「ととのえる」こと。
私が働いている訪問看護ステーションに
新しく看護師さんが入ってきました。
その方は高山さん(仮)
私よりも少し年上で
臨床経験も豊富。
とても患者さま思いの、
熱い方です(*^^*)
仕事にも慣れてきたある日、
高山さんが私に言いました。
「ねぇ、あの利用者さんを
湯船につからせてあげたいんだけど……」
あの利用者さん、というのは
85歳のおばあちゃん=テル子さんのこと。
尿道カテーテルが入っていますが、
歩行器を使って
なんとか歩くことができます。
テル子さんは一人暮らしですが
近くに住んでいる娘さんが
朝昼晩、様子を見に来てくれていました。
私と高山さんは
交代で週二回、テル子さんを訪問し
シャワー浴の介助をしています。
湯船につからせてあげたい……。
それはかつて 私も、
何度も思ったことでした。
私は、高山さんに言いました。
「テル子さんを湯船につけることは、
出来なくはないけれど、していません。」
私が担当するずっと前から、
訪問看護師やケアマネージャーは
テル子さんに
デイサービスの利用や
ヘルパー導入を
提案してきましたが
テル子さんは人見知りのため、
頑なに拒否されてきました。
テル子さんが
家から出られない事情があるなら
別ですが、
テル子さんは支えながら
娘さんと外出も出来る方です。
デイサービスに行けば、
数人のスタッフの介助のもと、
安全に湯船に浸かることができます。
たくさんの人がいるところに
出掛けることは
認知面の低下も予防できるし
体を動かすことで
筋力の維持もできる。
娘さんは
お姑さんの介護もしており、
多忙なため、
テル子さんと同居はできません。
……母さんはもう85歳。
いつか、動けなくなる日が来るから。
それまでは、私が世話をしてあげたい
んだよね……
娘さんはそう言いました。
いつかは、
テル子さんを
施設に入れなければいけない日が来る。
だからこそ、
一緒にいられる「今」を大切にしている。
体が大きく、
転倒リスクの高いテル子さんを
手すりなども十分に設置されていない
家のお風呂に浸からせることは
ちょっと危険が伴います。
二人で訪問すれば、
可能かもしれません。
きっと、
テル子さんは心から
喜んでくれると思うけれど、、
そうするとますます
テル子さんは
デイサービスに行きたがらなくなってしまう。
私たちが
優しくすればするほど、
「訪看さんがなんでもよくしてくれるから、
他のところへは行かない」
ってなってしまう。
利用者さんを幸せにするのは
私たちではなく、
本人と、本人を取り囲む人たち。
利用者さんの人生において
私たちは
きっかけ、でいい。
テル子さんの、「今」と「これから」
娘さんの、「今」と「これから」
お互いの思いが、
負担なく、後悔なく、
上手にめぐっていけるように
整えるのが、私たちのしごと。
在宅で過ごしてる人たちは
色んな方がいます。
半身麻痺の方。
人工肛門の方。
24時間点滴をしている方……
私たちが当たり前に
ひょいとできることさえ、
困難な方。
どんなに助けてあげたくても
私たちはその方たちを
助けることはできません。
手伝ってあげたくても
「手伝って」と言われても。
私たちがしてあげれば
してあげるほど、
その方は「できないこと」が増えていく。
だから
その方たちが
自分で出来る方法を
一緒に考える。
そうやって
自分で出来ることを増やしていくことが
生きる力に繋がっていく……
そう、思うんです。
ときどき、
デイに見学に行ってみませんか?
と、テル子さんを誘います
強制はしていません。
大切なのは
自分で心から納得して、
自分で決めること。
テル子さんと娘さん
両方が納得できる日が来るまで
私たちは、見守っていこうと思います。
読んでくださって、ありがとうございました‼️‼️
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