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暮らしの勉強メモ⑧お茶の話(どうやって作られるんだろう?編)

雑貨屋 あるくらし は、現在、店舗を持っていませんが、
イベント出店やオンラインストアからスタートした雑貨店です!
こちらのnoteでは、お店の歩みを記録中です!
(雑貨屋 あるくらし についてご興味のある方は、
マガジン「雑貨屋 あるくらし を開くまで」にまとめておりますので、
良ければそちらをご覧ください!
店主の暮らしの勉強メモについての詳細は、暮らしの勉強メモ1に想いを書いています!)

昨年の12月から、中国茶を習い始めました。アルコールに弱く、お酒を飲めない事から、ずっと、食事と飲み物のペアリング、そして、食べ飲みしながら過ごす時間そのものへの憧れがありました。
初めて中国茶を飲んだとき、「美味しい」という事はもちろんですが、1煎、2煎、、、と味わいの変化を楽しみつつ、おやつや食事との組み合わせも含めて、ゆっくりとお茶の時間を楽しめる事、そして、飲み続けた時の身体への負担感が少ない心地よさ。極めつけに、茶器が、道具が、とっても素敵!!!そんなすべてに感動しました。
昔、ある作家さんのギャラリーで、心に残る茶器を見た事がありました。
凛と綺麗だけど優しい柔らかさを感じるその器。「この茶器でいつか中国茶を飲めたら、そんな生活素敵だな。」とうっとり眺めていた記憶が結びつき、「習ってみたい!」と思いました。
雑貨は、欲しい用途のものを選択するだけでなく、その雑貨をみて、自分の未来の暮らしを妄想して選択する。という、想像の楽しさも大好きです。
中国茶を習うぞ!と決め、さっそく手にしたのは、その作家さんの作品でした。

少しずつ、いろんなお茶を試す時間が楽しい。

そうして、中国茶を習って半年ちょっとが過ぎました。
知識や飲むお茶が少しずつ増える度、新鮮な感動とともにお茶の種類の多さや分からない事の多さ!に圧倒もされます。
それでもお茶の時間がとても好きだし、好奇心がくすぐられ、飽きることがない面白さを感じます。

中国茶を始めたのはなぜ?なぜ日本茶じゃないの?と質問されたとすれば、
私の答えはこれにつきます。
「私、そもそも“お茶”について全然知らないんです。そんな無知の中、たまたま出会った中国茶に“感動した”事が、習うきっかけで、お茶を知る入口でした。どんなお茶が好きか、日本茶や紅茶と比較して中国茶が“どうか”という判断軸を持てるような知識・経験は別にないんです。」
という事です。
煎茶?番茶?アッサム?ダージリン?
そんな良く聞くお茶の事も正直知らない事だらけなんです。もちろん、習っている中国茶だって、まだまだ知らない事の方が多いです。

「お茶の事、もっと知りたいな。」

中国茶を入り口に、まだまだ知らないお茶の世界を、もっともっと知りたいと純粋に思いました。今回のテーマは、そんな今の気持ちに素直に決めました。
まずは、そもそもお茶の原料はどんなもので、どのように作られているのか?という製茶方法を見ていきます。お茶に関する知識はほんと~~~っに範囲が広すぎて、今回の勉強メモは、とても手探りの面があります。(何かを勉強するぞと決めた時、道の見えない草原にポツンと立つような気持ちになる。)どうぞ、「知らない」人が、「知りたい」と思って勉強する、その過程にお付き合いいただけると嬉しいです。
お茶に関する勉強メモは、不定期になりますが、歴史や種類についても、数回に分けて投稿できればと思っておりますのでお楽しみに。

お茶ってどうやって作られるの?

お茶の勉強を始めると、その種類の多さと味わいの違いに毎度驚かされます。どこで育つお茶を使うか、どの種類のチャの木のお茶か、お茶の作り方はどんな方法か?そんな様々な分岐点を経て、何百、何千種類とあるお茶の個性が決まっていきます。そんな個性を知るために、そもそも「どうやってお茶が完成するのか」という所をお茶の勉強メモの入り口にしてみました。

色や形、香りも様々な茶葉。

【お茶を作るチャの木について】

そもそも日本茶、中国茶、紅茶は全てツバキ科の常緑樹「カメリア・シネンシス(いわゆる“チャの木”)」からできているんですって。通常、一芯二葉、または一芯三葉といって、上から2枚目、または3枚目の葉が摘まれ、茶葉が作られます。
この“チャの木”、大きく分けて「中国・雲南省原産の中国種」「インドアッサム地方原産のアッサム種」、両者の交配種があり、木の種類や製茶方法、発酵の具合等によって、味や香りが異なってくるんです。

・中国種:枝分かれする灌木型の木(低木)。2~3mと背丈が低く、茶葉も小さい。緑茶向きだが、紅茶にすると繊細な味わいになる。優雅な香りでみずいろ(お茶を淹れた時の水の色のこと)は薄め。
中国、台湾、日本といった山岳地域の高地など、冷涼で霧がちな気候に適している。ちなみに、世界三大銘茶のひとつ、ダージリンは中国種。

・アッサム種:木は直立の喬木型(高木)で10mを超えるものも。茶葉は発酵しやすく紅茶向き。香りが強く、味は濃厚。みずいろは焦げ茶色や黒色。インド、スリランカ、ケニア等の熱帯地域で良く育つ。

チャの木は、標高・土壌・気候条件といった生育環境によって、茶葉の味わいや個性、ビタミンやミネラルの含有量までもが左右されるのだとか。また、チャの木は周囲の環境に自然と適応できる能力も備わっており、その特徴を活かした人工的な品種改良や自然こう配によって、現在は何種類もの品種が存在しているんですって。

【製茶の製法分類について】

チャの木から摘み取った茶葉は、次の、CTC製法とオーソドックス製法の2種類の製法のどちらかで加工されます。

①CTC製法
産業機械を作って茶葉を加工する製法。
C:crush 潰す T:tear 引きちぎる C:curl 丸める。の略。
グレードの低い肉厚で大ぶりな茶葉をブレードで切り、押しつぶし、酸化発酵を早めるため傷つけ、均等な小粒に丸めた後、酸化発酵を行う。
紅茶のみで使われる製法で、たいていは大量生産の紅茶として使われる。
ティーバック向けで、味が素早く抽出される。
中国を除く、インド、ケニア、スリランカで作られ普及している。
アッサム茶の約8割はこちらの製法で作られているのだとか。

②オーソドックス製法
全部または一部を手作業で行い、できるだけ葉の形を残すことを目指す。
①のCTC製法で作られる紅茶を除き、すべてのお茶で標準的な製法。
フルリーフ(葉の形をのこしたもの)は品質体系の上位に位置し、崩れた茶葉は、インド、スリランカ、ケニアではイギリスのグレード体系にランク付けされ、ランクに応じて価格を決められる。
(できあがった茶葉は、大きいものから細かいものまで様々であるため、紅茶には茶葉のサイズや形状で等級が決められている。ただしあくまで、等級は茶葉の良し悪しではなく、葉の形状や大きさに準じているのだとか。)

【製茶の工程について】

様々なお茶に出会う中で、お茶の発酵具合の程度や方法で種類が分類される事を知ります。例えば、身近な緑茶は「不発酵茶」と呼ばれ、酸化酵素の働きを抑制し、茶葉の発酵を止めて作られます。一方、紅茶は、最後まで茶葉を発酵させる「完全発酵茶」、発酵を途中で止める烏龍茶は「半発酵茶」と呼ばれます。果たしてどのように加工される事で、その差が生まれるのでしょうか?工程を調べていきました。
すると製茶工程で、聞き馴染みのない専門用語に出会います。専門用語を順に並べても工程のイメージが付かない…ので、工程をご説明する前に、まずは語句の説明をします。(各お茶に関する説明については、別の回で触れたいなと思っています!お楽しみに。)

●製茶の工程に関する語句の説明●
・摘採(てきさい):お茶の木から茶葉を摘みとる工程。新芽が出るいくつかの生育時期に分けて摘みます。
・萎凋(いちょう):生葉の75%は水分のため、後工程で揉みやすくなるように、水分を減らす工程。天日乾燥(白茶かプ―アール茶)するか、工場内の換気した管理環境にある棚に広げて水分を飛ばす。平均約15時間しおらせる。
・殺青(さっせい):炒る等してすべての酸化発酵を止める工程。蒸すか、窯で炒って殺青し、酵素を壊して素早く酸化発酵を止める。これにより、葉の香り成分や揮発性のオイルを閉じ込める。お茶の味と香りに大きな影響を及ぼす工程なのだとか。
・揺青(ようせい)/揉捻(じゅうねん):水分が蒸発すると葉汁が少なくなり、萎れて、丸める・ねじる・巻くなどの加工がしやすくなる。この工程では、葉の細胞壁を壊すことで、酸化発酵を促したり(青茶や紅茶)、香り成分を表面に出したりする(緑茶や黄茶)。
・酸化発酵:葉の色味や味の成分が変化する。湿潤な環境下の棚に葉を広げ、数時間かけて行う。紅色に茶葉が変わる“転紅”まで完全発酵(紅茶)または目的の発酵度(青茶)に達したと責任者が判断したら終了。
・握堆(あくたい)(微生物発酵):黒茶は揉捻後に蒸してから成形し、微生物の力によって発酵させる。自然発酵を利用し、年数をかけてゆっくりと微生物を培養させる方法(生茶)と、湿度管理した保管室で数か月発酵させ、年代物の味わいを出す方法(熟茶)の2種類がある。※黒茶特有の工程。
・悶黄(もんおう):殺青後、黄茶は茶葉を広げて重ね、湿った布で包んで長時間寝かせる「悶黄」に移る。高温多湿な環境により、非酵素的酸化反応が生じ茶葉が黄みを帯びる。※黄茶特有の工程。
・乾燥:元来は籠や鍋に入れて炭火にかけていたが、現在はほとんどの茶葉で乾燥機を使う。乾燥後の水分含有率はわずか2~3%となる。
・区分け:加工後、手や機械で等級別に区分けする。

●お茶の種類別製茶工程●
語句の確認を踏まえて下記のお茶が完成するまで、どのような製茶工程を経るのかをまとめました。(参考図書①、③、④を参照しています。お茶の横に記載しているカッコがきは、発酵具合による分類名)

白茶(弱発酵茶) 例)白豪銀針

①摘採②萎凋③乾燥④区分け
青茶(半発酵茶) 例)烏龍茶、武夷岩茶など
①摘採②萎凋③揺青④酸化発酵⑤殺青⑥揉捻⑦乾燥⑦区分け
紅茶(完全発酵茶) 例)キームン紅茶、ダージリン、アッサム
①摘採②萎凋③揉捻④酸化発酵(転紅)⑤乾燥⑥区分け
黒茶(後発酵茶) 例)プ―アール茶
①摘採②殺青③萎凋④揉捻⑤微生物発酵⑥乾燥
緑茶(不発酵茶) 例)龍井茶、煎茶
①摘採②殺青③揉捻④乾燥⑤区分け
黄茶(弱発酵茶) 例)君山銀針
①摘採②殺青③揉捻④悶黄⑤乾燥⑥区分け

おわりに

お茶の教室で、「茶梅」をいただいた事がきっかけで、今年の梅仕事は烏龍茶の茶葉と完熟梅で作る甘露煮を作ってみました。香りのよいすっきりとした甘さが夏場にピッタリ。

お茶を習い始めて、実際に自分でもお茶を淹れ・飲む時間を作ったり、本を買ったり図書を借り勉強すると、「そうだったそうだった」と思い出す事があります。私、理科も社会も、それらの知識に触れること、勉強する事が、学生時代から、楽しい!と、なんだかんだ面白がっていたな、という事です。お茶を起点に、植物や地理的な事、歴史を学ぶ事自体が楽しく、より立体的にお茶を見つめられる事に嬉しくなります。ただ、資料等文章を通しての理解には限りがあるし、気を抜くとその学習自体に満足してしまいます。知識×実践のバランスをとりながら、単純ですが、暮らしや生きていく上で、自分がよりワクワクできる方向にお茶を取り入れていけたらな、と思います。
そして、勉強メモ等で各分野について勉強する度、ある専門性に向かって真っすぐ進む方に憧れを抱き尊敬するとともに、自分はやっぱり、暮らしを取りまく様々な事に興味を持って、知る事と、そのうえで暮らしにどのように取り入れ、面白がるのかを考える、という事に関心があるし、それが好きだなと思うのです。
ある時にはあんこも炊くし、お茶も淹れるし、コーヒーも好んで飲むし、部屋やお洋服のコーディネートを妄想してはニヤけて、様々なレシピから料理を作っては嬉しくなる。そして文章を書いて頭の中を整理したり、その時々の感情や思考に対して適切な言葉を探す。そんなあちらこちらに身体も心も頭もが飛び跳ね面白がる暮らしが大好きだし、そんな暮らしを、「雑貨屋あるくらし」を通して表現していけたらいいなと思います。

はじめましての方も引き続き読んでくださっている方も、お読みいただきありがとうございます。今後も焦らずゆっくり続けていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

店主 絢音

【参考文献】
①リング ゲイラード著 磯淵猛監修 
完璧な一杯を淹れるためのテクニックを紹介
世界のお茶・基礎知識・文化・ブレンド・レシピ
TEA BOOK(2016)
②大森正司著 おいしい「お茶」の教科書
日本茶・中国茶・紅茶・健康茶・ハーブティー(2010)
③ジョセフ・ウェズリー・ウール著 磯淵猛監修(2017)
茶楽、世界のおいしいお茶、完璧な一杯のためのレシピ
④平田公一監修
選び方・いれ方・楽しみ方入門 中国茶の本(2005)


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