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『地域人』に逆取材してみた!

みなさん、こんにちは。今回の記事を担当します歴史学科日本史コース4年の山中若菜です。突然ですが、みなさんは『地域人』という雑誌をご存じでしょうか?大正大学出版会から刊行されており、2015年に初出版されてから今まで86号刊行された地域創生の総合情報誌です。昨年、『地域人』編集部の方から「あるきめでぃあ」について取材をしていただきました(取材いただいた記事は大正大学公式アプリのコンテンツ「SHODAI NOW」で見ることができます)。そのときのご縁から、今回は『地域人』 編集長の渡邊直樹さんにインタビューをすることができました。どういった経緯で『地域人』 を出版するに至ったのか、地域取材ならではの大変だったエピソードなどをうかがうことができました。

画像:『地域人』編集長 渡邊直樹さん。編集長という肩書きから最初、お堅いイメージを持っていたのですが、明るく気さくな方です。

『地域人』出版の経緯
大正大学では、2014年に大正大学地域構想研究所が設立されました。そして2016年に大正大学地域創生学部が新設され、本学は地域創生に関わる人材育成に力を入れるようになりました。そうした地域創生に関する取り組みの中で、「地域にフォーカスした雑誌を作ろう」という意見のもと2015年に『地域人』を出版することになったとおっしゃる渡邊さん。筆者自身、取材前は「創刊から7年経っているということは、編集部の規模もかなり大きいのでは?」と考えていました。しかし、その人数はわずか6人!少人数で制作するため、現地へ取材に行ったり、原稿の執筆や校正を絶え間なく行ったりと大変な思いもされるそうです。しかし、毎月出すことで自分達が何をしてきたのか、何を考え、何を目指して活動しているのかを、「雑誌」という形を通じて可視化できるのでやりがいを感じると笑顔で語ってくださいました。また、自分達が取材した後にNHKなどのテレビ局や朝日新聞などの新聞が同じ地域や人を取材して番組や記事にすることもよくあるそうです。こうしたスピードの速いメディアを先取りして自分達が取材していることにも面白さを感じるということも教えてくださいました。

画像:編集部の様子。
画像:編集部前にある窓の様子。滝野川方面の景色が見えます。

てんやわんやな取材エピソード
今まで大変だったことや印象に残っている取材エピソードをうかがったところ、3つのお話をしてくださいました。
 
まず1つ目は、大変だったエピソードです。地域人編集部では「取材命」と言われるほど、地域へ赴き取材をします。しかし、取材命だからこそコロナ禍の打撃は大きかったそうです。コロナ禍で国内の移動が制限されるようになり、取材に行くことができなくなってしまうことがありました。1号分休むことも考えたそうですが、編集部の中で出た意見は一つ。「何とか毎号出していきたい」という思いだったそうです。そこで直接、取材に行けなくてもそのテーマに詳しい方へ原稿を依頼したり、写真をお借りして記事を作成したり、さらにはzoomを用いて取材を行ったりしたそうです。こうして、地域の取材に赴けない代わりに関係者の得意分野を活かした記事を作ったり、「ポストコロナ時代の地方と都市」という特集を組んで「コロナが日本や世界の人々、更に社会にどのような影響をもたらすのか。」を考える記事を作ったりしたことで、刊行を止めることなく続けることができたと語ってくださいました。
これらの経験を通じて2022年からは「地域特集」と「テーマ特集」という2つの主軸を交互に刊行されています。
 
2つ目は、印象に残っているエピソードです。昨日16日、新たに発売された『地域人』87号では 「高専と高校」の特集が組まれました。この取材で、渡邊さんは徳島県神山市へ赴いたそうです。そこで今年4月に開校する「神山まるごと高専」が「神山を日本のシリコンバレーにする」という意識のもとで教育に力を入れていくことを知ったそうです。学校全体で産業や地域の発展に関わろうとしていることを知り、渡邊さんは強い関心を持ったそうです。筆者自身、渡邊さんの話を伺い、自分の高校も卒業条件の中に一定の時間以上、何かしらの地域ボランティアに関わることが定められていたことを思い出しました。当時は「どうして、こんなことをしなければいけないんだ・・・」という気持ちでしたが、今になって改めて考えると、地域ボランティアに関わることで生徒が地域に興味を持ち、将来の地方創生を担うスキルを育てるためのものだったのかなと思いました。
 
3つ目も印象に残ったエピソードとして、これから刊行される88号の取材で離島に行った際、アクシデントに遭遇した時のことを話してくださいました。そのアクシデントは取材の帰りに発生。飛行機がエンジントラブルで離陸できないことになってしまったそうです。飛行機の最前列に座っていた渡邊さんは、扉の向こう側でパイロットが「バッテリーが切れた」「片方のプロペラが回らない」という話をしていたのを聞いてヒヤヒヤされたそうです。最終的に飛行機会社が宿を取ってくださったことで、その日は泊まることになり翌日帰ることができたそうです。
 

取材から執筆までの期間とは?
次に取材から執筆までの期間についてうかがいました。最初に驚いたのは半年先までテーマを決めているということです 。
テーマが決定したら下調べをし、取材を行います。取材後に写真や原稿を見ながらレイアウトを決めます。ある程度レイアウトが決まったら、外部で活躍されているプロの方も交えて校正と修正を重ねて校了します。そして印刷所に入れ、色校を確認して刊行されているそうです。先述、編集部の人数は6人と記載しましたが、一冊の雑誌を作り、読者に届けるまでに編集部の他にもライター・カメラマン・イラストレーター・デザイナー・校正者・印刷所・販売担当者などが協力されています。別々の業種から多くの方々が関わっている事実を知り、驚きました。

画像:渡邊さん自身が手描きされた特集ページのラフレイアウト。完成したページとほぼ同じように細かくレイアウトを考えられていることが伺えます・・・。

執筆で心がけていることとは?
次に執筆で心がけていることについてお話をうかがいました。すると「ページ毎に一番何を伝えたいかを常に意識している」という答えをいただきました。それは執筆だけでなく写真のセレクトも同じように意識されているそうです。実は、今年から『地域人』は文章量を1割方少なくしており、その代わり写真を多く使用しています。渡邊さんは、その記事で一番強調したいものは何かを念頭に置いた上で文章の表現や使用する写真を選んで執筆するよう心がけていると語ってくださいました。
 
 
私たちの記事を評価
最後にプロ目線からあるきめでぃあの記事を評価していただきました。今回見ていただいたのは12月12日に公開した種子地蔵縁日の記事です(https://onl.sc/Lxg1rBt )。
まずは文自体について、「事実関係を明確に示していて読みやすい」という評価をいただきました。一方、「せっかく学生が書いているから、もう少し学生が自分の感想を入れて楽しく、そして掘り下げて書くとより良くなる」というアドバイスをいただきました。
次に画像について評価いただきました。「全体的に引いている画像が多い」ところをご指摘いただき、「寄った画像も撮ることで『引き』と『寄り』のメリハリをつけてみると良い」というアドバイスをいただくことができました。
また、「人を撮影する時は正面・左右など多様な角度で撮る」ということや「記事に挿入するとき、どこで画像を使うかを意識しながら撮ることを心がけてみる」と良くなるというアドバイスもいただきました。この取材の時に撮影を担当していた筆者。早速アドバイスを実践してみました。渡邊さん、改めてお忙しい中記事を見ていただきありがとうございました!

画像:今まで刊行されてきた『地域人』の表紙ポスター
画像:後述する『地域人』広報宣伝チーム任命書を作成する渡邊さん。
いただいたアドバイスをもとに引きと寄り、横や正面の写真を撮影してみました。

そして取材後、「あるきめでぃあ」が『地域人』の広報宣伝チームメンバーとして任命されました!
そして渡邊さん直々に任命証をいただきました。これからあるきめでぃあで『地域人』最新号の広報ができるよう努めたいと思います。

画像:渡邊さん直筆の『地域人』広報宣伝チーム任命証
画像:任命証授与の様子 

最後に
今回は『地域人』編集長 渡邊直樹さんにインタビューを行いました。取材を通じて『地域人』が学内外の様々な方の力を交えて作られていることを知り、『地域人』 の魅力を感じることができました。今まで筆者自身『地域人』は図書館に置いてあるものをパラパラとめくって読むことがありましたが、今度は「様々な方が関わっていること」「文や画像の表現方法」「取材の裏であったエピソード」など多様な角度を考えながらじっくり読んでみたいと思います。そして、昨日1月16日に『地域人』第87号特集「高専と高校」が刊行されました。ぜひ購入して一読してみてください。   

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取材インタビュアー:心理社会学部臨床心理学科 3年 青木智美
ライター・撮影:文学部歴史学科日本史コース 4年 山中若菜

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