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こんかいはウッツの話です

希死念慮という言葉は、心療内科で初めて知った。

医師にこれまでの経緯ー
夫のDVから昼逃げのかたちで家を出て別居中でたること、
仕事が忙しいのに段取りをつけたり決めたりできないこと、
イライラして子どもに手をだしてしまったこと、
夜がなかなか寝られず何度も起きてしまうこと、
自分なんかいなくなってしまいたいと思うようになったことー
を話したところ、これはうつ病ですね、と診断された。
されたが、自分で心療内科に来ておいて矛盾しているかもしれないが、その診断がなんだか信じられなかった。

私の話を聞いただけで診断できるものなのか?
たんに私がダメ人間ということかもしれないではないか。

医師に、うつ病というけど、病気じゃなくて私の能力不足なのではありませんか?と聞いたら、
冒頭の「希死念慮」ということばがかえってきたのだった。

初耳の人も字を見れば意味がわかるとおもう。

「人間も生き物で、生き物は、生きたいと思うものです。それなのに、あなたはいま消えてしまいたいと思っている。それは、普通の状態ではありません」と。

そういわれても半信半疑だったが、とにかくその日から治療がはじまった。
日々つらいことにはかわりなく、そこからぬけだしたかった。

おどろいたのは治療期間の長さだった。
服薬はだいたい6ヶ月、そこでよければ減薬をはじめ、順調にいっても9ヶ月かかるときいてびっくりした。
なんか、もっとさくっと3ヶ月くらいですっきり元気になるかと思っていた。

治療に際し、私がしたことは以下の通り。
どなたかの役に立てばと思う。

①診断書をかいてもらい、会社に提出。仕事内容を減らしてもらった。勤務時間は、朝1時間だけ遅らせてもらった。
②抗うつ薬と、睡眠導入剤を日々飲む。
③週末は半径1キロ以内ですごす。電車にもバスにものらず、近所の公園で子どもと遊び、スーパーにいくだけ。
④母や妹に助けを求める。夕飯は母が作りに来てくれた。

あのときは、自分はうつ病なのかしら本当に、と思っていたが、いま思い返すと、我ながらうつ病だったと思う。

たのしいと思えることがなく、大好きな読書もまったくできない。
食べたいものもないし、作りたい料理もない。
夜は3時間で目が覚めて、再び眠るのがむずかしい。
家を出た時のことを友人に話すと、ところかまわず涙がでてきてしまう。
決断することができなくて、たとえばメール一つ書くのにもすごく時間がかかる。

つらい日々だった。

ただ、私は助けてくれる実家の家族、事情を知って声をかけてくれた友人、理解を示し仕事を減らしてくれた上司がいた。
それがなかったら、あの日々を乗り越えられた気がしない。

自分のこの経験から、もう簡単に「DVを受けてるの?はやく家を出なよ」とは言えないと思った。

DVは、家にそのままとどまるのも地獄、
でも家を出ても地獄かもしれない。
どちらの地獄を選ぶか?という選択をせまられるようなもの。

ただ、どちらの地獄を選ぶのかと聞かれたら、
やっぱり自分ですべてを決められるから家を出る方の地獄を選ぶかな。

もちろん、一番いいのは、安心できるパートナーと日々穏やかに過ごすことだけど!

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