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機能訓練で効果が出せていますか?「医療介護の矛盾サービス②」
【はじめに】
簡単な自己紹介
あるくん歩行体操教室、姿勢トレーナーの東 史(アズマ フミ)と申します。
大阪府枚方市の体操教室では、ミドル世代シニア世代の姿勢矯正と歩き方矯正トレーニングを行っています。
機能訓練とは
機能訓練指導員になるには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師または准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格のいずれかが必要です。
機能訓練指導員は、介護保険法に定められた職で、介護事業所において高齢者が日常生活での機能の維持や向上を目的として訓練の提供をします。
要介護度が高くなるのことを予防、動作能力を改善することを目的として高齢化の進む日本において、需要が高まっている職業です。
高齢者が自宅で自立した生活を維持することや、健康で長生きできること、介護する負担が少なく済むことなど、そして病院に通う頻度が少なく元気で過ごせて医療費削減なるなど、いろいろな方面から期待をされているサービスです。
この記事は、超高齢化社会で期待される機能訓練指導員による工夫された機能訓練が、効果につながっていないことと、なぜそう考えるのかを記事にしています。
NG(機能を低下させる)と考えるサービスとその理由を説明できたらと思います。
【治療家の解剖学 運動面・運動軸の常識】
治療家の常識は機能訓練指導員の常識
上の記事で、治療家の運動面・運動軸の常識が、おかしいのではないかという事を指摘させていただきました。
機能訓練指導員になる、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師または准看護師、柔道整復師は、治療家と同じような勉強をされて試験を受けています。
つまり、治療家と機能訓練指導士は、同じ勉強をして同じ感覚を持っています。運動面が崩れていることを直すことなく、そのままの姿勢で運動して運動効果を上げようと考えてしまいます。
機能訓練で効果がでない現実
以前、寝屋川市のある高齢者デイサービスを、見学させていただいたことがあり、そこでは柔術整復師の方が機能訓練を行っていました。「機能訓練はやっていても、歩行は改善なんてしないよ」と、初めから可能性が感じられないような言葉が返ってきて驚きました。
「やり方が間違っているのでは?」と思いました。そして、実際に機能訓練として行っていることを聞いて、さらに驚きでした。
「そりゃ、歩けるようになるわけないよ」というのが、率直な感想でした。
介護点数を加算して行える有資格者である人のサービスに、高齢者の機能を回復できる要素はありませんでした。
反対に「それ、やっちゃかえってダメになるでしょ」と、思う事ばかりやっていると感じた経験がありました。
その時、機能回復のために「必要なこと」と「やってはいけないこと」を見極める感覚のズレのようなものを感じていました。
この時に感じた違和感と、他の場面でも理学療法士の方と話した時に同じことを感じていました。すごく違和感があるのに伝えきれないモヤモヤした気持ちをずっと持っていました。
「解剖学 運動面・運動軸」治療家の常識に対する違和感の記事は、最近まで、なぜ、そう感じたか説明できるだけの力がなかったのですが、やっと経験と知識を得て説明できるようになり書いた記事です。
【改善につながらない機能訓練】
盛りだくさんのサーキット運動
サーキット運動は、NGです。
機能訓練で取り入れられるサーキット運動自体、たくさんの要素があって楽しそうと考えるのは、作る側だけです。円背で膝屈曲のある状態や杖を使用した側弯症の状態では、たくさんの要素があって楽しめる状態ではありません。
楽しくできたとしても、体の歪みを強めることからは逃れられません。運動面・運動軸の崩れた体では、歪みの凸の部分から動きだす特徴があります。体を動かすたびに凸側に歪みを強めていくため、歪みは強まって体のバランスは崩れる一方です。
座った状態や立位での腿上げ運動
腿上げ運動は、NGです。
頸椎や胸椎が固まったまま、腿上げ運動をすると骨盤後傾を強める運動になります。本人が、頑張って腿を上げようとすればするほど、骨盤後傾を強め、結果、膝屈曲や腹部が起こしにくい円背状態を強めます。結果、足を前に運びにくくなる上に、後方への転倒リスクが上がります。
部分的な血流改善や、集団参加で人との交流をメリットと考えても、バランス力の低下など運動面のデメリットの方が大きいと考えます。
お風呂の跨ぎ超え訓練
跨ぎ超え訓練は、NGです。
自宅での生活自立や転倒予防のために行われる、お風呂の跨ぎ超え訓練は、自宅の浴槽環境に近付けて低い手すりを頼りに行われるのが普通だと思います。
もしくは、椅子の背もたれを使って行われます。この時に、背中を丸めて繰り返し行われる訓練は、腰を丸めるトレーニングになってしまいます。
高い設定の手すりや壁を頼りに、頭を上げて体を起こして訓練を行わないと、通常でも前傾して、足の前側に重心がある状態をより強める結果となってしまいます。バランス力低下や転倒リスクにつながります。
腰を丸めて繰り返し運動するため、ギックリ腰を起こしやすくなるリスクも考える必要があります。
ミニハードルを使った跨ぎ超え
ミニハードルを使った跨ぎ超えは、NGです。
高齢者の猫背や円背、または側弯によって固まった背骨は、推骨が目詰まりした椎間板がすり減った状態が見られます。屈曲した膝で、円背姿勢で下を見て障害物を超えようと集中する時に、目詰まりした背骨をより圧迫して、圧迫骨折のリスクを促進する状態になります。
下を向いた姿勢は、直ちに圧迫骨折に至らなくても、胸郭の圧迫は考えられますので、呼吸器の機能低下や嚥下力の低下などが考えられ、筋力の低下が進んでいる人ほど簡単に進行します。
マシントレーニング
準備運動なしや自己判断のマシントレーニングは、NGです。
マシントレーニングは、決まった姿勢で決まった場所に足を置いて、足や手の角度に気を付けて正しいフォームで行うことが前提です。運動面、運動軸崩れた高齢者はいくら教えてもらっても、崩れた状態で行ってしまいます。
強い負荷や回数を優先することで、必ず自分本位の使い方に陥って、膝や腰を痛める結果になるのが多いと思います。
その傾向は、本人の意識でセーブできるものでなく、運動面、運動軸が崩れておこる筋肉の習慣によるもです。マンツーマン指導でも、厳しい目で体の各所の使い方に目を配らないと改善は難しいです。
【機能訓練で効果を出すために】
高齢者の崩れた運動面を立て直す
解剖学の運動面・運動軸は、水平垂直の時に正しく機能します。そして、運動軸によって体節の回転運動は起こります。
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上図は、運動面(矢状面)が崩れてつながっていないイメージです。高齢者には、上図の姿勢よりもっと姿勢の悪化が進んでいる方も大勢います。
そして、矢状面以外にも前額面も崩れている事、側弯があると捻じれも発生します。
運動面が崩れているのにそのまま運動をさせていませんか?
筋肉は、高齢でも回復すると言われています。
それなのに、機能訓練をしても効果が出ない筋肉が付いてこないと感じているなら、運動面を整えずに、崩す結果を招いている可能性を考えてみてください。
運動面が整うことのメリット
たくさんの工夫や労力をかけて行っている機能訓練を無駄にしないための答えは、運動面を整えることだけに集中することです。
折り紙や貼り絵やゲームのレクレーションの時間、機能訓練の時間以外と自宅でも、高齢者は下を向いている時間が多いです。
機能訓練の時間を、運動面が整うように、できるだけ若い姿勢で運動を頑張る時間にするだけで、機能は向上します。
運動面が整うことは、体節の回転運動がより正常に近付き働きやすくなっていきます。苦労してケアしている心肺機能や消化機能の改善も、運動面を繋げることで体節の回転運動が正常に近付き改善します。
運動面を整えることは、たくさんのメリットが、勝手におまけに付いてくるのです。
【機能訓練メニューの改善策】
盛りだくさんのサーキット運動の改善策
サーキット運動をするには、極力負荷や難易度の低い運動を両手すりや壁に手を付いて行うことや、一つの運動に一人、フォームを確認してサポートする人がいると効果につながる可能性は高くなります。
座った状態や立位での腿上げ運動の改善策
腿を上げるより支える力を付けるべきです。立位では軸足が安定していないと腿を上げることは不可能です。片脚で立てる力や、つま先から踵への重心移動。足側面の左右の足幅で重心移動など小さい幅の重心移動の方が、歩行や転倒予防につながります。
ミニハードルを使った跨ぎ超えの改善策
難易度を下げて、体や頭を起こして行いやすくすることが重要です。手すりや壁に手を付いた状態で、足をたくさん上げる必要がないテープやタオルをを目印に行う方が、下を向く必要性が少なくなり効果につながります。
マシントレーニングの改善策
骨盤が中立位でマシンに乗れない限り、代償動作が出てどこかを痛める可能性が強いため、準備運動からマンツーマンのフォームの管理と負荷や筋トレ回数を微調整して進めることが出来ると効果につながります。
【運動面を整える『あるくんメソッド』】
重度側弯症の娘の体を健康に導きたいと思い考案した『あるくんメソッド』は、運動面、運動軸の崩れた体を立て直すために考案しました。
ぜひ、運動面と整えることを考える時に、下の記事も参考にしていただけたら幸いです。
ぜひ、高齢化社会のサポートされる側とする側の、両方のメリットになるように、ぜひ、お試しください。
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