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デジタル後進国:日本の現状とこれから

今回の記事はちょっとショッキングな内容ですね。
前回の記事でも取り上げた日本の現状について、もう少し掘り下げたいと思います。

日本のデジタル活用度の低さ

IMD(国際経営開発研究所)が発表している2021年のWorld Digital Competitive Rankingによると、各国のデジタル競争力ランキングが掲載されており、日本は総合28位と順位を下げ続けています。(全64か国中)
リンク→World Digital Competitiveness Ranking – IMD business school for management and leadership courses

このランキングには3つのカテゴリーがあり、知識・技術・将来への備えの各カテゴリーでも知識25位、技術30位、将来への備え27位と低い順位です。さらに、これらのカテゴリーにはさらにサブカテゴリーがあり、特に国民のデジタル・技術スキルは62位とランキング対象国中最下位クラスです。

一方で、技術自体のレベルは低くなく、技術枠組みというサブカテゴリーの指標は64か国中8位です。
このことから、日本はデジタル技術そのものは強いものの、デジタルの活用が進んでいないことが挙げられます。

行政サービスの差

例えばデジタル先進国と呼ばれているエストニアでは、ほぼすべての手続きがオンラインで完結します。住民情報なども、国が作った共通のシステム登録、更新すればそれが反映され、自治体の手間は限りなく少なくなっています。
一方で日本では、転居の際など未だに市役所などで対面での書類手続きが必要です。一部の自治体でオンライン化は始まっていますが、自治体単位では部分最適化しかできず、全国共通で使えるシステムの構築は不可能です。
また、コロナ対策の特別定額給付金10万円を国民に給付するのに1458億円もかかった上に、全国の自治体で多大な工数が発生したことも記憶に新しいと思います。
企業だけでなく、行政にも、このようなDX化の遅れは世界との大きな差をもたらしています。

日本でDX化が遅れている理由を紐解く

総務省が2021年に発表した情報通信白書の中で、日本のDX化が遅れている理由を以下の6つ挙げています。
①ICT投資の低迷
②業務改革を伴わないICT投資
③ICT人材の不足・偏在
④過去の成功体験
⑤デジタル化への不安感・抵抗感
⑥デジタルリテラシーが十分ではない
※ICT:Information and Communication Technology(情報通信技術)

つまり、”トップが過去の成功体験に固執し、デジタル技術による恩恵を理解できていないため、デジタル投資が部分最適化にしか使われていないため”と言えます。
日本は世界一の高齢化国であり、企業のトップ自身がDX化の恩恵を受けてこなかったために、DX化による抜本的な改革への舵切りができず部分的な業務最適化などに留まっているというのが実態のようです。

これからの日本のデジタル競争力向上の取り組み


これらの惨憺たる状況から日本全体のデジタル競争力を高めるためには、個々の自治体や企業での取り組みだけではダメで、行政での取り組みが重要です。

国も何もしていないわけではなく、内閣府が2016年提唱した”Society 5.0”では、IoT、AI、ロボットなどの先端技術を取り入れ、社会課題を解決する新しい価値を創造し、経済発展を目指す基本計画が示されました。
日本には、世界一の高齢化、労働人口の減少などの課題があり、これをデジタル技術を使って解決することができれば、その技術をモデルケースとして、世界に売り込んでいける可能性もあります。

また、長い間見直されていない法規制の課題もあります。テクノロジーの高速な進化に合わせて、企業や産業のイノベーションを阻害しない法律や規制の見直しがなければ、サービスの展開や検証実験などが実施できない危険性があります。

デジタル競争力の低下は、国家の衰退につながりかねない喫緊の課題です。国も少しずつ取り組みを進めており、将来的に効果が期待はされますが、一方で私たち一人一人が変わろうとする努力をしなければ意味がありません。これからも学び続けて、日本のデジタル競争力向上に貢献できるようになりたいと思います。

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