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第13話 米朝首脳会談

あさ 「今日はフィーバーですか?」

私 「もちろんです。楽しみましょう!」

我々にとっては
「How are you?」
「I'm good ! 」
くらいの日常会話である。



本日のゲストを紹介しよう。



荘厳な山、ではない。

彼の名は "ひらさわ" 。
陶芸家石並べ家の二足のわらじを履いている。

太っているように見えるかもしれないが、南海トラフ地震のために身体に緩衝材を溜めているだけである。



ひらさわ氏とあさじんは、前に一度、四人麻雀で対戦経験がある。

あさ 「ひらさわさんって、ピン東メンバーを長いことやってますし、フィーバーマイティもすぐ適応しそうなのだが」

ここで「だからなんだ?」と返してはいけない。それがOKなら介護の仕事は誰でもできる。
こういうときに便利な言葉は、接客で大切な「さしすせそ」だ。

「さ」・・・さすがです!
「し」・・・知らなかったです!
「す」・・・すてきですね!・スゴイですね!
「せ」・・・センスいいですね!
「そ」・・・そうなんですね!

今回のケースはどの選択肢がいいか?もちろん「そ」である。


私 「そうなんだ(*^◯^*)」

あさ 「はい」



なんでもよかったかもしれない。



あさ  「すみません。今日はお気持ちはあるんですが手持ちがないので、積載は軽めでもいいでしょうか?」

私  「しらなかったです。それじゃ1点につき5気持ちポイントにしましょう。ひらさわ先生、総額差しをしませんか?」

平沢  「わかりました」

差し馬(馬身)とは、それぞれの和了をより讃えましょうということで、スコアや着順によって「お気持ち」を多めに表明することだ。
「総額差しをしよう」という提案は、お気持ち表明のときのスコアに、差分のお気持ちをもう一度表明したいということである。
つまり、普段からお世話になっていますという意味だ。

ベースの積載が小さいので、私はひらさわ先生と2倍の総額差しをすることになった。



あさ 「あの・・・平沢さん、かもしんさんやたわし君は怒らないでくれたけど、ひらさわさんは耐えられるかどうか・・・

平沢 「なににですか?」

私 「あ~、 "もうひとりのボク" ってやつだよ~」

あさ 「フィーバーになると、制御できないんです」

私 「とりあえず、出アガりしたときに牌を指差すのと、天を指差すのをやめるとこから始めましょうか」

あさ 「そんなことしませんよww

私 「さすがです」


彼は相手の意見をなんでも否定する癖がついてしまっている。認めていただくには証拠を提出するしかない。

私 「次にあさじんさんがトリップしたら動画を撮るから、それ見てみなよ」

あさ 「わかりました」

動画の撮影が解禁された。


平沢 「じゃあ、フィーバー」


話の途中だがショーグンから弾道ミサイルが発射された。彼の必殺技、テポドンである。


平沢 「カンサヘョ〜(ありがとう)」



戦争がはじまった。




その数十分後。


「あっ!!あーーーー!!あーーっ!!・・・あっ!あああああああ・・・・」

あさじんがモールス信号を送信し始めた。統計的に120%の確率でフィーバーリーチが放たれる。



あさ 「Fiver!」

 今度は”アメリカ・ファースト” である。


私 「ねえねえ、いま天を指差してるよ」

あさ 「・・・え?!あっ!!!!おかしいなぁ・・・」

彼は天を指差す自分の手をまじまじと見つめて本気で驚いている。

おかしいのはお前の頭だ、と前歯あたりまで出かかったがすぐに思い直し、(将軍に対抗して、こんなパフォーマンスもできるようになったのか)と感動した。本当に気配りができる人だ。


あさ 「と、とにかくフィーバーだから・・・まちはこの辺とこの辺」


4sと8pの周りをぐるぐると指差し回していた。彼が~ソウ、~ピンと言えないので、口頭形式は廃止されたのだ。

私 「すごいですね」

あさじんの打った大陸間弾道ミサイルはとても広い待ちだ。高目は四暗刻である。


あさ「ん?」



あさ 「ほわあああああああああああああ!!!!!!!」



一発でマイティ牌を引き、得意の親指強打で叩きつけた。


私は、『燃えよドラゴン』でオハラを圧倒したブルース・リーがフラッシュバックした。子供の頃から憧れていたスーパースターを前にして、私は大変感動した。


あさ   「ツォォ!ツオです!!ううううう・・・」

平沢 「彼はどうして泣いてるの?」

私 「考えるな。感じるんだ」


本当に少しこわくなったので、私は何も考えないことにした。



■お気持ち表明


私は日本代表として大国と戦ったが、なす術なくやられてしまった。
あさじんさんへ1000気持ちポイントを、偉大なる最高指導者に57000気持ちポイントを表明することになった。

平沢 「いやあ、今日は楽しかったですよ。トリップも見れましたし」

あさ 「そうですか笑」

なにわろてんねんと思ったが、疲れているのだろう。仕方のないことだ。

あさ 「いやあ、やっぱり噂通り強かったです。もしよかったらまたお願いします」

私は(お世辞も言えるようになったのか)と介護士としてのある種の達成感に満たされていた。



その夜。




LINEで「センスいいですね」と送っておいた。




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フィリップ
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