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映画レビュー(ネタバレ): GRIDMAN UNIVERSE ~ヒロインはグリッドマン~

今回も映画レビューですが、本作は円谷プロの『電光超人 グリッドマン(1993)』を原典とするアニメシリーズ『SSSS.GRIDMAN(2018)』と『SSSS.DYNAZENON(2021)』から続くクロスオーバー作品です。
全2作が凄く好きだったので、本作はとても楽しみにしていました。公開映画館数もそんなに多くなかったので、色々都合つけて何とか劇場に観に行くことができました。

最初に言っておきますが、

良かったです。2作のキャラクターが集合しての掛け合いの妙、過去2作を超えるスケールの熱いバトルと大団円。非常に贅沢な作品を見せてもらえたなという感想です。

ただ、わがままを言うならプロット自体がちょっと自分に合わなかったかなあというところもあります。このレビューでは、そんな自分の感情を供養するために駄文を書きなぐらせてもらいます。
※本作が好きな人には、以降の文章は不快になるかもしれませんので、無理に読まない方が良いと思います。

”主人公が告白する”という大筋が本筋に絡んでこない

私にとって、一番合わなかったのはここでした。予告でも告げられている本作の一つの大筋となる”主人公(響 裕太)の告白”が、物語の本筋: ”世界の崩壊”にほとんど絡んでこないんですよね。
凄くもったいないというか、崩壊に向かう世界の中でもっと主人公とメインヒロイン(宝田 六花)の関係性を描くことができたと思うんですが、そういうこともなく、主人公は世界の崩壊を食い止めるためにひたすらに突き進んでいく、自分がどうなるかは顧みずに。「自分にしかできないことをする」という覚悟が完了しちゃってるんですね。

これ、前作になる『SSSS.GRIDMAN』の時から感じていて、主人公は普段は気弱なのに、戦闘が始まると誰よりも一目散に駆け出していて、キャラの一貫がないなあと感じていたんです。物語終盤で、実はそれは主人公と融合したグリッドマン(ヒーロー)の意志であることがわかりますが、本作ではグリッドマンとの融合が解除されているはずなのに同じように覚悟が完了している。そこに迷うような描写がない。
そこは、グリッドマンがいようといまいと、主人公は元からそういう性格だったんだという解釈はできるんですよね。

ただ、その主人公の戦う理由に「ヒロインのため」というのがない。。。(広義には世界のため=ヒロインのためでもあるのだけど)
だから、ヒロインとの仲が加速度的に深まっていくような描写もなく。。。決定的だなと思ったのは、ヒロインの劇中での「少しは迷えよ」というセリフ。これは、無私の精神で戦う主人公とその精神性についていけないヒロインの心の断絶を描いちゃっているんじゃないかなあと思うんだけど。。。

真のヒロインは、、、

本作で描かれるのは、マルチバースの崩壊とそこに囚われたグリッドマンの救出劇。だから、主人公の戦いはグリッドマンを助ける戦いになっていきます。
なので、後半はまるでグリッドマンがメインヒロインであるかのように見えてしまって、主人公もヒロインそっちのけでグリッドマンの方に駆け出すんですよね。
それが意図したものなのかどうなのかわからないんですが、告白の大筋と物語の本筋の食い合わせがどうにも悪いように見えてしまって。プロットそのものの問題だったのかなと思ってしまったわけです。

じゃあ、どんな物語が良かったのか?

ここからは、完全に私の好みの問題なので、「またオタクがめんどくさいこと言ってるよ」と思ってもらえれば良いんですが。。。
"告白"と"グリッドマンを助け出す"の2つの軸を持ち込まずに、"告白(主人公の情動)"に全振りで良かったんじゃないかなあと思うわけです。

"大きな情動が怪獣を生み出す"ということが『SSSS.DYNAZENON』で示されているのだから、そこを使えば以下のようなストーリーにできたのではないかという妄想。

私の考える『GRIDMAN UNIVERSE』

①主人公はヒロインへの想い(情動)を日々強くしていた(冒頭から、告白したいけどなかなかできていない描写あり)
②主人公とグリッドマンは前作最後に分離していたが、主人公の中にはグリッドマンの残渣が残っており、主人公の想いを蓄積し大きなエネルギー体となっていた(=主人公の影の存在)
③そのエネルギーが原因で怪獣が出現しそれぞれの世界が重なり合い、さらに暴走しマルチバースを崩壊させる元凶に
④主人公の情動が元となっているので、その攻撃?対象はヒロインに
⑤ヒロインを守るために、自分の影の存在(=悪のグリッドマン)と戦う主人公。助けに現れる仲間たち
⑥一時優勢になるも、負の情動が満たされない限り復活し続ける敵に徐々に劣勢に。ヒロインを差し出す以外に世界の崩壊を止めることはできない(ヒロインか世界かの二択)
⑦主人公がヒロインに告白
⑧主人公の情動が解放されたことで、負の情動も行き場を失い暴走、世界崩壊のエネルギーを取り込み強大化
⑨グリッドマンは新形態に進化、倒すのではなくフィクサービームで負の情動を取り込み決着

どうでしょう?(何が)
これなら、過去要素も拾いつつ話の筋が一本通るのでは。
特に⑦〜⑨の流れはカタルシスもあって個人的には大いに盛り上がるポイントですね。
本編は、ラストバトルは迫力があったんですが、倒したり復活したりで少し冗長だったので。。。

総括

そんな訳で、完全に自分のために駄文を長々と書いてしまったのですが、面倒なオタクの世迷いごとと思ってもらえれば幸いです。
最初にも書きましたが、前2作から直接つながる物語が映画化され、双方のキャラがイキイキとしている姿を観られた時点ですでに満足しているところはあるので、不満というよりは、わがままのようなレビューでした。

前2作を観ている方なら、まず楽しめると思いますので、是非映画館の大画面で楽しんでください!!!

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