木漏れ日
春に生まれた僕は春が好きだ。
陽気が暖かくなり、ふきのとうやつくしがぽんぽん出てくる。
しかし、今年の春は様子が違う。
いつもなら祭りの時期なのに、にぎやかな気配はない。
映画「アイ・アム・レジェンド」を思い出す。
ウィル・スミスが演じる主人公は、ほとんどの人類が居なくなった場所で、愛犬と淡々とルーティーンをこなしていく。
風呂の中で目を覚まし、懸垂で汗をかき、朝食を食べ、ゴルフをし、生存者に向けて発信をする。
やることを決め、やる時間を決め、そのとおりに毎日行うことで、異常な世界に居てもなお発狂することなく過ごしていた。
今、都市を中心に全世界にあっという間に感染拡大した新型肺炎ウイルスの魔の手が、地方の人口3万人の小さな町にも伸びてきている。
そして今日、非常事態宣言が全国に拡大される事になった。
事態は深刻だ。
医療従事者の方々やその関係者、そして感染された方々が昼夜を問わず見えない敵と戦っている。
しかし増え続ける感染者に対して、医療機関はすべてを受けきれない。地方の病院はなおさらだ。
感染し悪化しても医療を受けられない。そんなことも起こりうるだろう。
来年の春はどんな気持ちで迎えられるのだろうか。
今自分や家族、友人や誰かのためにできることは、まず感染のリスクを最大限下げることだ。
外に出ず家の中で過ごす時間が増えた中で、感情的にならないためにはルーティンを生きることが有効だ。
決まった時間に寝て、決まった時間に起きて、体を動かして、汗を流す。料理を作って食べる。何かスキルを身につける。noteを書く。
感情を手放して、動き始める。
日常が僕らを明日へとつないでくれる。
ロングトレイルを歩くことで学んだことは、今生きている。
よく食べること。よく動くこと。よく寝ること。観察すること。
今が充実し、明日への準備になる。
淡々と生きていこう。
10年後の自分よ。俺は生き抜くぞ。
旅先で出会った人に渡す花束代とさせていただきます