続・夢十夜(十)
一 ミキモト
妻とミキモトにいる。大きなお店で、中をゆっくり見て回っている。大きなガラスケースの中をのぞいているとガラスがガタガタとゆれ出す。誰かがゆすっているのか。地震ではないようだが。僕は妻に「脱水機が回っているみたいやな」と話しかける。横にいた若いカップルがくすくす笑っている。そのとき妻の顔を見ると急に老けてヘアスタイルも変わっている。もうきれいではなくなっているのだ。妻はくすくす笑っている。次第にこれは別人ではないかと思い出す。そのとき、向こうから年配の男性といつも見慣れた僕の妻がいっしょに歩いてこちらにやってくる。女性同士は大笑いをしている。どうやら、妻の知り合いの御夫妻とどこがで出会って、こっそり入れ替わってみようということになったらしい。「えっ、いつから替わってたんですか。脱水機の話は・・・」僕は妻に隣の女性は何さんか、こっそり名前を聞こうとしている。元通りの組み合わせにもどったが、妻たちはずっと笑っている。(ミキモトが出てきたのは三島の小説を読んでいてそこにその固有名が出てきたからだ。)
二 描いた絵を消すということ
絵を描いている。ポスターのようなもの。割と大きい。3枚ほど仕上げて窓に貼った。娘も同じように絵を描いている。ところがそこに権威のある人が現れてその絵を消すようにと言われる。僕は自分では上手に描けたと思っているので消したくない。大きなテレビ画面に、ショッピングモールに飾られた大きな絵を消している妻の姿が映し出される。スプレーを吹きかけると色がどんどん消えていく。あれと同じように消せと言うのか。でも僕は拒否しようとふてくされている。僕は娘に「お母さんはすごいなあ。あんな大勢の人の前でせっかく描いたものをすべて消している」という。娘は素直に消そうとしている。お父さんのも消してしまうよと言っている。僕は頑なに拒んでいる。突然娘はお腹が痛いと言い出す。ストレスだろうか。僕は横になっていたほうがいいという。妻がやってきて、娘に薬を飲まそうとしている。僕はタバコを半分くらい吸って残りを食べようとしている。タバコの葉って食べて大丈夫なんだろうか。
三 フィールドアスレチック
家族や何人かの知人とフィールドアスレチックに来ている。植物園のようなところを散歩してまわるくらいかと思っていたが結構アップダウンもあって大変そうだ。しばらく行くとかなりの段差がある場所に到着する。僕は下を見てこれは無理だと思った。1つ下の段までの距離が長い。しかも幅が狭いため飛び降りようとしても着地が難しい。下手をするとさらに下まで転げ落ちそうだ。あきらめてもどろうかと思っていたら、向こうから子どもたちがやって来る。このコースをすでに通り抜けているようだ。話を聞くと、ここの段差は1.5mほどでぶら下がれは足が届くという。3mくらいはあると思っていたら、実際にはそれほどでもなかったのだ。僕はそれなら行けると思って、知り合いに手を持ってもらいながらぶら下がってみた。すると下の段にちゃんと足は届いた。その後は楽勝である。どんどんと坂を走って下っていく。池なども難なく越えてゴールする。しかし、あとには誰もついてきていなかった。
四 悪ガキ
家族で自家用車に乗っている。まだ家の前に停まっている。ブレーキを踏んでいなくてもニュートラルにしていたら前に出ていかないことを確認している。すると突然車が回転しだす。外を見ると近所の悪ガキが押している。僕は外に出てその子の首根っこをつかみ母親のところまで引っ張って行く。近所の人たちがどうしたのかと聞く。僕は事情を説明する。その子の母親がやってきて平謝りをしている。
五 娘の退職願
娘の会社から妻に電話があったようだ。年度末で退職したいとのこと。電話があるということは、なんとか思い留まらせてほしいということだろうか。娘は会社で一応お役に立っているのだろうか。僕は妻に、二人ともなんにも親に相談なく、と言う。同居していない息子が目の前にいる。まあ、僕も会社辞めるとき親になんか言ってないけどなあ、と息子に聞こえるように独りごちる。そうこうしているうちに、そわそわしながら娘が帰宅する。(こんな話はまったく出ていません。息子は知らぬ間に退職していました。)
六 402号室・407号室・409号室
部屋がない。自分の部屋がどこだかわからない。僕は学生寮に住んでいる。402号室だと思ったけれど、知らない2人が住んでいる。407号室ものぞいてみるが全く自分のものがない。隣の409号室に入るとやはり知らない2人がいる。しかし、本棚には僕が読んだ本がたくさん並んでいる。この部屋で間違いない。ここは僕の部屋だろう。僕の部屋を返してくれ。
七 小さな商店街
定期テスト中だというのに悪ガキの1人が学校を抜け出した。家に電話をしようとすると、その子の仲間2人が電話を触って邪魔をする。その悪ガキは学校を抜け出してバイト先に向かった。つなぎを着ている。どうやらどこかで大きなタンクか何かの清掃をするらしい。周りの大人たちはその高校生の悪ガキをかわいがっている。師匠のやることをちゃんと見ておけよ、と言う。師匠は西田敏行だ。大きなトラックに乗り込む。師匠が運転席に座る。少し年上の先輩がその隣に、そして高校生は小さくなって真ん中右側に座る。もう一人のベテランが右端に座る。師匠に運転させていていいのだろうか。やんちゃそうな若い衆の1人が運転代わりますと外から言うが、何を言っておるか、ワシが運転すると言って、師匠はエンジンをかける。かなり荒っぽい運転で細い道を通り抜けていく。しばらく行くと、小さな商店街がある。店の前の道路にたくさん品物を並べている。このままではトラックは通れない。お店の人はそれらを片付けようとしている。師匠は早く降りて手伝えと言っている。しかし隣のベテランが席を外さないので高校生は外に出られずに困っている。商店街の人々は皆文句1つ言うでもなし、素敵な笑顔をしている。
八 長い竹
午前中小さな子どもたちと遊んでいる。軽く食事をしていて時計を見るともう12時を過ぎている。職場まで最低でも1時間はかかる。急がないと間に合わない。急いで2階で着替えようと階段を上がる。階段にはものがたくさん置かれている。長い竹が大きな音を立てて、するする落ちていく。もとに戻す間もない。とりあえず下の廊下に横にして置いておきます、と声をかける。僕は妻の実家にいるのだ。義父は階段下のトイレに入っている。義母と妻はまだ食卓にいる。2階の部屋はまた荷物がごった返していて、どこに何があるかわからない。着替えることもできない。もう間に合わない。
九 耳の中の虫
右耳の中に虫が入った。下手に取り出そうとして虫がつぶれると嫌なので、頭を右に傾けて何度かジャンプし、耳に入った水を出すのと同じ要領でうまくいかないか試してみた。しかし、いっこうに取れそうにない。誰かピンセットでつまみ出してくれないだろうか。(目が覚めると、右手で耳を塞いだ状態で眠っていた。)
十 女性用下着をかぶったゲイの男性
僕はコンビニの駐車場に停まっていた車の運転席に座る。横にゲイの男性が乗ってくる。頭に女性用下着をかぶっている。外にいた女性の3人組に笑われる。僕は車を動かす。しばらく走ると道が左右に分かれている。右に行こうと思っていると向こうから対向車がやって来る。僕はあわてて左にハンドルを切る。ふと気づくと前に植木屋のトラックが停まっている。荷台にたくさんの盆栽が乗っている。車の後ろにもたくさんの盆栽がある。僕はそれらも一緒に動くものと思っている。ところがトラックだけ動き出して、後ろにあった盆栽は道の真ん中にじっとしている。僕はあわててハンドルを切り盆栽を避ける。横に乗っていた男性は突然外に出てスケートボードで体をくねらせながら進み出す。僕は車を道の端に停めてハザードランプをつける。男性に乗ってくださいよと声をかける。ふと気がつくと僕は自転車に乗っており、男性は荷台に座ろうとしている。しかし、スカートをはいておりまたがることができない。横座りになって僕の腰をつかもうかどうしようかと迷っている。(女性用下着をかぶったゲイの男性は、探偵ナイトスクープと「不適切にもほどがある」の影響と思われる。それと、僕は100%ペーパードライバーだ。)
あとがき
日曜日の朝にハイドンのレコードを聴きながら200本目の夢を推敲する。しばらく印象的な夢がなくて間が空いてしまった。明日から100分で名著はフロイトの「夢判断」だという。自分のことで新たな気付きでもあるのだろうか。
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