「おだいじに」
わたしってなんでこんなにエロいんだろう。
この世界にわたし以上にエッチなこと考えてる人がいるんだろうか。
枕カバーが足指に絡み雨粒が耳元で囁き、ピンククラウンで目が眩み、煙草のけむりと涎が宙で渦になる。
わたしの匂いが香って来たらストレッチをします。肉と骨。その柔らかさと堅さを比べるように触るのです。
思い浮かべることがあればある分、主張をノートに記します。その時だけは横髪が過去や現在からわたしを隠してくれます。つまりはわたしが記していることは未来に向けてのことなのです。
ホワイトライトに照らされていると、影は誰かの見知らぬものに変わります。そうするとわたしの顔はわたしの顔でなくなり体の中身も入れ替わり、わたしがわたしでなくなる代わりに体に柔軟性を宿すのです。
アメーバ、またはスライム他紙粘土など。遊んだことのある人ならお判りが早いと思うのですがわたしはそれらのように自由自在に理想の美醜を手に入れることができるのです。
しかし困ったものです。なんせわたしがわたしではなくなっていくのですから主義主張や映画の趣味など異なりを見せるのです。しかも恐ろしいのが顕著な変化ではなく、徐々に、ですから気づきにくい性質をお持ちのようなので防ぎ様がないのです。
性の好みや趣向も大変歪極まります。あんなにお慕いしておりましたお人の言動に、急に、親しみが無となり、憎の対象になるのならまだしも、もうその頃には別のお人を慕っているのです。
感情の振り幅が激務なだけと思いでしょうか?あなたは相手がいないと性行為ができないと思いでしょうか?
考えてください。
あなたが好きな音楽を聴く時、その音や詩、歌声でもいいです。そこに付随する記憶が甦ってくるでしょう?
そしてあなたは行ったつもりになる。そこに。
会ったつもりになる。誰かに。
対話したつもりになる。誰かと。
そのつもりという感覚が積ってくるとさも、実像のように目の前に現れるのです。ここまで読んで、そんな経験は自分には無いという方は、でも
それでも、
それまでは、
理解したのでしょう?
あなたは子供の頃、どんな遊びをしていましたか?
どんなつもりでその人形と対峙していましたか?
近所に一人はいたのではないのですか?訳もなく、気味の悪い大人が。
なぜか感覚的にその人を受けれることができない。
嫌い。
嫌い。
大嫌い。
なぜ今あなたは怖いと思うのですか?
子供のあなたならもっと怯えていたのに。
さっきからどうしてわたしを無視するのですか?
相手がいないと性行為できないと
これを読んでもまだ言えますか?
違います。そこにはいません。
後ろではありません。
わかっているでしょ?
私は、
あなたの。
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