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暮らし日記26 これまでと違って聴こえる

こんにちは!雑貨屋 あるくらし 店主の絢音です。
雑貨屋 あるくらし は、「小さな発見と実験」をテーマに、暮らしのセレクト雑貨の販売とワークショップの主催をしています。現在店舗はなく、イベント出店から活動をスタートさせました。noteでは、お店の歩みや店主の暮らし日記・勉強メモを掲載しています。

誰かと会って話をした帰り道、さっきまでの時間を反芻して、ひとり顔が緩む事ってあります。ふと我に返り、「おっと、漏れてる漏れてる。」、と両頬をぐっと手で押したり、顔の体操をしたりしてごまかします。誰かが見ている訳でも無いのに、「何もなかったですよ」と、間抜けな顔を整える。そんな一連の流れが、私にはあります。
恋的な話ではないんですよ。「幸せな時間だったな」と、じんわりと温かな気持ちにしてくれる人。家族や、友人、活動を通して出会う方など。そんな人を思い出した時の私の癖です。
今週は、そんな瞬間が多く、感謝の気持ちがぽかぽかと、心を強くしてくれていました。これまでの人生で、ずいぶんと多くの方に、「ひとりでいても、思わずにやけてしまうような幸せ」をいただいてきたなと感じます。
「そう思える人が、私には居るんだ。」という意識が自分の中にすぅっと浮き上がり、そっと身体を支えられるような感覚になって、コツコツと頑張ろう。と心が、頭が、身体が動きます。

今回のテーマは、これまでと違って聴こえる

高校生の頃からずっと好きな曲があります。エレファントカシマシさんの「彼女は買い物の帰り道」という曲。この曲のメロディや宮本さんの透き通る声が好きで、耳に心地よく、何回も何回も聴いてきました。曲の再生回数が特に伸びるのは、少し肌寒さを感じ始める季節から。
「そろそろ」と思い、通勤電車や、“買い物の帰り道”にリピート再生し、どっぷりとその世界に浸かるように聴きます。(夕方/スーパーの帰り道/秋冬 、に聴くのが。私の定番です。)

明るくない訳ではないけれど、自己認識的に、自分に対して「暗い」と思ってきた時期が長いです。振り返ると、今より若い頃はそんな「暗さ」をはじめとする「情けなさ」「後悔」「できなさ」に対して自分自身に猛烈に怒りとコンプレックスを向け、誰かと比較しては、心がキリキリとしていました。
明るくない自意識を慰めて、負の感情を原動力に変え、毎日踏ん張って生きていく。そう嚙みしめるようにして聴いてきていたように思います。
「暗さ」「悔しさ」と折り合いをつけ、それらと共に生きていく事、そして「負けてたまるか」という気持ちを静かに曲へ重ねていました。秋が始まり、一層に深く寒くなる時期に、じりじりと毎日を生活していくため、聴きたい曲でした。

ところが、今年に入って、ふとこの曲を再生している時、「あれ?」と自分自身の心に、はっきりとした変化を感じたんです。
一番最後の歌詞で、「でも私は誰かを愛してる…愛してる」とあるのですが、とても穏やかな気持ちで最後のフレーズを頭の中でなぞっていました。

その時に思ったのが、「何か大変な事があっても、それでも私には、愛している人が居る、しかも、たくさん居るんだ。」という事です。
冒頭の話に繋がるのですが、家族も、友人も、活動を通して出会った方も、自分に関係してくれる、「感謝している」「尊敬している」「頼りにしている」「愛している」人が、30年の人生で、たくさん出会う事が出来ていたんだ。とふと曲を聴きながらくっきりと自覚したんです。
自分に意識を向けて、孤独に戦っていたと錯覚していた時期から、少しずつグラデーションのように思考が変化していき、「なんて多くの人に支えられているんだろう」「心強い状況なんだろう」と周囲の方に向ける感謝へと、自然に曲の受け止め方が変わっている自分に気づきました。

いつから、どんな風に変わったと、点では語れないですが、ふと自覚できるレベルまで変化が積み重なった事に、ハッと驚き、ぐねぐねと模索しながら生きて、30年かけて気づいたこの瞬間を書き残しておきたくなりました。

歌詞には、“鮮やかな夕暮れにたったひとつの願いをかける「明日を誰かのために生きられるように」きっと彼女は今を祈るのさ…”という部分があります。

これまでの「過去」の暗い思いをバネに生きていた所から、自分と関わってくれる、出会ってくれる誰かの暮らしが、今よりちょっと良くなる事を願って、私は、「今」を生きたいなと、彼女と一緒に、そう祈っていました。

意地を張った努力でしか、課題に取り組む方法を、前に進む方法を知らなかった頃。それで何とかクリアしてきたことも、ぶつかって、失敗したこともたくさんあります。
そんな時期を経て、それでも側に居てくれる人に支えてもらいながら、少しずつ、反省したり、新しい事に挑戦したり、また失敗しながら、外側へと徐々に意識を向け、「嬉しい・温かい・可能性」のような小さな希望を分かち合うためにはどうすれば良いか?を、素直に考えられるようになっていきました。そして、その小さな希望をイメージする事自体を原動力に、「あるくらし」の事を、自分の周りの人のことを考えながら生きられてきている今を、すごくすごく幸せな事だと、心から思います。

価値観や意識の変化は、なかなか時間のかかる事ですが、日々の積み重ねで、こんなにもグッと変化を感じ取れる日もやって来てくれるんだ、と知りました。曲のイメージが、苦しく頑張ってた頃の過去の自分を労りながら、今と未来に向けて歩く歌へと。これまでと違って聴こえた日のこと、忘れたくないな。と記しました。

「とろり甘い」の癒しで、あと一歩、エネルギーを注入しています。

今年初の企画イベントも、約2週間後に迫ってきました。「あとひと踏ん張り」という時、最近は良く、はちみつをひとなめ。口に広がる甘い甘い滑らかな蜜に、味覚も触覚も、「ほぉ~…」とうっとり癒されます。
人にも、モノにも、食べ物にも、音楽にも。今回のイベントのテーマである植物にも。生きていく中での関わりに、日々の歩みのエネルギーを貰い、少しずつ暮らしが積み重なり、自分が変化していきますね。

はじめましての方も引き続き読んでくださっている方も、お付き合いいただきありがとうございます。今後も焦らずゆっくり続けていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

店主 絢音

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