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ヒョナの18年(ミッチョ!10周年記念)

14歳でデビューし、昨年末32歳で結婚するまで、
(そしておそらくこれからも)
K-POPの第一線を走り続ける、
「韓国歌謡界のセクシー女王」
キム・ヒョナ(1992年6月6日生、元4Minute)。

2007年中学2年生でJYPに見出されてデビューし、
CUBE史そのものともいえるキャリアを経て、
2018年に"駆け落ち事件"でK-POP界を揺るがし、
去年ついに32歳で結婚したヒョナの軌跡18年。


Wonder Girls(ワンガ)

2007年2月にJYPがデビューさせた、
女性グループ Wonder Girls(ワンガ)。

ヒョナはワンガのオリジナルメンバーだった。

左からソンミ、ソヒ、イェウン、ヒョナ、ソネ

年下組のソンミ、ヒョナ、ソヒは中学2年生。

左からイェウン、ソヒ、ソネ、ヒョナ、ソンミ

(デビュー前のWonder Girls、
めちゃくちゃ可愛いんだけど。)

デビュー前の映像で、
ワンガの生みの親である餅ゴリ(J.Y.Park)が
ソンミに意思確認をする有名な一幕がある。

「(スターを目指すためには)
全て諦めなきゃいけない。
自分が若い子供だということを忘れなければならない。恋愛も、家族との時間も、全部を諦めなきゃいけない(けど大丈夫?)」

それに対してソンミが泣きながら頷き、
そばにいたヒョナがもらい泣き。
餅ゴリが
「なんでヒョナが泣くんだよ〜」
と笑ってしまうという映像。
(その映像を探したのだけど見つからなかった。)

[追記]あった!!

(22:27〜あたりから)

餅ゴリの話を真剣に聞くヒョナ(右)
泣き出してしまうソンミ(左)
つられて泣いてしまうヒョナ(右)

2007年、14歳のヒョナは、
Wonder Girlsのメンバーとして、
『Irony』でデビュー。

ヒョナ(2007年)

リーダーでセンターだったソネも、
後に国民的人気を博すことになるソヒも、
この頃はヒョナの人気に追いつけなかった。

ヒョナが注目された理由は、
かなりハイレベルなダンススキルと、
ラップもそこそこの腕前、あとは
やたらと人を惹きつける何か(色気?)。

同年11月に2作目『Tell Me』のMVまで撮ったようだが、ヒョナは「健康上の理由」で
『Tell Me』のリリース直前に脱退した。

『Tell Me』は大ヒット。
韓国で大ブームとなり、
2008年の「Tell Meシンドローム」と呼ばれる社会現象を巻き起こした。
Wonder Girlsは一躍大スターとなったものの、
その中にヒョナの姿はなかった。

4Minute(ポミニ)

ヒョナのワンガ脱退後、
JYPの理事ホン・スンソン氏がJYPを退社し、
CUBEエンターテインメントを設立。
ヒョナはホン・スンソン氏とともにJYPを出てCUBEに移籍した。
つまりヒョナはCUBEの初期メンであり、
後に"mother of CUBE"と呼ばれる人である。

ヒョナを中心に、2009年、
5人組「4Minute」が結成された。
(名前に4が入っているけど5人組。)

左からガユン、ジユン、ヒョナ、ジヒョン、ソヒョン

4Minuteは、
デビュー年にリリースされた『Muzik』、
Hot Issue』で人気グループにのし上がり、
ワンガ、少女時代、KARA、2NE1、f(x)などとしのぎを削ることになる。

『Hot Issue』2009年

また、この頃に会社を跨いで結成された
「4 Tomorrow」というユニットがあった。
KARAのスンヨン、Brown Eyed Girlsのガイン、
ヒョナ、afterschoolのユイで結成されたユニット。

スンヨン(KARA)、ガイン(BEG)、ヒョナ、ユイ(AS)

2010年にCUBEはヒョナを、
『Change』でソロデビューさせる。
この時にフューチャリングしたのが、
同じCUBEに所属するBEASTのメンバー、
ヨンジュンヒョン(のちの夫となる人物)。

14年後に結婚する二人(ヒョナとジュンヒョン)

当初からヒョナはセクシーを売りにしており、
この『Change』のMVは青少年閲覧不可に。
当時ヒョナは17歳でまだ成人していなかったので、
自分のMVを閲覧できないという皮肉な事態となった。

当時のヒョナはスケジュールが過密すぎたのか、
2010年11月20日放送の『音楽中心』では歌詞が飛んでしまうアクシデントが起こる。

翌21日放送の『人気歌謡』では無事に歌い切れるかに見えたが、結局は終盤に歌詞がまた飛んだ。

(それにしても可愛すぎない?)

それでも個人活動は好調。

2011年に『Bubble Pop!』が大ヒット。
(これも放送審理委員会で、過度に扇情的として活動停止処分を下される。)
この頃からセクシー歌手の代表格として「覇王色」と呼ばれるようになる。
2012年にはPSYの世界的ヒット作『江南スタイル』にフィーチャリングで出演し、同MVは同年だけで10億回以上再生された。

誰もが一度は見たことがある顔になった

CUBEはヒョナに個人活動ばかりか、BEASTのメンバー、ヒョンスン(先述のジュンヒョンではない)と「Trouble Maker」というデュオを組ませて活動させ、それも成功。

Trouble Maker(ヒョンスンとヒョナ)

当時のヒョナとヒョンスンはあまりにも息があっていたために、交際していたのではないか、ともいわれるが、おそらくしていなかったと思われる。
2011年のMAMAではステージ上でいきなりキスをして観客を騒然とさせたがこれもパフォーマンス。

当時についてヒョナは
「体が壊れるほど働いた」と回想している。

グループ活動(4Minute)のほうは
2011年以降人気が停滞ぎみだったものの、
2013年、4Minuteは『What's your name?』のヒットで勢いを盛り返す。

これぐらいからオーラがヤバい

ヒョナのソロ活動も好調で、
2014年は『Red』でさらに挑発的な振付を披露。

4Minuteとヒョナのセクシー・パフォーマンスは
韓国国内で放送倫理をめぐる議論を巻き起こし
国会で4MinuteのMVが流れたこともあったらしい。

さらに4Minuteは、
2015年『미쳐(Crazy)』が大ヒット。

一世を風靡した「ミッチョ!(狂え!)」

当時の三大事務所以外で初のMV1億回再生を達成。
(今日でリリースからちょうど10年らしい。)

4Minuteは「ガールクラッシュ」ブームを牽引し、
K-POPの黄金期を支えたグループとして韓国史に名を刻んだ。

しかし2016年、4Minuteは
『Hate』での活動を最後に解散を発表。

解散の理由は色々言われてるが、
とにかくCUBEは7年目の契約更新に際し、
ヒョナとだけ再契約が成立。
他のメンバーはCUBEを退社した。

4Minute解散後もヒョナのキャリアは順調で、
2016年に『어때?(How's this?)』がヒット。
2017年の『Lip & Hip』もヒット。

2017年には後輩CLCの『Hobgoblin』のコンセプト、衣装などを手掛け、
CLCの路線変更に大きく携わった。

Triple H

2017年、CUBEが新ユニット「Triple H」の結成を発表。
ヒョナに、後輩男性グループPENTAGONのリーダー・フイと、同じくPENTAGONの中心メンバーと目されたイドンを加えた3人の男女混成ユニット。

左からイドン(PENTAGON)、ヒョナ、フイ(PENTAGON)

(このイドンとの出会いがヒョナの人生を変えることになる。)

この「Triple H」はアルバムを2作出し、
イベントやサイン会もした。
ところが事件が起きる。

「駆け落ち」事件

ヒョナが一番世間を驚かせたのが、
2018年の「駆け落ち」事件だった。

事件の発端は熱愛報道。お相手は、
CUBEの新人男性グループPENTAGONのメンバーで、ともにTriple Hとして活動しているイドン

ヒョナはCUBEに創業当初から所属し、
黎明期を支えた4Minuteのセンターで、
いわば「会社の顔」と呼ぶべきスター。

イドンは事務所の後輩で(年齢は2歳下)、
当時人気が出始めていたPENTAGONの、
しかも最高人気メンバー。

世間は大騒ぎになった。

余談ではあるが、
PENTAGONはこの事件の直前に、
『Shine(ピンナリ)』という曲を大ヒットさせ、
一躍トップグループに昇り詰めようとしていた。
その『Shine』のセンターだったのがイドンだ。

CUBEはすぐに交際を否定

「事実無根」と言い切った。

ところが、その否定記事が出た後に、
ヒョナが自ら新聞社に電話し、交際を認める。

自らインスタを更新し、
「イドンとは交際2年目。
ファンのために正直でいたかった」
と交際宣言をした。
(つまりTriple H結成前から、というかPENTAGONのデビューより前から付き合ってたらしい。)

その直後、
イドンがPENTAGONとしての活動(確かサイン会?)に欠席することが発表され、
ヒョナのイベントも次々キャンセルされる。

しばらく沈黙の後、ヒョナが心境を告白。
「交際宣言の後、
事務所が勝手に仕事をキャンセルした。
急にスケジュールが真っ白。
社長に手紙を何枚も送ったけど返事が来ない。」

(これはCUBE怒ってるな…!)

たぶん、
CUBEとしてはせっかく(?)交際を否定したのに、
勝手にヒョナが認めたことで、
会社としての面目を潰されて激怒したと思われる。

ヒョナにしてみれば、
CUBE創業から10年
事務所の顔として働き続け、
貢献しまくった自分だから、
まさか恋愛を認めたくらいで、こんな仕打ちを受けるとは思わなかったに違いない。

10月15日、
CUBEは「ヒョナとの契約解除」を発表。

このときヒョナは自身の契約解除について、
直接連絡を受けずに報道で知ったとしている。

当時ヒョナがCUBEの代表に送った手紙には、
ヒョナの納得できない思いが綴られている。

ご存知の通り、私には、今のCUBEエンターテインメントが存在するために体が壊れるほど一生懸命に活動した罪しかありません。
第1はかつてJYPエンターテインメントと決別する際、ホン・スンソン会長(CUBE)側に立ったこと。第2は(CUBEの)ホン・スンソン会長とパク・チュンミン社長が対立した際、説得を振り切ってホン・スンソン会長側に立ったこと。
第3はCUBEが上場した後、そして今のCUBEになるように最善を尽くしたこと。

株主総会招集に関する連絡を貰っておらず、二ヶ月間、血の滲むような思いで毎日を過ごして待ちつづけました。

私の心とは関係なくCUBEエンターテインメントから退出され、私のイメージは地に落ち、名誉は失墜されました。昔からの情を考えて美しく円満に解決されることを願います。連絡がなければ今までの事実を理由に記者会見を通じて私の道に進みます。

ヒョナ

CUBEはこれには応えず、続いて、
「イドンのPENTAGON脱退、契約解除」
を発表した。

つまりヒョナとイドンは、
恋愛したことで、揃って会社をクビになった。

最高人気メンバーだったイドンの脱退は、PENTAGONにとってだいぶ痛手になってしまった。

このクビ事件の後、
CUBE社屋の前に一つの花輪が届いた。
「ヒョナ、イドン退出おめでとう。
 CUBEのこれからの飛翔を願って」

私の認識では、
これが昨今のK-POP界をたびたび騒がせる、
「嫌味の花輪を贈る文化」の発端だ。

全てはここから始まった。

このときの花輪はまだ一基だった。

(さらに、私の記憶では、
2021年、(G)I-DLEスジンに学暴疑惑が出た時も
「スジン脱退を祝います」みたいな花が、
まだ脱退する前からCUBE社屋に送りつけられ、
そのあとスジンが本当に脱退してしまったので、
元々CUBEの文化(?)だったものが、このあたりからK-POP界全体に広まっていったように思う。
徐々にエスカレートして最近は千基とか並べられるようになったようだ。
とりあえず、過ぎてしまったことはともかく、
会社が花輪の言うことを聞くことをやめなければ、
この悪習はおそらく終わらないし、
花屋が儲かるばかりなので、
各会社には毅然とした態度を取ってほしいもの。)

ヒョナたちの話を続けると、
この「駆け落ち事件」はかなり世間を騒がせ、
イドンは「女のためにグループを捨てた男」
ヒョナは「後輩の人生を狂わせた女」
として大変なバッシングに遭うことになった。

(個人的には、
この頃からCUBEのイメージが悪くなり、回復されることなく、悪くなり続けて今に至る。)

P-NATION

CUBEを追い出されたヒョナとイドン。
かつてヒョナが『江南スタイル』に出演した縁で
PSYの会社であるP-NATIONに拾ってもらえた。

2019年『FLOWER SHOWER』をリリース。
その後、体調不良で活動休止するも、
2021年『I'm Not Cool』はかなりヒットしていたイメージだ。

P-NATIONに来てからは、やや路線の変更が見られ
特に『FLOWER SHOWER』ではセクシーを抑えて新境地を切り拓こうとしたかに見えたが、
『I'm Not Cool』では毒気マシマシであった。

そして2021年9月、世間を驚かすアルバム
『1+1=1』を発売する。
これは同事務所にいる恋人イドンとのデュオ作品。
タイトル曲『PING PONG』が大きな話題を呼び起こした。

恋愛に関してバッシングされていた当時、
後ろ指をさす世間を挑発するかのような作品で、
ちゃんと良い曲だったのもあり、
非常に話題になった。その影響力は、
以来、アイドルのキャリアを捨てた恋愛を
「ピンポンする」と呼ぶようになったほど。

ちなみにこの頃、私は
JYPとP-NATIONが共同でやっていた
オーディション番組『LOUD』を見ていたのだけど、
その終盤で、「JYPチーム」の助っ人としてスキズ、「P-NATIONチーム」の助っ人としてヒョナが出てきた。

当時、結構驚いて、
(デビュー前の練習生の男の子たちと、
覇王色ヒョナの合同ステージ?
どうやってやるんだろう?)と考え、
ヒョナも、さすがに少年たちの前では
少しは遠慮した演出をやるのかな、と思ったが、
いざ始まると別にそんなことはなくて笑った。

しかし、舞台裏では、
まだ小学生のような見た目の日本人応募者コウキ(13歳)に、特別にプレゼントを持ってくるなど、
温かい人柄をみることができた。

翌年2022年、
恋人イドンからInstagram上で公開プロポーズを受け、「もちろん」と肯定の意を表する。
この時イドンは財産の半分を使ってヒョナとの婚約指輪を購入。
その後イドンとともにP-NATIONを退社。
ついに結婚かと思われた。ところが…

イドンと破局宣言

交際宣言から四年。非公開期間も含めて計六年間の交際の後、「別れました」と発表した。

「人生を懸けた恋愛だったのに…」
と多くの人を失望させた破局だった。

AT AREA

2023年、
ヒョナは、元恋人イドンの移籍を追うようにして、GroovyRoomが率いる事務所AT AREAと契約。
『Attitude』をリリースして、新路線をみせたものの、なかなか表舞台に顔を出さない期間が続き。
心配していたら、
2024年5月に『Q&A』で本格カムバックした。

この『Q&A』は、それまでのヒョナのカラーだった
「セクシー」「毒気」といった要素を完全に捨て、
今までとは全く違うスタイルの落ち着いた雰囲気。

個人的に、この曲が好きすぎて、
本当に何度も聴いたし、ヒョナの心境の変化や、
メンタル面での完成をみて涙が出るほど感動した。

このカムバックとほぼ同時にヒョナは、
先述のBEASTの元メンバー、
ヨン・ジュンヒョンと婚約を宣言。
2024年10月に結婚した。

イドンとヒョナが結果的に破局し、
さらにヒョナが別の人と結婚したことで、
「ヒョナのためにアイドル人生を捨てたイドン」
を不憫がる声も多々上がっていたが、
まあ人生で大事なことは人それぞれだし、
六年も楽しい時間を過ごせたなら良かったのでは。

あとイドンがヒョナと別れた後に出した歌。

「全てを失っても全然かまわなかった。
君さえいれば幸せだった」
「ぼくは大丈夫。
きみの一番美しい時期を一緒に過ごせたんだから。
大丈夫。大丈夫…」

みたいな全然大丈夫じゃなさそうな歌詞で、
当時イドンが未練タラタラであることが明らかだが
私も失恋した直後だったので
この曲を涙なしには聴けなかった。

あれから二年近くが経ち、
私は完全に失恋を忘れ去ったので、
イドンも立ち直ってることを願う。

[余談]ヒョナと今のCUBE

個人的に、ヒョナが駆け落ち事件を起こす直前、
2018年のCUBEのイベントで、
当時デビューしたての新人だった(G)I-DLEと
『Bubble Pop!』を踊る映像を宝物のように思っている。(貴重映像)

ヒョナの退社後もアイドゥルは
『Crazy』(ミッチョ)のダンスカバーをしていたし、
つい先日も『Bubble Pop!』のカバーをしていたし
別にCUBEはヒョナのことを存在ごと
消し去るつもりはないようだ。良かった。

(Bubble Pop! のパフォーマンスは01:32~)

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