骨盤の傾きと捻じれが及ぼす、背骨と脚長差への影響は⁉やるべきことが見えてくる‼「坂道理論」「捻じれの法則」
はじめに
あるくん歩行体操教室、姿勢トレーナーの東 史(アズマ フミ)と申します。
この記事では、骨盤の傾きと捻じれ2つの問題が、側弯症の背骨と脚長差に及ぼす影響についてお話しさせていただきます。
側弯症と脚長差について
側弯症とは、背骨が左右に弯曲または回旋した状態です。
脚長差とは、側弯症など背骨の歪みや骨盤の歪みよって、片側に負荷がかかることで起こる左右の脚の長さの違いです。
別々の問題と考えられている方もいらっしゃいますが、当教室では、側弯症は必然的に脚長差を伴うと考えています。
骨盤の傾きで考えられる「坂道理論」
骨盤に傾きがある時
上図は、スキーヤーが緩やかな斜面に立っているイメージです。この斜面の角度が、少しずつ上がっていったとしたらスキーヤーは、自分の意志では、静止を続けることができなくなります。
骨盤の傾きが及ぼす背骨への影響
傾いた骨盤の上に位置する背骨も同じです。骨盤の傾きが緩やかな時には、背骨も歪まないようにこらえていて、進行もゆっくりです。
しかし、角度が上がると、急にこらえることができなくなる段階が訪れ、歪みの進行は加速し始めます。
これは、日常生活で坂道を上がるのに、角度が緩やかなら気にならないのに、角度が上がるとわずかな角度の変化も、大きく感じ始めるのと同じです。
1度2度の同じ角度の変化でも、初期の段階1度2度と、傾斜が進行してからの1度2度では、背骨の弯曲を進行させる力は、後者の方がはるかに大きくなります。
骨盤の傾きが及ぼす脚長差への影響
骨盤の傾きが、脚長差に与える影響は、重心が片側に偏ることです。片側に、体重が集中している状態で生活することになります。
短く太い脚と、細くて長い脚といった見た目になります。軽度の時は、特徴として確認しづらいですが、傾斜角度が進行すれば顕著になっていきます。
短く太い脚(支える脚)の特徴
・足首、膝、股関節が圧迫されている
・筋肉の可動域が小さい
・体重を支えための筋肉になる
細くて長い脚(踏み出す脚)の特徴
・脚関節は伸びやかだが、体重がのらず力が弱い
・筋肉の可動域が大きい
・距離を稼ぐための踏み出す筋肉になる
骨盤の捻れで考えられる「捻じれの法則」
骨盤に捻じれがある時
上図の女性のように、意識して骨盤を捻じる動作をした時、全身に捻じれが生じます。このことは、皆さんが普通に理解していることです。
しかし、骨盤の捻じれを意識していない時には、全身に派生する捻じれの存在を理解されていない場合が多いではないでしょうか。
骨盤が捻じれている時には、意識して行っていても、無意識で捻じれていても、背骨や脚に捻れは派生します。
骨盤の捻じれが及ぼす背骨への影響
骨盤が捻じれていると、背骨も捻じれます。背骨が捻じれると、左右前後へ可動域が制限されたわみにくくなります。
弯曲が小さいダブルSやトリプルSの背骨は、捻じれが伴うと突っ張り棒のように、背中を動きにくくします。姿勢が、特段悪く見えないのに、体が硬く、動作の制限が生まれます。
弯曲が大きいC字カーブやS字カーブの背骨は、捻じれが伴うと、肋骨が背骨の弯曲の影響を受け、背中がコブのように凸が目立ちます。
肋骨の歪みが、肩甲骨の可動域にも影響して、左右で肩の可動域が大きく変わります。手や腕の使い方に偏りが生まれやすく、捻じれを強めやすくなります。
骨盤の捻じれが及ぼす脚長差への影響
骨盤に捻じれがあると、右と左で、前に踏み出す脚の角度が変わります。脚全体の筋肉が捻じれの渦の影響を受けて、対称に使うことができなくなります。
脚の長さが違うというよりは、捻じれによって左右の脚が対称に使えないことや、足を揃えても見える角度が違って、脚が非対称になります。
骨盤と大腿骨の接する角度が左右で違っていて、歩く時に股関節が不安定になることや、股関節の部分的な摩擦も考えられます。
骨盤の傾き捻れのある時の感覚
骨盤に傾きや捻じれがあっても、正常な時から急に歪むわけではないので、身体は対応して慣れていきます。
漠然とした歩きにくい感覚はあっても、明確に傾いているや捻じれているという感覚はなくて、鏡を見て気付くか、人に指摘されて気付く場合がほとんどです。
まとめ
現在の側弯症の治療
現在、医療では、突発性側弯症治療として
⑴軽度:経過観察
⑵中度:コルセットの保存療法
⑶重度:手術療法
の、選択肢しかありません。
「坂道理論」で考えること
突発性側弯症は発見しても軽度なら経過観察です。
コルセットによる保存療法も、改善の効果はないと発表されています。
「坂道理論」から考えると、運動療法で改善を試みることなく、そのまま放置することは、みすみす進行するのを待つのと同じです。
早い段階で、運動による背骨の健全化は、一人の将来を守るためにも必要なことです。
「捻じれの法則」で考えること
側弯症は背骨の弯曲や回旋が、病気の特徴と定義されています。
そして、評価の基準になるのは、コブ角(背骨の角度で評価する方法)のみです。
「捻じれの法則」で考えると、骨盤に捻じれが確認できる時に、背骨や脚も捻じれています。しかし、背骨が捻じれていても弯曲して見えていないと、その問題は見過ごされます。
背骨自体の捻れを評価する必要性も考えられていなければ、骨盤や脚の捻れは、側弯症の状態を把握する評価の対象にもなっていません。
コブ角の評価だけに、振り回されることなく、脚や骨盤にも注意して経過を見ること、姿勢矯正や改善トレーニングも背骨だけを考えても効果が薄いのが側弯症です。
患者側の願い
「突発性側弯症は、原因不明である」
「なおせるエビデンスが、確認できていない」
患者側の切実な思いに対して、あまりにも呑気で他人事である答えに、辟易とする体験はたくさん聞かれます。
日本では、側弯症運動療法を医療行為とは認めておらず、効果の検証さえ行われていないことを知って、残念でなりません。
側弯症手術の技術向上以上に、運動療法の研究を積極的に行うことは、人間の構造を考えれば、本来真っ先に行うべきが道理であるのに、医療をけん引する側の考えは違うようなのです。
今後、もっと運動療法の可能性が議論されることを、心から願うばかりです。
元の動く背骨にする体操法
あるくん歩行体操教室で行っている、側弯症改善メソッドは、母親が娘のために考えた体軸を鍛える体操法です。
骨盤の三次元矯正トレーニングとⅩバランストレーニングで、脚長差改善を応援いたします!
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