイトル画像: JNevitt / iStock / Getty Images Plus)

田村耕太郎著『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)
田村耕太郎著『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)

 正面からやり合う戦いは、勝っても負けても後味が悪い。そこでオススメするのが、戦略的にちょっとだけキレることだ。大事なポイントは心は「平静」であること。感情的になってキレたらそれは単なるアホになってしまう。敵をつくり未熟な人間だと評価を下げるだけだ。

 なぜ戦略的にキレることが大事なのか? それは都合よくコントロールされないためだ。注意すべきポイントは、次のとおりだ。

  • 感情的には全然怒っていない

  • ごくたまに

  • ここぞというタイミングで(あなたの立場がやや強い時がいいキレ時だ)

  • ターゲットを絞って(キレる意味がない対象は無視)

  • あくまでリスペクトフルに(無礼にはならない)

  • 相手のため、全体のため、という大義名分を感じさせる

  • 普段は感じよく。普段穏やかな人がキレるから、ちょいギレでも劇的な効果がある(ギャップ効果)

 日常でキレる必要が全くなければちょいギレも必要ないが、世の中はそんなに甘くないだろう。アホの日ごろの態度に「なめんじゃないよ」と思うこともあるだろう。嵐が過ぎればいいように時が解決することは放っておけばいい。

 しかし、キレないと中長期的に都合悪くコントロールされそうな事案は、時が過ぎるのをただ待っていてはまずい。その事案への対処法のスキルが、ちょいギレだ。

著者の田村耕太郎さん(撮影:小原雄輝)
著者の田村耕太郎さん(撮影:小原雄輝)

 ちょいギレを有効活用するためには、まず普段から心を鍛え、何事にも感情を乱されないようになろう。感情的には全く怒っていないのにキレたふりをするのは高等技術だ。心を訓練していないと、とてもじゃないができない。

 普段はさりげなく不必要なほど過剰ではない範囲で感じがいい人であり続けよう。超天才でもない限り、感情がコンスタントであることが現代そして今後のビジネス社会であなたの価値をあげる最低限の素養だ。そしてコンスタントな人がごくたまにちょいギレすることほど恐ろしいことはない。

 いわゆるギャップ効果だ。

 感情がコトンロールされたちょいギレでもしょっちゅうキレていては、効果も薄れ、評価も下がる。これ以上我慢していたらまずいという限界点で、タイミングをみよう。伝家の宝刀は一回しか抜けないのだ。

 いいタイミングは、あなたがやや立場が強い時だ。「あなたに断られた相手が困る」というタイミングがベストだろう。「あなたの代わりがいくらでもいる」というシチュエーションでは相手は「おーそうか!」と対抗心むき出しになる。またはあなたが耐えながらあなたの代わりがいないポジショニングを創り出せていたら最高だ。

 キレる時は上品に、キレ過ぎないように。相手へのリスペクトは不可欠である。呼び捨てや不謹慎な言い回しは厳禁。相手を感情的にしない、追い詰めないことを心がけよう。

 それがアホと直接対決せずにアホに勝つ手段だ。

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)
1963年、鳥取県生まれ。国立シンガポール大学リークワンユー公共政策大学院兼任教授、一橋大学ビジネススクール客員教授。カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル・リーダーシップ・インスティテュートフェロー。早稲田大学卒業後、慶應義塾大学大学院、デューク大学法律大学院、イェール大学大学院、オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。山一證券に入社。米国留学を経て大阪日日新聞社社長。2002年から10年まで参議院議員。第一次安倍政権で内閣府大臣政務官を務めた。その後、イェール大学フェロー、ハーバード大学リサーチアソシエイト、ランド研究所で当時唯一の日本人研究員を歴任。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。14年より、国立シンガポール大学リークワンユー公共政策大学院兼任教授としてビジネスパーソン向け「アジア地政学プログラム」を運営。 カリフォルニア大学サンディエゴ校でもアメリカ地政学プログラムも主宰。世界のスタートアップに投資するエンジェル投資家でもあり、Web3.0、フードテック、教育関連中心に投資を行う。シリーズ87万部突破の『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など著書多数