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積読月報(2024年6月)

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

夏の暑さと、梅雨の雨で体調崩しがちですね。
雨の日は家でゆっくり本を。。。とか思うんですが、意外と家の中で集中できないんですよね。
私は電車の中とか、電車が見えるカフェとか、動きがあるけど静かな景色の中で本を読むのが好きです。
仕事帰りにカフェで読書。。。。なんてしてみたいです。

今回も読書メーターのまとめ機能を使って、先月読んだ本を紹介したいと思います。
こうやって振り返ると6月はかなり面白い本をたくさん読んだ気がする。


2024年6月の読書記録

2024年6月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
※ 全てを紹介するわけではありません。

國分功一郎『中動態の世界 : 意志と責任の考古学』 (シリーズ ケアをひらく) 医学書院

本書は「中動態」という失われた態(受動態とか能動態の「態」)をめぐる言語の議論であるが、著者の國分功一郎 先生は哲学者、出版社は医学書院、「シリーズ ケアをひらく」の一冊として刊行された。そして副題には「意思と責任の考古学」とある。その通り本書は「中動態」という、失われた文法について議論を進めながらも、いつしか「意思」というものを思索することとなる。言語、哲学をテーマとしているため議論はかなり論理的で、正直すぐに理解できるわけでもなかったが、それでも何か自分の中に響いてくる振動があるように思えた。
それはおそらく、プロローグからはじまり後書きで語られることとなる、この中動態という概念が「意思」の存在の議論を通して依存症など、私達の心の問題に繋がりがある、深い深海の海底ケーブルでケアとつながる議論であるからだと思う。この本を一度読んだからといって中動態を理解できたとは到底思えないが、こんな角度からケアや自分の心を見つめ直したことはないと感じる、エキサイティングな読書体験だった。ここ最近読んだ本の中で間違いなく一番面白い。生活を崩してでも読み進めた。

かなり難しかったし、理解できていない部分も多いけど夢中になった一冊。
本書について考えたことは、独立した記事を執筆しました。

本書を皮切りに今月までに3冊同シリーズ読み終えました。こうしたケアに関する本は今までも何冊か読んできましたが、どれも共通して「自分の中のもう一人の自分」みたいなものの存在が浮き彫りになってきます。
「自己同一性」という言葉があるけれど、もしかしたら、今私が感じているぼんやりしていることを明確にするキーワードかもな、と思っています。

根本彰『情報リテラシーのための図書館 : 日本の教育制度と図書館の改革』みすず書房

司書課程の勉強の参考書として挙げられていたので購入。タイトルから想像していたよりも、図書館情報学全般について概説された本という印象で、すでに知っている内容も多かった。一方で、情報リテラシーの概念が日本ではあまりしっかりと構築されていない点、細かい部分ではあるが、日本の図書館が無料貸本屋となる上で、「中小レポート」以外の要因もあった点は印象的。あと最後の章で映画、文学作品から司書の印象を語っていたところも面白かった。ただ、国が定める標準としての学習指導要領とか教科書を廃止するというのはかなり極端では…

情報リテラシーというものが想像以上に奥深いものだと感じた一冊。
教育学部出身の司書として避けては通れないテーマな気もした。

松本俊彦『誰がために医師はいる : クスリとヒトの現代論』みすず書房

しばらく前に大宮の本屋で購入して(印刷は2年前の4月)、しばらく本棚で熟成させていたが、その甲斐あってか、読み始めたらあまりにも面白すぎて2日で読み終えてしまった。松本俊彦先生のエッセイだし、エッセイスト賞とか取って世間的にも評価されてたから面白いことは確定してたんだけど、こんなに夢中になると思わなかった。そして、自分が依存症について何も知らなかったことも痛感した。完全に「ダメ、ゼッタイ」に踊らされていた。
色々と思ったことはあるけれど「アディクションの反対はコネクション」は心に深く刻んでおこう。
そしてやっぱりこうした、人の弱い部分に接して、向き合っている人の言葉や文章は本当に読んでいて心地いい。いや、内容はなかなかキツイ部分もあるし、正直面白いっていうのも不謹慎かもしれないけど、救われる。

これもめちゃくちゃ面白かった一冊。様々なところで評価れているけれど、本当にエッセイとして非常に面白い。ページを捲る手が止まらなかった。

「白石正明さん(編集担当)が主観で解説する シリーズ「ケアをひらく」全43冊」『精神看護』27(2), p92 - 136, 2024.03

「シリーズ ケアをひらく」の特集。本に負けないくらい白石さんの語りが面白いし、ありきたりな感想だけどどの本も読みたくなった。最高の読書案内。この前シリーズを何冊も購入したのでこの夏読み進めたい。
そして、何気に雑誌を登録するのは初めてな気がする。

宮地尚子, 村上靖彦『とまる、はずす、きえる: ケアとトラウマと時間について』青土社

こちらも積読から掴んできた一冊(2023年4月印刷)。宮地先生は『傷を愛せるか』(ちくま文庫)、『トラウマ』(岩波新書)、『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房)を読んできた私の大好きな書き手の研究者。村上先生も昨年話題になった『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書)を読んでおり、この二人の対談本ということで読まないわけはなかった。
まず、タイトルと装丁が本当に素晴らしい。「とまる」「はずす」「きえる」ともにお二人の雰囲気にぴったり。カバーは青と赤の毛糸みたいな形が少し離れて置かれている。
しかし、一点、申し上げるならば、この本はかなり難しい。私は、この分野の本を何冊か読んでいたためわかる内容も多かったが、宮地先生の環状島理論の話などは彼女の著作を読んでいないとおそらくついていけない気がする。村上先生が話題に出す哲学思想に関しても、あまり丁寧には説明されていないため、予備知識がないとこの本をきちんと理解することは難しいと思う。(私も理解できなかった。)できれば脚注を充実させて欲しかった。
とはいえ、二人の生の対話、「それる」「もどる」「とまる」「すぎる」「はずす」「きえる」といった言葉を種に萌える木々や草花のような対話をぜひ。

何気に宮地先生の本を読んだのは久しぶりのような。
7月に入ってから『トラウマの医療人類学』は読んだので残るは『トラウマにふれる』である。コロナ禍以後の論考ということで読むのが楽しみ。

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)新潮社

付録を残して読了。もう夜も遅いからキーワードだけ書き留めておく
◦ 誰かが言っていた(そして私もそう思っている)「生きるとは死ぬまでの暇つぶし」という考えは案外芯を食ってる
◦ 環世界、数多くの環世界
日常的な悩みや疑問を哲学、政治学、経済学、人間学、医学、生物などを駆使して多面的に考察する、本当にエキサイティングな読書体験だった。
同著者の「中動態の世界」を読んだ時にも思ったが、本当にこれを書く力はすごい。
しかし、『暇と退屈の倫理学』は自分で見出さなければならないみたい。それが宿題のようだ。

すっかり國分先生のファンになってしまった。あと2冊積読してます。

▼読書メーター

来月も良い本との出会いを。。。

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