描き方の解説なんて面倒すぎるから、やってる人は偉いという話
よく「絵描きってやつは下手な人ほど絵の描き方講座をやったり手順を解説したりしている」なんて言われますけども、
私も以前は「こんなふうに描き進めました」という解説をつけて途中経過をブログやツイッターに上げていました。
それはべつに、自分が上手いと思ってやっていたわけではなくて。
デジタルイラストを始めたばかりで、いろいろ新鮮で、単純に描くのが楽しくて仕方なかったからです。
そして、もちろん先輩方に講釈垂れようなんて気も微塵もなくて、自分がデジタルを始めて半年~1年くらいだったから
自分と同時期に始めた人や、これから始めるような人の役にたてばと思っていました。
そして今では、進捗報告や描き方の解説なんて面倒で、めっきり書かなくなりました。
新しい描き方を試したりしたときは、またやりたくなるかもしれませんが、今は固定されたいくつかの塗り方※をローテーションしている状態ですので、もう何もめずらしいことがないんです。
※透明水彩塗り、デジタル水彩塗り、アニメ塗り、グリザイユ の間を気分によって巡っています。注文があれば依頼主の希望に沿うけど、ひとりで描いてる分にはその都度気まぐれ。
そしてこれらもまた自分で発明したわけでもなんでもなく、描き方の本を見ながらどうにかこうにか習得しただけのことですので、もし描き方をきかれたら「あんたも何か本買ってくれば」としか言いようがない
(私は、ネット上の描き方講座はあまり見ていません。複雑な塗り方ほど、左の手元に本を置いて手順を確認しながら、右手で描いて……とやらないといけないので、紙の本の方が便利と感じました)
もう一つの理由として、私は単純にお絵描き配信やライブペインティングなんかできるほど上手くはないのです。
ああいうことができる人というのは、自分の中で完璧に手順やスタイルが決まっていて、迷いなく進めていけるほどのベテランか
たとえ下手であってもとにかく手順が確立されている人だと思います。
でも私は未だに3歩進んで2歩下がるみたいなことをして、修正に修正を重ね、迷いに迷ってやっと仕上げることもよくあります。
で、進捗だとか作業手順のブログをアップする時はどうするかというと
すでにほぼ完成された絵から、レイヤーを一枚一枚消していってスクリーンショットをとり、
「はい、これが線画です。色を塗りました。背景描きました。影を付けました。加工しました」とやるのです。
ようするにインチキです。リアルタイムの進捗なんかではまったくありません。
「線画に色を塗りました」といったって、その色を決めるまでにものすごい右往左往を繰り返し、影をつけてみてから地の色を変えたり、何かがおかしいのを気付いて線画から修正したりしているのです。
1+1+1+1+1=5(完成♪)
なんてことにはぜんぜんなっていなくて、実際には
1+2…-2+1-1…+1…+3…-2…-2……
みたいなことをえんえんと繰り返したあげく、結果的に5(完成)なのですが、この中間部分をいちいち進捗報告したり解説したりなんてとてもできるものではないので、それをざっくりはしょって
1+1+1+1+1=5(完成♪)
としているだけです。
これは私がそうなのか、ベテランの絵描きさんでもある程度省略して解説をしているのか、よくわかりませんが
こんなわけなので、描き方講座は役には立つけど、実際にはそれだけじゃない部分がいっぱいある
最初からこの「それだけじゃない部分」をはしょれる人は、たぶん天才です。
しかし、1+1+1+1+1=5(完成♪)みたいに絵が描けることも、あるといえばある
しかし毎回そんなふうに描けているとしたらそれはたぶん、得意な構図や絵柄が固定しすぎて、新しいことに挑戦することを怠っているからかもしれない。
という、なんだか煮え切らない感じの話ですが、私の正直な気持ちです。
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