世界を簡単にする「当事者」へ
『同じさ。男同士の恋愛ものが好きなんて確かに大した問題ではない。だけどそれは君も変わらない。男だけど男が好きなんて、だからどうしたで済む話。真に恐れるべきは、人間を簡単にする肩書きが一つ増えることだ』
『人間を簡単にする肩書き?』
『ああ』
僕は首を捻った。ミスター・ファーレンハイトの話は、たまに概念的で難しい。
『どういうこと?』
『そうだな。その子に関して、腐女子以外に何か大きな特徴はあるか?』
『絵が上手いかな』
『そこにその子が腐女子であるという情報が加わると、さす