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メディア-「大正大学」を伝えたい私たち
すがもプロジェクトインタビュー企画最終回!
すがもプロジェクトには一つだけ異質の班があります。特定の地域活動をするのではなく、他の班の活動を広報することに特化したメディア班です。
これまでのインタビューもすべてメディア班が担ってきました。メディア班は「あるきめでぃあ」と称するTwitterやnote(ブログ、本媒体)などのwebメディアを中心に、すがもプロジェクトだけでなく大正大学の地域活動を学内外に発信しています。これまでにあるようでなかった学生目線での広報を試行錯誤する3人に、今回は担当教員が話を聞きました!
すがもプロジェクト メディア班メンバー(2020年春学期時点)
・山本陸 (SPS 臨床心理学科4年 写真左下)
・山田知佳(表現文化学科4年 写真右下)
・山中若菜(歴史学科2年 写真左上)
私たちは「主観」を伝えたい
-すがもプロジェクトにおけるメディア班の役割と意義を教えてください。
山本陸:はい。メディア班はすがもプロジェクトの活動を中心に大正大学の学生が実践している地域活動を学生目線で伝えることを目的に結成されました。
山田:大学の公式サイトは基本的に正確で客観的な情報が発信されますが、私たちはもう少し主観的な文章で、地域で大正大学の学生が何をしているのか、学生が何を考えているのかを、学生や地域の方々をターゲットにして伝えたいと思っています。それによってあまりうまく発信できなかった大正大学の地域活動を知ってもらい、さらには共感を得てもらうような情報発信をしていこうと考えています。
山中:大正大学は2026年で創立100周年を迎えます。大正大学の学生たちの積極的な活動を学内外に伝えるとともに、メディアに記録することで100周年以降の活動の発展につなげたいとの思いも持っています。
-学生の活動を「伝えたい」というとても強い気持ちが伝わってきました。なぜみなさんは、そこまで「伝えたい」と思っているのでしょうか?
山本:大正大学はこれまで、多くの面白い地域活動や実践をおこなっています。活動に関する成果物も、観光ガイドや映画などとても興味を惹くものを作ってきました。しかしながら、そのような魅力的な活動や成果物もやったらやりっぱなし、作ったら作りっぱなしのままで、それをもう少し効果的に届けられないかなと思っていました。伝えることができれば、他の学生は活動に参加してくれるかもしれないし、地域の方々は今後活動に協力的になってくれるかもしれない。そのような良い循環を生むためには広報がとても重要であるにもかかわらず、なかなか体制をつくることができなかったことを反省しています。
山中:私は東北の復興支援活動を実施していることが、大正大学が大きな魅力だと思います。震災以降、これほど本格的で継続的に東北と関わりを持っている首都圏の大学はありません。決して偏差値が高い大学ではありませんが、一方で実はすごいプロジェクトをおこなっています。そのような行動力ある大正大学の魅力をもっと伝えたいと思っています。
山田:広報をすることで活動が自己満足から一歩抜け出せるではないかとも思っています。実施した地域活動が学生にとって満足したものであっても、実際に外部からみてもらった際に意味があることだったのかを検証する材料にもなるのではないか、そして大正大学の地域活動をさらに改善するためにも他者に伝える必要があるのではないか、そのように考えています。
山本:もうひとついいですか? 私は2年生からサービスラーニングでの地域活動に関わっていますが、先輩たちがとても楽しく充実して活動していたのがいまでも印象に残っています。私は先輩たちが積極的に活動する姿を見て強い共感を持ち、今まで継続してサービスラーニングの活動をしてきました。大正大学には自分の思いを自由に形にできる環境があります。今後さらにこの大学の地域活動を発展させていくためには、もっと多くの学生に活動を伝えて共感してもらいたいという気持ちが強いです。
あるきめでぃあのキャラクター
あるきめでぃあくん
真っ赤になって返ってくる原稿
-なるほど、メディア班は広報の社会的意義と伝えたいという個人の思いが融合して結成されたことがわかりました。春からずっとオンラインでの活動のみでしたが、これまで具体的に何をしてきたのか教えてください。
山本:今はいろいろな記事を書いて、公開するコンテンツを蓄積することに専念しています。すがもプロジェクトの他の6つのテーマの紹介記事や、すがもプロジェクトに関わっている学生たちを対象としたインタビュー記事などを書いています。そして、その記事を担当の職員さんに一対一で添削指導してもらいながら、記事を書く力をつけているところです。広報に対して、最初はSNSで発信するように簡単だと思っていたのですが、公開できる記事にするためには、本当に大変な手順があるんだなと、真っ赤になって返ってきた自分の原稿を見て痛感しています(笑)
-他の班の学生にインタビューをして記事を書いているということですね。記事を書いてみて初めてわかったことや感じたやりがいなどはありますか?
山中:学生一人ひとりの本音に触れられるのが面白いなと思いました。当事者以外には順調に進んでいたように見えるプロジェクトの背景に、実はこのような苦労があったなどの裏話を聞けるのが、メディア班ならではの面白さかなと。
山本:インタビューをしていくうちに、どうやったら深掘りできるかに注意するようになりました。一つの質問からなぜそのようになったのか、なぜそう思うのかなどの本質を探らないと表面だけの記事になってしまいます。たとえば、すがもプロジェクトになぜ関わっているのかという質問に対して「巣鴨はおばあちゃんの原宿というイメージを変えたい」という答えが返ってきました。それに対してなぜ変えたいと思うのかと問うと、だんだんと本質的というか個人的な話になっていきました。これがとても面白い! このように話を深掘りしていくと、学生同士だからこそ話せるエピソードに行き着くこともあります。これを聞けるのがやりがいですね。
山田:他の班の活動や、活動に対する意義などを聞くことで、普段あまり話してこなかった人たちの思いに触れられるのがとても勉強になります。オンライン授業だと授業外に会ったり話したりする機会もないので、一人ひとりの考えを深く知ることはなかなかできません。ですが、メディア班はインタビューを通してたくさんの人とコミュニケーションをとれるのが特権です。それによって、他の班の学生たちの意外な側面を見れることがとても大きな楽しみです。
-一方でとても苦労していることや注意していることはありますか?
山中:インタビューするときにICレコーダーを使っているのですが、文字起こしにすごく時間がかかって苦労しています。今までインタビューや文字起こしをしたことがなかったので、こんなにも一つの記事を書くのが大変なんだなと実感しました。
山田:エピソードではないのですが、私は記事を書いてみて、インタビューした学生の思いを正確に表現できているのかと、常に不安になってしまいます。活動内容に関しては事実だからそのまま書けるのですが、どのような思いで活動しているかという主観的な話に関しては、何度も録音したデータを聞きながら書いています。聞いた話をそのまま文字にはできないので、その人の気持ちを的確に表す重要なキーワードを探りながら、どこを削ってどこを残すかに最も心を割いています。学生の真意を正確に伝えることがメディア班の大きな役割だとも思っているので、そこに苦労を感じているところです。
山本:単純に記事を書くのが大変です。インタビュー記事は、質問に対して話し手の回答をただ掲載していけば記事の形になるのかなと思っていました。そうではなかったんです。記事を書いた後に一度職員さんに見てもらったのですが、驚くほどの量の添削がされて返ってきました。話の中でようやく引き出した個人的な話を実際に記事にそのまま書いたら「この流れでこの話要る?」と職員さんに聞かれて、結局答えられなくてがっつり消されちゃったこともあります。流れに一貫性のある記事を書くことに、本当に苦労しています。あー、文章を書く話はしたくなくなってきました(笑)
私は「大正大学」を知っているか?
-“文章を書く”というメディア班ならではの苦労が伝わってきました。そのような経験をみなさんはどのように日常で活かすのか、何かしらの展望はありますか?
山本:この活動をしていくうちに、自然と「伝え方」に気を付けるようになりました。文章だけでなく会話でも、どのようにすればこちらの思いや考えをうまく人に伝えられるのかなと。あと、SNSでの発信の仕方も、どうすればエンゲージが高い投稿にできるのかなど日々意識するようになりました。
山田:私もこのメディア班をつくりたいと思ったきっかけは、広告や広報に関心があったからです。今でもその思いは強いのですが、これまでは例えばSNSの投稿に注意したことはありませんでした。今では他の人の投稿の内容や表現の仕方がどうなっているのか気になるようになりました。それによって興味の幅が広がってきた気がします。今回のインタビュー記事を書くにしても、雑誌やネットでのインタビュー記事の書かれ方などこれまで見向きもしなかったことに意識が向くようになりました。先日、好きなアーティストのインタビュー記事があったのですが、インタビューの内容だけでなく、聞き手がそのアーティストの魅力をどのようにして引き出しているのか、その点に注目しました。
山中:私が大正大学に入学すると決めたときに、実はまったく大正大学の情報を持っていないことに気づいたんです。大正大学がこんなにも地域活動をしていることはもちろん、仏教系大学であることも知りませんでした(笑)入ってみて地域活動が盛んなことを知り、この情報がもっと広報されていたら、受験するかあるいは入学するか迷っている高校生の手助けになるのではないかと思っています。記事を書くようになって、他の人がどの情報が必要なのかを気にするようになりました。
-サービスラーニングの担当を続けていく気持ちが高まりました(笑)(聞き手は担当教員)。最後になりますが、今後のメディア班の展望を聞かせてください。
山本:秋学期はすがもプロジェクトの6つの班が本格的に活動をするようになるので、広報・記録という形でしっかりとサポートしていきたいと思っています。また、毎日更新するためには記事がたくさんないといけないので、ライターも募集して仲間を増やしたいと考えています。SNSでの発信も活発的におこなっていきたいです。やりたいことが本当に多いですね(笑)
山中:私は文章だけでなく、動画の撮影や編集をしてマルチメディアで発信できたらなと思っています。自分自身が動画を作るのが好きなので、その特技を活かしていければ嬉しいです。
山田:記事をたくさん書いて公開するのも大事ですが、今年は長期的な視野で広報活動を運用するための土台づくりの年として考えています。だからこそ、私たちの記事をより多くの人に見てもらえるような仕組みをつくっていきたいですし、何より広報する私たち自身が充実した活動ができていると感じられる雰囲気づくりをしていきたいなと思っています。とにかく楽しんで活動します!
歩こう巣鴨班のお手伝いをしているメディア班
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インタビューしてみて最後にインタビュアーから一言が恒例となっていますが、今回はただただ自慢させてください。この班、みんなすごいんです、真剣なんです。
まずは学生がすごい。ちゃんと締切を自分たちで設定して、しっかりとその期日を守って記事を書いてくる。当然のように思えて、なかなかできないことです(自戒して言います、ごめんなさい)。あと、記事の内容が目に見えてよくなってくる。こんな短期間での成長、なかなかレポートではお目にかかれないのに。
次に職員がすごい(現在3人の職員が担当)。この御三方、学生の記事を親の仇かってくらい真っ赤にして返す。まるで血塗れ・・・。しかしながら、その意図をきちんとコミュニケーションをとって説明して納得させている。こんなフィードバック、なかなか授業では実現できないのに(これも、ごめんなさい)。
ということで、担当教員の私も触発されてみんなの原稿をしっかりと(期日を守って)監修しています。プロジェクト、何事も一歩目が大事です。悩み苦しみながらそれでも投げ出さず真剣に取り組んで、そして恐る恐るみんなで踏み出す一歩目が大事だと実感しています。
記事・齋藤知明(メディア班担当教員)
2020年9月3日取材