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深呼吸

深く息を吸うと、生きている実感が湧く。

においから雨や木や草の、存在を感じることができる。

雨が降って土を潤し、茂った木の葉の香りが風にのって運ばれてくる。



日々生きていると、"世界"とは人間のことを指しているような気がしてくる。

そして、人間の中にいることに、人間であることに疲れたとき、世界には自分の居場所などないような気がしてくる。

そんな時、私は深呼吸をする。

雨や木や草の存在を確認する。

地球を確認する。

人間は世界の"一部"だ。

生かし生かされている存在だ。

大きく息を吸ってそのことを確認する。

私は生かされている、と自分の命を確認する。

そして、生きていることに喜びを感じる自分に安心する。

あぁ、私はまだ生きたいんだ

生き甲斐とか目標とか楽しみとか、そんなものたちよりもずっとずっと深い根っこの部分で

私の心と体が「生きたい」と言っている。

何があったって、何にもなくたって、

ただ生きていたい。


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