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「医療費高騰」と「医師の過労死」の原因と因果関係について 〈側弯症を通して見た医療〉


【はじめに】

簡単な自己紹介

あるくん歩行体操教室、姿勢トレーナーの東 史(アズマ フミ)と申します。

枚方市の体操教室では、ミドル世代シニア世代の姿勢矯正と歩き方矯正トレーニングを行っていています。
生徒のほとんどが、脊柱側弯をお持ちです。

上の記事で、娘の側弯症闘病経験から、側弯症を体操でなおしたいという考えに至った理由と、側弯症の研究がライフワークになっていった過程を書いています。


「風が吹けば桶屋が儲かる」

ことわざの「風が吹けば桶屋が儲かる」は、巡りめぐって思いもかけぬところから影響が出てくることのたとえです。

一般的に言われている医療費高騰の理由は、高齢者の人口増加が原因とされています。確かに、一つの要因ですが、大きな問題は別にあると思います。

この記事では、現在の医療で問題とされている「医療費高騰問題」と、過酷な労働条件で起こる「医師の過労死問題」について、原因とその因果関係について、側弯症を通して見た医療を記事にさせていただきました。


側弯症とは

脊柱が側方へ歪み、そのうえ、ねじれも加わる病気とされています。
※側弯症は、脊柱の弯曲や回旋のことだけを考える方が多いのですが、脊柱の歪みは連動して全身に派生します。


医療の側弯症治療

現在、医療で行われている側弯症治療は次の通りです。

1、経過観察(側弯症が25°未満の軽いカーブ)

2、装具治療(側弯が20°~45°程度の中等度)
進行を防ぐために、成長期の身長の伸びる時期を側弯症コルセットで骨盤から胴回りを固定する治療法です。

3、手術治療
医療では、高度の側弯症を矯正し進行を防止できる唯一の方法とされています。



【側弯症闘病で感じた医療の矛盾】

⑴〈疑問〉側弯症治療

前述した、医療で行われている側弯症治療を、簡単に説明すると

1、経過観察は、レントゲンでコブ角(背骨の弯曲の度合い)を、定期的に測るだけで、積極的になおすことはありません。装具治療や手術治療を薦めるタイミングを見ているだけです。

2、装具治療(側弯症コルセット)3、側弯症手術は
どちらも、人工的に背骨を真っ直ぐ留めておくために、装具で巻いて止めるか、背骨を直接金具で留めてしまうかという選択です。

医療の側弯症治療では、できるだけ真っ直ぐ留める考えしかなく、本来の動く背骨にすると言った考えはありません。
私が、側弯症をなおすために必要と考えたのは、本来の動く背骨にするため筋肉の習慣を矯正することでした。

しかし、西洋医学では、筋肉を重要とは考えてなくて、学問として不要なものだとされています。


側弯症の患者側の気持ちとして、手術なしで、元のように動く背骨になることは、なぜ研究されないのだろうか?筋肉の矯正は、考えないのだろうか?
このような疑問に至りました。


⑵〈失望〉理学療法士・作業療法士の側弯症への考え

リハビリテーションでお世話になる理学療法士、作業療法士は、医療従事者の中でも、筋肉のことに詳しい職業です。

理学療法士なら、筋肉を矯正する方法に興味を持って、考えてくれるもしれない。側弯症を改善するために、筋肉の重要性を分かってくれる、力強い味方に違いないと期待しました。

しかし、病院の理学療法士、作業療法士は、医師(整形外科)の指示に従って、リハビリテーションをします。医師の指示に従ってなので、側弯症を病気だと考えている根本部分で変らないのと、装具で固定するか手術しかないと同じように考えています。

理学療法士の中には、「側弯症はなおせない」と、言い切る方もいます。言わない人も、言わないからとなおせるわけじゃないし、なおせると考える方はごくわずかです。

なおせると言っている専門家も、元のような背骨にできるとは考えていないので、「痛みがなければいい」「歪みが目立たなければいい」と考えている場合も多いです。

改善例として紹介されている比較写真が、水平垂直を求める私の観点からは、悪化している状態で掲載されている場合の方が多いくらいです。


⑶〈疑問〉判断基準コブ角とリハビリの矛盾

側弯症の重症度の判断は、脊柱のカーブで図るのがコブ角です。
このコブ角が、何度かで、軽度から中等度、重度へと変わっていきます。

背骨の弯曲の角度が進行して、首や背中の張りや凝りが起こり、頭痛も起こします。つまり、コブ角の進行は生きづらさにつながります。

しかし、理学療法士、作業療法士の行うリハビリテーションは、実にアバウトです。背骨の数度の角度進行で、辛い思いをする側弯症の人に対しても、非対称を改善しようとはしていません。

このことを、どうして体の水平垂直にこだわらないのか、疑問に感じていました。


⑷〈失望〉理学療法の根本的な考え方

リハビリテーションは、必ずしも対称にこだわってなくて、歪みがあってもそのままで機能すれば良いという考えで、行われています。

これは、理学療法の基本になっているボバース法の考え方で、その考えの基に発展してきた歴史があります。

姿勢が歪んでいても、歪んだまま動いて歩けて、生活に戻れることが重要と考えています。ですから、側弯や回旋があって生きづらさを訴えても、力になってくれません。基本の考え方から、患者側と思っているゴールが違っていて、患者側の期待することは研究されてきませんでした。


⑸〈失望〉医療は側弯症を製造していた

理学療法は、かならずしも水平垂直にこだわっていなくて、歪みを個性として捉えています。

個性を認めると言えば聞こえはいいですが、側弯症は全身のいろいろな場所で痛みや張りを作ります。進行すれば、内臓を圧迫します。

それなのに、「何が個性だ!」と、思いませんか?当事者が、自己肯定のために言うなら良いけど、治療する側が言うのはおかしいと思いませんか。

そのことに、失望をした私でしたが、もっと驚くことを知ることになりました。

成長期の側弯症は突発性側弯症で、原因不明とされています。
そして、中高年以降、高齢者の脊柱の弯曲している確率は実に高いです。高齢者の側弯症は、整形外科でも、ほとんどがスルーされます。

高齢者に側弯症が多いのに、スルーされている事実を疑問に思っていましたが、疑問に思って調べていく内に驚くことを知りました。

国が、高齢者のリハビリテーションでは、片杖を使用することを奨励いることを知って驚きました。

片杖を使用した高齢者の姿勢のイメージ

片杖を付くことは、体の重心を偏らせるため、側弯症を製造しているのと何ら変わりません。なのに、片杖を使用することで、転倒予防ができるというのです。

「最低限の期間使用し、その後は対称に体を戻しましょう」というなら、納得できますが、治療として人工的に固定しかできないと考えている側弯症を、あえて作っている事実に驚きしかありませんでした。


⑹〈疑問〉歪んだまま生きろ

先進医療の発達で、昔と比べて、重病でも命が救われる確率は上がっています。

しかし、整形外科では高齢者のレントゲンで背骨に弯曲があっても
「背骨、曲がってるね」「年齢的に、こんなもんでしょ」
と、言うだけです。

もしくは、
「手術しかないです」

手術しか提供できないのに、側弯症を作っているのはいかがなものか?
高齢者が、歪んで生きることを当たり前に考えてなおそうとしないで、しかも作っている⁉という事実に驚きました。

実際に、背骨の歪みからどうやって健康維持をすればいいか、医師に質問をしたところ、「歪んだまま生きろ」と言われた方もいます。


⑺〈疑問〉側弯症で投薬量増と診療科をたらい回し

側弯症は、背骨の弯曲が進むと心肺機能が落ちます。胃や腸の消化器の機能も落ちます。
「胃腸の調子が悪いなら、内科で薬を貰って」

側弯症を作っておいて、内科受診に投薬量も増やしているの?

「歪んだまま生きろ」と言われた方は、
食い下がって質問すると「そんなに辛いなら、精神科に回そうか」言われたそうです。

側弯症を作っておいて患者と向き合うことなく、精神科受診に投薬量も増やしているの?

(これらは、側弯症高齢者に直にお聞きした事実です)

⑻〈落胆〉ハビリテーションは歪みを直す気がない

後弯症の女性が、今後の歩行維持を不安に思いリハビリを受けたそうです。腰の歪みはなおそうとせず「階段を上ったりできているので、そのままで大丈夫」言われたそうです。

ただ、歩く練習をするだけで、背骨の弯曲や後弯をなおそうとするメニューは無く、歪んだ腰のまま運動しただけだったそうです。


ここまでで言えるのは、医療は側弯症をなおせないし、なおそうとしていません。高齢者の側弯症に関しては、製造した上でたらい回しにしています。

それでも、側弯症治療は、医療だけが使う言葉です。治療?製造じゃない?とまで思えてきます。


【製造、放置した側弯症はどうなるか】

⑴〈リスク〉側弯症で増える受診

【URL】厚生労働省 令和5年度 医療費の動向 ~概算医療費の集計結果~ 1p(2024.10)
https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/23/dl/iryouhi_data_sankou.pdf 

※上の図は、厚生労働省が発表している医療費増加率です。令和元年から5年まで平均伸び率は増加しています。

側弯症は、若い人がなると痛みや見た目にも敏感です。若くても、比較的痛みを感じなくて進行する場合が多いです。
高齢者は、側弯症の痛みに、もっと鈍くなっています。そして、年齢的に、姿勢が悪くなることは、普通のことと考えています。

鈍くなったまま進行することで、圧迫骨折や脊柱管狭窄などが起きます。
重心が偏るので、片側の膝関節症や股関節症も考えられます。胸郭が沈んで、呼吸器は圧迫されるし、消化器も圧迫されます。

背骨の歪みで、歩行が難しくなるのとバランスも悪くなり転倒リスクもあがります。非対称であることで、筋肉が増やせず、血流が悪いことや冷えやすいこと、熱中症にもなりやすくなります。

筋力維持が難しく、神経の集まる脊柱の変形で、自律神経の乱れなども考えられます。精神科の診療を必要とすることも珍しくありません。

つまり、側弯症が放置されて長引くと
1、整形外科では、背骨の歪みに留まらず、関節症や骨折などで診療を受ける必要性が生まれます。

2、整形外科以外で、内臓機能低下で内科、うつ病で精神科など他の科の診療の必要性も上がっていきます。


⑵〈リスク〉高齢者の側弯症放置で起こる緊急対応

※医師は、忙しく献身的に働いていて、激務をこなしています。医療提供体制を考える必要があると問題提起されています。

側弯症による、健康被害はたくさん可能性が考えられます。
そして、体幹部分の筋力が低下しているほど、短期間で進行するので、受診が増える以外に骨格の負荷のかかる場所では、骨折しやすくなり手術も必要になります。

脊柱管狭窄や圧迫骨折の背骨の手術以外にも、転倒リスクが上がって足や腕の骨折も増えます。筋肉が維持しにくく、臓器の圧迫で、内臓機能が低下して、腸閉塞や熱中症など、急を要する事態を招きやすくなります。

つまり側弯症の放置は、診療が増える以上に、手術や延命処置の緊急対応が必要になる状態を作っているのと同じです。

【URL】鶴田憲一氏 医師の荷重労働とその背景並びに医療体制に及ぶ影響(2024.10)https://kokoro.mhlw.go.jp/paper/files/05-r20-3-tsuruta-ishi.pdf


⑶〈リスク〉医療現場と介護現場の人手と時間

側弯症は、背骨が弯曲、回旋します。そのまま、放置された高齢者の背骨は、圧迫骨折しやすくなりますし、骨折していなくても曲がった硬い背中になります。

歪んで硬くなった背中は、胸郭が圧迫されていて、嚥下力が弱く誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

骨折しやすい体と、誤嚥の心配のある体を、入院中や介護の現場では丁寧にお世話する必要が出てきます。

緊急事態を避けるために、丁寧にお世話して、人手を要して、または、お一人に時間をかけて、日々の食事や排せつのお手伝いをすることになります。


⑷〈リスク〉高齢者の側弯症手術

驚くことに、側弯症手術は高齢者にも行われています。筋力がない痩せた状態で手術をすると、手術で留めた場所の端から、別の歪みがすぐに発生し再手術が必要になります。背骨を止めた金具が、痩せた体の皮膚を突き破ることもあります。

新たな問題をいくつも作る可能性があるのに、大変な手術をするメリットは何なのでしょう?



【まとめ】

側弯症を手術でしか治せない医療

ここまでお伝えしてきたように、若い人に対しても、側弯症の治療は手術しか方法がないと言っている医療が、高齢者に片杖を薦めて側弯症を製造して、側弯症手術や診療科や投薬を増やしています。

今年度から、政府は、入院中にはそこまでの改善は望めないから、早期退院で自治体などの取り組みや介護サービスの現場で姿勢維持や歩行改善への期待をしているようです。

しかし、病院と同じで、側弯症は手術しかないと考えている整形外科の先生と、体の水平垂直を大切にしない理学療法士・作業療法士が、各所で待っているだけです。

果たして、早期退院したからといって、病院と違う新たなサービスが待っていて、高齢者は救われるのでしょうか。

「側弯症」を難題と考えているのか、軽視しているのか、やっていることに一貫性がありません。


医療の権威を守るために

医療は側弯症を製造し放置して、受診する診療科を増やし投薬量も増やして医療費を高騰させているとしか思えません。健康被害のリスクを高め緊急対応の必要性を高めて、自らを多忙に追い込んでいるのです。

今の医療は、先進医療に勤しむだけで、体の本質である水平垂直でこそ体節の回転運動が正常でに行われることを忘れています。そのために、患者の求めていることを提供できず、信頼されていません。

そして、体の本質の水平垂直を無視して、自ら生む矛盾に追い立てられているのです。

医療が権威を維持して、医療関係者を過労から守るためには、水平垂直に体を戻す運動療法を提供をしてください。

もしくは、側弯症に対して、レントゲン撮影と薬の処方と手術しかできませんと、医療が権威を捨てることでしか側弯症患者は救われません。

更に、側弯症の運動指導を出来ない人を、いくら脊柱側弯の保有率の高い高齢者のリハビリテーションや健康運動の指導に回しても、それは無意味な人件費と言えます。

以上が、側弯症を通して見た日本の医療で、誰も報われない現状は、若い世代にも知って欲しい高齢化社会抱える日本の医療の現実です。


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