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お鉢巡り
生まれて初めてお鉢巡りをした。お鉢巡りとは火山の火口のまわりをぐるりと渡っている道を歩いてまわること。山に登頂してからさらにその火口を1時間程度かけてまわることになる為、なかなか体力勝負のトレイルになるのだけど、今回歩いたのは標高850m程度の東京八丈島にある八丈富士。お鉢巡りまでの道は火山岩で出来た階段が整備されていて、富士山のお鉢巡りなどと比べるとチャレンジしやすいお鉢巡りとなる。
とはいえ、なかなか急勾配の道をひたすら上に登っていく。道の両端には亜熱帯気候独特の植物たちがわっさりと生えていて実に南国めいている。
登れども登れども続く階段。途中何度も息切れをして立ち止まって休憩をする。この道が素晴らしいのは、後ろを振り向くと一面の海が見えるところだ。なんども海を見ながら休憩をしつつ、1280段の階段をひたすら登りきる。
普段は山登りはしないのだけれど、登りきった山からの風景はやはり登らなければ見れない故に人を魅了するんだろうと思わずにはいられない、一面を緑に覆われた山の風景が広がっている。そこには圧倒的な解放感がある。八丈島のお鉢巡りは天空の道を歩くと言われているが、まさにその通りで火口というと岩だらけの緑の絶えた場所というイメージがあったが、膝までの丈の植物がたっぷりと生えていて、天国の風景とは案外こんな風景かもしれないと思ったりする。
くねくねと曲がりくねった道を足元に気を付けながら歩く。右手には火口と思われる深い穴があり、上から見ただけでもかなりの高さの場所にいるという感じがする。そして右手には八丈小島と言われる小さな島が見える。見渡す限りの海も。クジラの群れが見えないかと目を凝らしてみるが、船が何艘かと波が岩に打ち付けられて白く砕け散るところが見えるだけだった。途中、思い立って「やっほー」とやってみると、くるりとしたお盆型になっているのでそれはきれいに山彦が返ってきた。そうやって途中なんども立ち止まっては山彦を聞きつつ360度くるりと島のまわりを見下ろしながらの1時間程度のお鉢巡りだった。
八丈の思い出