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書籍レビュー: RESKILLING 自分のスキルをアップデートし続ける

今回は、ゴールデンウィーク中に読んだこの書籍のレビューです。
DX化人材への変革を目指している自分にとって学びのある書籍でした。

リスキリングとは?

最近よく聞く「リカレント」という言葉がありますが、それと「リスキリング」は異なるものであるとこの書籍では言っています。
リカレント:教育と就労のサイクルを繰り返す生涯教育手法の一つであり、学び直しそのものが目的なので、職業と関係ない学びも含む
リスキリング:新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、新しい業務や職業につくこと

私自身、同じような意味で受け取っていましたが、明確に異なるものであると本書の冒頭で明言されています。
また、そういった側面から、リスキリングは企業、更には国が支援して取り組むべきものであるということです。

何故今、リスキリングが必要なのか?

現在、世界は大退職時代です。大失業時代ではなく退職です。
これは、コロナ禍も踏まえた大きな価値観の変化により、自らの生き方を見直す人が増えたことがきっかけです。また、テクノロジーの発達によりフリーランスで稼ぎやすい環境が整ってきたこともあるでしょう。
そういった背景からも、IT分野でのリスキリングが非常に重要になってきていることを指摘しています。

最近、急速に進化するテクノロジーによって、ビジネスの現場でも働き方の変革が求められています。そして、現在のスキルが必ずしも今後も役立つわけではなく、新しいスキルを必要とする職場が増えています。

繰り返しになりますが、リスキリングとは、ビジネスの現場で必要とされるスキルを、現在のスキルと共にアップデートしていくことです。この考え方は、今後ますます重要になることが予想されており、本書では、どのようにスキルを習得するか、どのようにアップデートするかなど、具体的なアドバイスが紹介されています。

日本は今やデジタル後進国

IMDというスイスのビジネススクールが発表している世界デジタル競争力ランキングにおいて、日本は毎年ランキングを落とし続け、2021年は全世界で28位、人材の知識レベルに至っては全世界で47位となってしまい、完全にデジタル後進国になってしまっています。

これは、日本人が自分の知識のアップデートを怠っていることがその原因であると本書では触れられていますが、それは個人の責任ではなく企業、更には国の責任であると指摘しています。
リスキリングの定義の中でも触れましたが、リスキリングは企業側の支援体制があって初めて成立します。では、なぜそれが日本でできていないのかというと、日本では明確なキャリアプランの構築ができていないという点と、それを企業としても制度・業務負荷の調整という観点での支援ができていないことが原因として挙げられます。
具体的には、各人の将来像に照らし合わせた時にどんなスキルが必要なのか、それを持ってどのようなキャリアを描くのかという点が企業と個人間で明確にできていないこと、そのためにどうしても業務負荷などの面から学習の機会とツールは与えられていてもそちらに時間を割くということが無く、結果学習の機会を失ってしまっていることが問題です。また、実際の配置転換や新しいジョブアサインなどが希薄なため、もし新しいスキルを学習したとしても実務として経験する機会がなく忘れていってしまうといったことが原因です。

本書では、そこを脱するための具体的なプロセスを9つのステップに分けて示してくれています。詳細は省きますが、特に私が必要だなと感じたのは、学習内容のアウトプットです。やはりインプットだけでは定着しないので、何らかの形でアウトプットを伴わないと身についていかないと感じます。
現在、私がこのようにnoteを使ってDXについて発信しているのも同じ思いからです。
もっと本職でDXについて発信していければいいのですが、本業ではまだその余地が小さいので、このnoteでの発信で、極力意味のある、有益な発信を続けていきたいと思っています。

リスキリングをしない人生の末路

後半は、今後のキャリアを描いていく上で、リスキリングをしないこと自体がリスクであるということに触れられています。人生100年時代、更にはAIなどの人間にとって代わりうる存在が台頭してきたことで、既存のスキルは淘汰されていきかねないということに対する警鐘です。

本書で触れられている年次と市場評価についてですが、ざっくりと30代半ばまでは本業で必要とされる業務スキルは十分に満たされ、社内での評価もある程度ついてきますが、30代後半から40代前半辺りから、転職等の市場評価は下がっていると言います。その状態を50歳まで継続してしまうと、もうその頃には選べる選択肢は限りなく少なくなってしまうということです。

これは、非常にゾッとする、しかし確実に自分にも訪れる未来の姿なのだということを実感しました。デジタル事態に対して、自分自身を適応させ、しっかりとキャリアプランを描き、そこに既存のスキルと掛け合わせることのできる新しいデジタル分野のスキルを身につけ、既存スキル✖デジタルスキル(リスキリング)で価値のある人材となっていかなければ、生きる道はないということを強く感じました。

総評

総じて、『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』は、リスキリングの考え方や方法、その必要性について分かりやすく解説した書籍でした。
自分の現在のキャリアを照らし合わせながら、必要なキャリアプランを思い描き、そのためのリスキリングを行うのは容易なことではないと思いますが、もうその流れは止められないということを身につまされる思いで学ぶことができました。
改めて、今後の社会人人生を考える上で、是非一度読んでみるべき一冊であったと思います。

本書内で、過去のアメリカの書籍のタイトルを参照した言葉があったので、それを私自身の訓戒として書き残しておきたいと思います。
『Reskill or Die(自分をリスキリングせよ、さもなくば死を)』

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