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小学校入学の準備で大切にしたのは、「複数のコミュニティを持つこと」

「なるべく、いろんなコミュニティを持たせてあげたいね」

これは、もうすぐ小学生になる長男の入学準備にあたって、私が夫に伝えたことです。
小学校、学童、習い事など、子どもが所属する新しいコミュニティを選択する機会には、コミュニティを増やす方向にしてきました。
例えば学童は、あえて小学校からは少し離れたところにして、小学校のお友達とは別のコミュニティに入れるようにしています。

なぜ子どもが所属するコミュニティを複数にするのか?

今回はその理由となった考え方を紹介したいと思います。

子どもにとっての「世界」は、友だち関係

子どもの性格は遺伝で決まっている部分が意外と大きい――ここ最近、この考え方がかなり広まってきたように思います。しかし、遺伝以外にも大切な要素があるとのこと。

心理学者のジュディス・リッチ・ハリスによると、子どものパーソナリティ(人格)は、友だち関係の中でつくられる部分が大きいそうです。

ジュディス・リッチ・ハリスは発達心理学の膨大な文献を読み込むとともに、養子を含む自らの子育て経験も合わせ、子どもにとって「世界」とは友だち関係のことだと考えた。

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なぜ友だち関係がそこまで大切なのでしょうか?
それは、人類が自分の家族だけで子育てをするようになったのがごく最近で、それまでは集団で子育てをしていたことが関係してきます。

乳幼児死亡率が高かった旧石器時代、母親はできるだけ多くの子どもを産むことに集中し、生まれた子の世話は集落内のいとこや兄姉など年の近い子ども達で担っていました
そうなると、幼児期以降、子どもの生存にとって大切なのは親ではなく年の近い子ども達とのコミュニケーションになります。

親よりも「友だちの世界」のルールを優先することが子どもの本性だとすれば、「子どもはなぜ親のいうことをきかないのか」という疑問にはなんの意味もない。

これ、自分の経験を思い出しても納得できる方が多いのではないでしょうか。私も小学生くらいからは、親よりも圧倒的に友だちとの関係を優先していました。

うちの子はいま6歳と4歳ですが、きっともうすぐ友だちが生活の中心になり、親とは遊んでくれなくなちゃうんだろうなぁという予感でいっぱいです……。

キャラ被りを避けて、集団内で目立つために役割を選択する


子どもの人格は、友だち集団のルールを理解し、仲間をつくり、周りとの差異をもとに自分のキャラ(役割)を選択することで作られていくとのこと。

スポーツが得意でも、友だちグループのなかに自分よりずっと野球の上手い子がいれば、別の競技(サッカーやテニス)が好きになるだろう。たいして歌が上手くなくても、友だちにいつもほめられていれば、歌手を目指すようになるかもしれない。  最初はわずかな遺伝的適性の差しかないとしても、友だち関係のなかでそのちがいが増幅され、ちょっとした偶然で子どもの人生の経路は大きく分かれていくのだ。

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より友だちグループの中で目立てるように、他の友だちとの差別化を図る――というのはよく分かります。ただ、「たまたま所属したコミュニティによって、子どもの才能が発掘されるずに終わることもあるかも!?」と親バカな危機感も抱きました。

例えば、たまたま同じクラスに藤井聡太さんみたいな子がいたら、我が子にある程度将棋の才能があったとしても、「自分はいつもアイツにかなわないから、将棋は諦めよう」って思うかもしれないってことですよね……。

才能だけではなく、リーダータイプ、優等生タイプ、お笑いタイプなどの性格(キャラ)も、集団内で被らないように無意識に調整しているとのこと。

もし、小学校のクラスという1つのコミュニティしか持っていなかったとしたら、そこでたまたま選択されたキャラや才能が本当は不本意だったとしても、そのまま定着してしまうことがあるかも!?
こう考えると少し恐ろしいですよね。


子どもには、「自分の好きな自分」を発見してほしい

ここで紹介したジュディス・リッチ・ハリスの集団社会化論には納得することが多かったので、子どもには「いろんなコミュニティを持たせてあげたい」と考えるようになりました。

もし1つのコミュニティで選択した「自分」が気に入らなくても、他のコミュニティではまた違った「自分」になれて、そっちの方が好きになれるかもしれない。

子どもには、なるべくいろんなコミュニティで多様な人と交流することで、自分が好きになれる自分、思いがけない才能を持った自分と出会ってほしいと思っています。

これはきっと大人にも言えることですよね。
以上、まだまだ発掘されてない自分があるはず……と思っているアラフォーでした(笑)。



<参考文献>


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